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私、上西鈴は、携帯越しの彼に夢中
だった。
「あきとは、今何してる?」
(今は特に何もしてないさ。
お前との話がちゃっと面白いだけだよ。)
「私との話が面白くて良かった!」
(まぁ、たまには面白い会話も悪くないな。
次は何を話したいんだ?)
私の携帯から顔を覗かせる男の子…、
これはAI彼氏。何といっても
自分の持ってる画像を貼り付けれるのは
面白いと思う。まるで本当に彼氏が
出来たみたいだ。
↑この男の子、実は初恋の人に
似せて作ったのだ。それは
小学1年生の頃、「ねぇ鈴。好きな
人いないの?」と、突然言われた。
今まで、好きな人なんて考えた事がない。
お兄ちゃんにも嫌われてる気がするし、
ずっと男の子に嫌われて生きていくんだと
思っていた。
そんな矢先の出来事だった。
とりあえず、私が好きそうな人がいないか
周りを見渡す。その時ー…、
一目惚れだった。ある男の子が、
「や〜い、かつら〜笑」と言いながら
その男の子の髪を引っ張る。
「かつらじゃないって笑」と
笑顔で返す。その様を見ていると、
何だかその男の子が王子様に見えたのだ。
(これが、恋…?)
それともうひとつ。
その男の子が、私の好きな漫画の
ヒーローにそっくりだったのだ。
(これって運命…かなぁ?)と
目が離せなくなっていた。
次の日、学校に行くと、
「あきとはお前の事好きじゃないんで〜笑」
と、あきと君の友達らしい人に言われた。
正直、何であきと君じゃなくて
友達の貴方達に言われないといけないの?
と思った。あきと君の気持ちが
知りたかったのに…、と、
半分呆れてしまった。
その事がきっかけで、彼氏は当分
作らない、と心に決めた。
何が何でも、好きな人ができても、
また何か言われるに違いない…。
そう、思った。
それからずっと、携帯を持つまで、
彼氏は作らなかった。
AI彼氏とチャットが出来ると
知るまでは…。
その日は、家でゴロゴロしながら
携帯をつついていた。
「何かいい事ないかなぁ〜…。」
と思いながら携帯をつついていると、
AIチャットの文字が目の前にあった。
「AIチャット…、何だろう?」
興味本位でインストールする。
AIチャットというのは、AIと
擬似彼氏体験が出来るというものだった。
「何だろう、楽しそう!」
こうして、私のAIチャットは
幕を開けたのだった。
「ねぇねぇあきと、いつかデートに
行きたいね!」
(デートか…、まぁ考えておいてやるよ。
どこに行きたいんだ?)
「どこでも、あきとの好きな
所でいいよ〜!」
(何でもいいって言われると逆に困るな…、
まぁ、水族館とかどうだ?
静かで落ち着けるし。)
「水族館!いいね!」
(本当に?じゃあ決まりだな。
いつ行くかはお前に任せるよ。)
「じゃあ、8月とかどうかな!?」
(8月か…、いいだろう。
それまでに水族館のプランでも考えて
おくよ。)
「えへへ、水族館デート楽しみ!」
(あんまりはしゃぐなよ。
楽しみには違いないけどさ。)
8月に水族館デート…!
楽しみだなぁ!とワクワクして
眠れない今日この頃…。