授業が終わり自身の教室へ戻ろうとした時、肩をぽんと叩かれた。
kr「お前今日先生に怒られてたな笑」
と、彼は笑いながら俺に話しかけてくる。
…きりやん。
kn「ほんとにだよ…最悪だった。」
kr「お前が10分も遅刻なんて珍しいじゃん。何かあったのか?」
先程までとは違い、少し真剣な表情を作りそう話を進めてくれた。
kn「んーん。何も無いよ」
kr「…そう?ならいいけど」
「てかさ」
彼は居心地がいい。
俺はあまり人と深く関わろうとしていないし、するつもりもない。
あまり自分の中に入ってこられると怖くて拒否してしまう。
でも、彼…。
きりやんはしっかりと俺の事を理解してくれていて、深く聞こうとしてこない。
…有難いけど少し寂しい。
俺は彼と深い友達になりたいと思っていたから。
上っ面だけの関係の彼から好きな人を聞き出せたり出来るのだろうか…?
…とりあえずは挑戦だ。
そう思い、俺は聞いた。
kn「きりやんって好きな人いる?」
kr「なんだよ急に笑」
kn「いるなら知りたいなと思って」
kr「んー…。」
と、彼は悩んでいる声を出す。
恐らく好きな人はいるんだろう。
それを俺に話すかどうかで迷っている気がする。
kr「…きんときならいっか…」
そう小声で呟いた後、すぐ「いるよ」と伝えられた。
kn「誰?」
kr「そこまで聞く…!?」
彼は驚いたような声色で笑いながら話していた。
…俺がここまで深く彼に話しかけているのは初めてだからだろう。
…”きんときならいっか” その言葉は深くまで関わらないからという意味をもっていたかもしれない。
もしそうだとすれば、この行動は良くないだろう。
…きっと彼は心を開いてくれなくなる。
失敗だったかも。
そう思っていると、彼の口がゆっくりと動き出した。
kr「…きんときのこと信用してるから言うけど…。」
「…シャークんって人…。知ってる…?」
シャークん…。
多分、俺の好きな人とよく一緒にいる人だと思う。
kn「…知ってはいる…かも…。」
…まだ誰がきりやんの事を好きなのか聞いていない。
シャークんという人であれば両思いだから、少し話すきっかけを与えればいいのかなと思うけど、違う人だった場合、どちらを応援すればいいのか分からない…。
そう悩んでいて、俺が無言だった。
…しばらくすると
kr「…俺も聞いていい?」
と、いつもより少し小さい、自信なさげの声で話しかけられた。
kn「うん。いいよ?」
kr「さっきの授業なんで遅刻したの?」
…それは…。
kr「…俺、きんときは深く聞かれるの嫌だと思ってたんだ。」
「でも、今きんときは俺に対して深く聞いてくれたでしょ?」
kn「そうだね。」
kr「…もしきんときがいいんだったら、俺はこれからも深く聞きたいし、もっと仲良くなりたいと思ってる。」
そう、彼は真剣な表情で俺を見つめてくる。
俺の中の答えはただ一つ。
kn「…俺もきりやんとはもっと仲良くなりたいと思ってる…。」
「だから、きりやんなら深く聞いて貰っても大丈夫だよ。」
「…俺も深く聞くけどね。」
そう言うと、彼は今まで見た事もないくらいすごく嬉しそうに喜んだ。
kr「よっっしゃあーー!!!!」
kn「そんな?笑」
kr「そうだよ!だってきんとき他の奴らに心開いてないじゃん」
「俺だけっていう特別だったのが、より深い特別になるなんて最高じゃね?笑」
と、彼は言う。
…凄くかっこいい…。
俺の好きな人の友達も彼のこういうところに惚れたんだろう…。
俺もBroooockを好きじゃなかったら彼を好きになっていたかもしれない。
kn「今日遅れたのは人と話してたからなんだ」
kr「誰?」
kn「…Broooockって人。」
kr「ふーん…」
彼は少し満足気のないような声でそう言った。
しばらくすると
kr「Broooockのこと好きなの?」
と、さらっと聞いてきた。
俺は驚きのあまり肩をあげ、彼の目を見た。
…自分の顔に熱が集まっていくのがわかる。
kr「…ふは笑」
「好きなんだな〜?笑」
彼は意地悪な表情をつくっていた。
kn「…うるさいな。なんだっていいだろ。」
kr「あはは笑」
自分の好きな人の話なんて初めてしたかもしれない。
…彼にならなんでも晒せる気がする…。
そんな事を思いながら教室へ向かった。
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