星が好きな彼 ぷりあき

「」→あっきぃ

『』→ぷりっつ

【あっきぃ視点】

ぷりちゃんが死んだ

治らない病気だった

発見があと少し早ければってみんな言ってた

狂うほどに愛おしい人

彼は星が好きだった

【7月7日】

今日は流星群が見れるらしい

七夕の日に流星群なんてなんてロマンチックなんだろう

彼と見られたらな

なんてずっと思ってる

去年の今頃、彼と星を見に行ったっけ

また一緒に見たいねなんて願ったりして

もう叶わないのかな

そういえば

彼はずっと星に願い事をしてた

「信じた人しか願いは叶わないんだよ」

何百回も聞いた彼の口癖

自分もよく一緒に願い事をしたなと思い出した

せっかくの流星群

彼と星を見に行った場所に見に行くことにした

星に願い事をしよう

1年ぶりに来たけれど、何回も見た事のあるような懐かしい景色だった

満天の星

降るように見える流星群

彼に教えてもらったおかげで、ほとんどの星がわかるようになっていた

死んだら星になるってよく言うけれど、彼はどの星なんだろう

少し探したけれどやっぱりわからない

彼に会いたいという気持ちがだんだん強くなっていた

彼が愛した星空の下

「大好きな彼がもどってきますように」

そう強く願った

ひとつの流れ星が背中を押してくれるように感じた

【7月12日】

ちょうど1年前、彼の病気が発覚した

病気が発覚してからは時間が経つのが早かった

彼はすぐ入院することになって

結局そのまま亡くなった

今思い返せばずっと体調が悪そうだった

彼はただの風邪だって言ってたけど

絶対に違った

もっと早く病院を勧めてればよかった

なんて今更後悔してる

彼に会いたい

願いが叶ってほしい

流星群のあの日から、俺は何かが変わっていた

【8月3日】

彼が亡くなってから1年

彼は最後まで俺の事を心配していた

だんだん弱っていく彼が見てられなくて

ちゃんとした別れを言えなかった

あの時の自分を殴ってやりたい

危険な状態と聞いて病院に駆けつけた時にはもう亡くなっていた

夜中の3時

満月と満天の星が見えていた

悲しいような、優しいような、そんな空だった

彼にはふさわしい日だななんて思った

この1年、正直何をしたのか全然覚えてない

死んだように生きていた俺

周りの仲間は気遣ってくれて、心配してくれて

でも俺にはそれが苦しかった

自分だけが前を向けていないみたいで辛い

俺の口から出る言葉は

「彼に会いたい」

だった

彼を身近に感じたくて、またあの場所へ行くことにした

どうやら今日も満月らしい

彼に会いたくて会いたくてたまらない

いままで我慢してきたものが壊れるような感覚だった

「なんで先にいなくなっちゃうの」

「おいていかないでよ」

「会いたいよ」

とにかく泣き叫んだ

声が枯れるまで叫び続けた

「見守っててくれてるなら願い叶えてよ…」

そう言った途端、辺りが急に光っていた

こちらに向かって降ってくる流れ星

怖くて目を閉じていたけれど

勇気を出して目を開けてみた

『久しぶり』

彼がいた

『待たせてごめんね』

なんて言うから涙が止まらなくなる

『空からずっと見守ってたよ』

「遅いよばか」

「なんでおいてっちゃうの」

『…そーゆー運命だからだよ』

『あっきぃと出会えたことも運命』

『星が叶えてくれたんだよ』

『流星群がまた出会わせてくれたんだよ』

「これからもずっと一緒にいれる？」

彼は黙ってしまった

一緒に居られないことを何となく察した

もう彼から離れたくない

「やだ、ぷりちゃんと一緒にいたい」

「ぷりちゃんとずっと話していたい」

「行かないでよ」

『ごめんね』

彼も泣いているように見えた

『でもね、俺死んだ後星になるんじゃなくて、月になることにしたんだ』

『いつでも見つけられるでしょ？』

彼は優しい顔で笑っていた

「そんなの自分勝手すぎるよ…」

そんなところも好きだったなと思い出す

『俺が思うにね、叶った願いっていうのは、俺が生き返ることじゃなくて、最高の別れをするためだと思うんだ。』

『今日のおかげでれこれからはいつでも見つけられる、一緒に居られる』

『寂しくなったら喋りかけてよ』

「いつでもぷりちゃんのこと呼んでもいい？」

『もちろん！』

そう言って手を広げる彼の胸に俺は飛び込んだ

俺より少し背の低い彼

すごく温もりを感じた

本当に生きてるみたいで少し切なくなる

『あと何十年もして、あっきぃも死んじゃったら月においでよ』

「行くに決まってる」

「待っててくれる？」

『もちろん！』

抱きしめあってる力がだんだん弱くなっていく

『もう時間みたい』

最後の力を振り絞って、ぎゅっと抱きしめられた

『大好きだよ、あっきぃ』

この言葉とともに彼は消えていった

別れは寂しい

それでも、いままでよりもずっと前向きになれた気がする

「俺も大好きだよ、ぷりちゃん！」

精一杯の大きな声で叫んだ

満月は綺麗に輝いていた

こんな長文最後まで読んでくれてありがとうございました！

なんかリクエストください((((((