パンパンッ!
激しい銃声や壁などが崩壊する音とともに職員たちの悲鳴が聞こえる。
どうやらこの研究所は襲撃にあったらしい。普段なら鉄壁の守りで抜け出すことはおろか外からの攻撃も不可能。
それが今可能になっているのなら相当な実力者たちが今この研究所を恐怖に貶めているのだろう。
いろんな人があたりを騒がしくうろつく中、研究所の一番奥の頑丈な檻の中で一人の決してきれいな身なりとは言えない小柄な少年が部屋の隅でうずくまっている。
特に何かをするのではなく、ただじっと時が過ぎるのを待つかのように息を殺し、気配を消している。
少年の名前はNo,0412。物心ついたころからこの地獄で数多の実験を受けてきたかわいそうな少年だ。
そのせいで体の成長は遅くなり、表現できる感情が乏しく声が出ないので拒絶をすることが不可能な体にされてしまった。
だから自分がこの地獄から解放されそうなときにわざわざ抵抗しに行くものそう簡単にはいないだろう。
誰かがやさしく俺のことを助けてくれる、そんな甘い夢はとっくに捨てた。
(早く殺してくれないかなぁ)
ぐるぐるとした思考は、翡翠色の目をした青年が部屋に入ってきたことによって止められた。
「まだおったんか・・・」
そう短く発したその声は低く、外見には合ってない。青年は少年がいる部屋を見渡しゆっくり少年に近づいた。
いきなり研究員でも、施設の子でもない見たことがない青年を見て少年は困惑した。
(このひと誰だろう?知らない人だ)
「お前で最後かな」
銃を額を突き付けられてもこの少年は驚きもしない。その様子に少年は内心驚く。
「抵抗せえへんのか?」
そう問うても少年はじっとしている。その姿は不気味だ。
「…ぉして…」
「ん?」
「は、やく、おれをころして…」
その声はか細いものであり、希望がにじんだような声だった。
青年は銃を下ろし汚れるのも構わず、膝をつき少年を怖がらせないように目線を合わせて話し出す。
「殺したる、でも俺と一緒に来てそれでも思うんやったらな」
言葉と同時に差し出された手と声はさっきとは違い温かくて優しいものだった。
(この人についてって、大丈夫なのかな)
少年は硬直したままなので青年は困ったような笑みを浮かべた。
(あっ、困らせっちゃった…やっぱり俺はダメな子、また怒られちゃう)
ぼろぼろに傷ついた体に鞭をふるい立とうとしたが、あまりに震えているので上手くたつことができない。
(だめっ!立って!!)
どんなに自分を叱ってもぼろぼろな体は限界を迎えたように立つことができない。
それを見かねた青年は少し考え、自分よりも一回り大きいくらいの手で自分を抱き寄せ
「ちょっとごめんな」
そういいながら軽がる姫抱きにして少年の目を隠し片手で絶対落とさないように立ち上がる。
「・・・ッ!?」
「あ、痛いとこない?」
少年は急に司会をふさがれたことによる困惑で短く声を出したので青年は心配そうに声をかける。
少年は驚きはしたものの指示に従ったほうがいいと判断したためおとなしく体を預けてこくこくとうなずいた。
「…w、安心して取って食ったりせぇへんから」
何か面白いことがあったのだろうか、くつくつと楽しそうに笑いながら歩きだす
規則的になる心臓と暖かさで思わずうとうととしてしまう。
「安心して眠り・・・」
そういった声で少年の意識は途切れた。
???side
「…寝た?」
腕の中に眠る小柄な少年はすやすやと安心したように眠りについている。
まるでその姿は幼子のようで庇護欲がわいてくる。
しばらく少年を眠りから覚めてしまわないように死体と血だらけの廊下を歩いていくと今日このふざけた研究所を一緒につぶしに来た仲間が待機していた。
「あっれぇ~!珍しいね、ぷりちゃん」
小さくかわいらしい見た目に似合わず返り血を服につけたまま笑顔を浮かべてこちらにやってくる。
「ぷりちゃんが生かしたまま誰かを連れてくるなんて…なんか今日は俺忘れてることある?」
「おいしつれいやぞしゆんくん」
こっちにやってきたしゆんくんは俺の中にいる子を見て、目を見張る。
「へぇこの子結構かわいい顔立ちしてんじゃんw」
「えっ!俺も、俺も見たい!!!」
「うるさいなぁ…この子が起きるやろうが」
「そうそう、ちぐさ…ってお前また服血だらけにしやがって。あっとに怒られても知らねぇぞ」
「えっ!やだぁ!!あっとくん怖いもん…」
くすんくすんと鳴きまねをするちぐは本性を知らない人間ならかわいらしいと思えるだろうがちゃんと本性を知っている俺たちはなんとも思わなくなってきた。
「泣きまねする前に服少しでもこすったらええんちゃう?」
「あ、そうだね!ぷりちゃん天才!」
コロッと笑顔に変えて、服をこするちぐさには思わず感嘆の声が出る。
「あ、ボスたちから帰還の連絡が出た。ジャレテないでかえんぞぉ~」
「はぁ~い!」
ボスからの連絡がきたことによって出口に向かってアジトへと足を運んだ。
???
不当な扱いを受けてきた子。秘密がたくさんあり、髪が長く小柄で自己肯定感が低い。
翡翠のおにいさんに保護されてよかったね
ぷりちゃん
ボスからの命令でうるさいの×2を頑張って連れてきた人。
少年を保護したのは顔が好みだったから、今考えていることは少年が起きたら何着せよっかなぁ
しゆん
引きこもってきたがピンク色のかっこいいおにいさんに引っ張り出された。
でもぷりっつの意外な一面が見れてこれはこれで満足。つか、手に抱えているそれはなんぞ?????
ちぐさくん
作者によってサイコパスに引き込まれた。うるさい人その2(任務ではなくこいつのお守りで疲れたbyぷりっつ)
怒られないように染み抜き中
コメント
2件
うわぁ ..✨ (´。✪ω✪。 ` ) 表現とか、話の内容 、大好きだ .. ✨ 続きって出ないんでしょうか .. ?? できれば .. 続きを 見たいのですが ..
めっちゃ好み✨