詩音は膝をついたまま、ゆっくりと顔を上げた。
その目は虚ろで、けれどもどこか楽しげだった。
「……ははっ。」
葵のに対し、詩音はくすくすと笑い始めた。
その笑いは、次第に大きくなり、ついには腹を抱えて爆笑するほどに。
「な、なに?」葵は眉をひそめる。
詩音は涙を拭うように目元をこすり、口角を吊り上げた。
「いやぁ、幻を見せる? そいつは……傑作だなぁ!」
葵は静かに双剣を構えながら、一歩踏み込む。
「何がそんなに可笑しいの?」
詩音はその場で立ち上がり、腕を大きく広げた。
「いやぁ、ごめんごめん……幻? 私に幻を見せようって?」
彼女は舌をちろりと出して、にやりと笑う。
「悪いな、私は普段から幻が住処なんだ。」
詩音の体がふらつく。まるで踊るように軽やかに動き、まったく恐れの色を見せない。
彼女の瞳には、どこか違う世界が映っているようだった。
「幻覚なんて毎日見てるんだよ! 赤い象が踊ってたり、地面が溶けたり、昨日は空から巨大なナマコが降ってきたしな!」
詩音はケラケラと笑いながら、指を鳴らした。
「お前の見せる幻? そんなの、私にとっちゃ日常すぎるんだよ! もっと工夫しろっての!」
葵は目を細める。
「……なるほどね。つまり、”まともな精神”が残っていないってわけ。」
詩音は肩をすくめ、ナイフを軽く回した。
「”まとも”? そんなのクソ喰らえだよ。」
彼女は薬を口に放り込み、笑顔で葵に向かっていった。
「さぁ、”現実”に戻してやるよ、私の刃でな!」
葵はわずかに口元を歪めた。
「面白い……なら、存分に踊ってもらいましょう。」
戦場に狂気が満ちた。
コメント
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今回も神ってましたぁぁぁ!!! おおぉ、、、!!?誌音たんがヤク無しでも力を出せる、、だと!? あー、でも確かにクスリやってっから幻覚とか見るのは日常茶判事かもね、、 それでもアオたんに勝てるのかな、、、? 次回もめっっっっさ楽しみいいいいいいぃ!!!!!!