『感じます…貴方、涼也さんの人生は…』
青色の水晶玉がキラリと輝いた。僕、柴谷涼也はゴクリと唾を飲み込む。何故僕が占い師の前に座っているのか、それはちゃんとした理由はない。仕事帰りに街を歩いていた時、【占います】の4文字が見えた、たったそれだけ。しかし、実際は占いを信じていなかった。なぜなら僕が幼い頃に、お父さんを占った占い師は【貴方の子供が成人になる頃、貴方の命は果てるでしょう】といっていた。結局は父さん、成人する前に亡くなってしまったけれど。そんな記憶を辿りながら、目の前の占い師をみる。占い師は紫に見える大きな水晶玉に手をあてている。ん?紫?そう思考し始めた頃、やっと占い師の口が開いた。
『貴方の人生にはとてつもない、異変が起こるでしょう』
「はい、?」
正直言って、何を言ってるのか分からなかった。異変…?なんだよそれ?しばらくしてからこれはデマだと気づいた。そう、きっとデマだ()僕は我に戻り、占い師の顔をもう一度見た。
「あ…お代は…」
『要らんよ、そのお金は貴方の人生の鍵を握ってるわ』
ますますわからなくなってきた。僕はただの一般人だぞ?けれど、お金を払わなくていいならできるだけ払いたくない。
「…わかりました」
『…さようなら、良い人生を』
さようならってなんだろ…普通だったらまた来てくださいねぐらいは言わないのかな、?そんな事を頭に入れつつも僕は占い屋を出た。晩ご飯は外で済ましてきなので家に帰ってから、お風呂へ入り、そのあとすぐにベッドで寝てしまった。
〜〜〜
朝…ではなく昼に起きてカーテンを開けようとした時、昨日の占い師の事を思い出した。占い師はフェイスベールを身につけていた為、顔はよくわからなかった。しかし、一つ気になる事があった。僕は名前を名乗らなかったのに何故知っていたか、あまり気にしてはいなかったが、今考えてみればあまりにもおかしい。
「…異変か」
本音を言わせてみれば、異変と言うものには興味はあった。僕は至って普通の人生を歩んできたため、異変なんてものに触れることは無かったからだろう。小さいため息をつき、カレンダーの方へ顔を向けた。今日は休みだ、久しぶりに自炊でもしようか、今日は何をしようか…なんて考えながら、私服へ着替える、今日はラフな格好でいいだろう。着替えたあと、僕は自炊をしようとキッチンへ向かった。自炊、と言ってもパン焼くぐらいしかしないけど。そんな事を考えていて、占い師の事なんかすっかり忘れてしまっていた。
〜〜〜〜
外に出よう、そう思い青の模様が入った黒い帽子を被った。この帽子は結構気に入っていて、よく被って出かけることが多い。僕は今日もこの帽子を被ろうと思い、手に取った。すると、何処からともなく高い男性の声が聞こえた。
「…!?」
後ろを振り向いても誰もいない、ドアを開けてみたが、家の前には誰一人と通っていなかった。恐らく空耳だろう、疲れてるんだ。自分にそう言い聞かせ、家から出た。しばらく歩くと、幼馴染の秀真と出会った。
「お、消しゴム生産機じゃん」
「消しゴム生産機って…学生の頃のあだ名だろ…」
そう、僕は昔消しゴム生産機と呼ばれていた。学生の頃、消しゴムを無駄に持っていて、毎日違う消しゴムを持っていっていた。べつに意味はない
「まぁまぁ、最近どう?涼也、ちゃんと寝てる?」
「まぁね、」
「…」
秀真は不安そうな顔でこちらを向いた。
「大丈夫か?なんかあったか?」
「え、?なんで?」
ムズい、今度続きかこうかな…?
コメント
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今回もめちゃくちゃ良かったよ!!!! うん、占いは当たるかな?程度で 信じておけば良いよ! え、そうなんだね… お父さんが…辛かったんだろうな…(?) まぁ、異変はもう既に起きてるよね☆ 消しゴム生成機…なんか良いな(?) 次回も楽しみに待ってるね!!!!