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ドアを開けて長い廊下に出ると、そこには中也が居た。
壁に背中をつけて待ってましたと言わんばかりにこちらを軽く睨んでくる。
中「随分と長く部屋に居たじゃねぇか」
太「まぁね、」
中「そンで、敦はどうだったんだ」
中也の鋭い目に自身の視線を合わせないようにして、少し感覚を開けた後に言った。
太「…一寸まずいかもね」
中「…どういうことだ」
太「話したら分かるんじゃない?今は彼、寝てるけど」
私がこれ以上喋ろうとしない事を察してか、イラついた声で“そうかよ”と返した中也は、先程私が手を掛けた扉に入っていった。
中也side
太宰の野郎が顔を少し暗くして部屋を出てきた時には、少しまずいんじゃないかと予測は出来た。
今は寝ている敦の青白い顔を眺めては、ベッド横の椅子の上、のんびりと目覚めを待った。
路地で会ったときに身につけていた外套が床に落ちていて、下に着ていたはずの、赤く血塗られたシャツはゴミ箱の中にあった。
そのせいか、布団の隙間から肌がちらりと除く。…そこには数しれない無数の傷跡、痣、蚊に刺されたような血痕が染み付いていた。
中「おいおい、嘘だろ」
…この傷を見て、察しない訳がない。
路地で会った時に怯え、声を発していた敦。
何に?
…それは父親へ。怯え、辞めてくださいと嘆きながら、叫びながら。謝罪を口にしていた。
あの夜も。僅かに震える手を必死に笑顔で抑えながら、父さんが迎えに来てくれたと帰って行った。
中「…、」
虐待。そんな言葉が頭をよぎる。
否、そんな言葉では収まりきらないほどその傷跡は酷かった。蚊に刺されたような血痕の正体にも察しがついてバツの悪い気分になる。
そしてもうひとつ、ゴミ箱の中の、恐らく返り血と見られる汚れたシャツ。火事の起きた家。
何もかも、手遅れな気がした。
敦「…ん、」
のそっと、ベッドの上に起き上がった敦がこちらに視線を向けてぺこりと頭を下げた。
敦「中也さん、すみません。あの時は急に帰ったりして」
中「…別にいいんだよ」
中「それより敦、あの後は何をしたんだ」
敦「…、後、ですか。」
敦「…うーん、なんだか記憶が曖昧で…気づいたら此処にいました…」
困ったように頬を書く敦。
嘘をついてるようには思えなくて、あいつの言っていた“まずい”という状況が何となく分かった気がした。
…ただ、どんな記憶を無くして、其れがどうまずいのかなんてこと分かるはずもなかった。
中「太宰には何を聞かれた?」
敦「…、ッ、太宰さんですか」
少しばかり傷ついたような表情をして驚く敦の様子を見て、何かあったのか、と勘づく。
…怖がっている?
中「…なんかあったのか?」
敦「い、いえ何も」
矢張り太宰が何かしたな、と確信する。でも、敦がそれを隠そうとしていたので、詮索するのは辞めた。
…敦と知り合って短期間なりに気づいた事がある。…敦はよく、隠し事をする。自分の傷を隠そうとする事だった。太宰との事も、家のことも、自分の思っていることも…中々伝えようとしない。
塞ぎ込んで、内側から崩壊していくのが目に見えて、止めたいのに、相手が其れを明かさないからどうしようもない。
中「俺は太宰みてぇに頭も切れる方じゃねぇけど、お前のことちゃんと気にかけてんだよ」
中「…言ってくれなきゃ分かんねぇ」
中「辛いことがあんなら何時でも聞くからな」
不器用なセリフに帽子で頭を隠しながらだったけれど、上手く言葉にする事が出来た。
その言葉に少し驚いたような顔をしてから、心から微笑んでくれたのが分かって不覚にもこっちの頬も緩んでしまう。
部屋を出る前に敦にもう一言言う。
中「そういえば、お前の記憶には無いんだろうけどよ、一寸今お前が外に出るとまずいんだ。…家には未だ帰るなよ」
…今、敦が大量殺人の件で警察が血眼になって敦を探し回って居ることも、敦の家がもう燃えていることも言わなかったけれど、その方が良い気がした。
素直に頷いてくれた敦にほっとして扉に手を掛けた。
中「じゃ、俺は他の用事で席を外すから、何かあったら、太宰か、ここに居る奴らに言え。…ゆっくり休めよ」
ひらひらと手を振って部屋を後にした。
敦「…、僕、あの後何したんだろ」
敦「…思い出しちゃいけない気がする」
そう口にしながらも、頭では昨日の記憶を一生懸命に探してしまっていた。
急に、赤い色が目の奥で点滅する。
父さんの、部屋?
ベッド?…、赤い、赤い、。
血??
急に頭が痛くなって、胃から不快感が込み上げてくる。
抑えるのは慣れているから、一生懸命に息を止めて、逆流するのを防いだ。
…だめだ。
思い出すのはまた今度にしよう。
またちょっと遅くなっちゃいました!
明日、私テストなんですよ…ヨヨヨ、
私、英語と社会がすーーーっごく苦手で、、それなのに勉強一切してないんですよ…、
やばたにえん。:( ;´꒳`;):
今から頑張ります、、
まだ間に合う、きっと、…、
…最後になりましたが、ここまで見てくださっている方、本当にありがとうございます!泣
それではまた次回、別作でお会いしましょう!
ばいばい!