⚠️長文、本人様には関係ございません。
8月。
蝉が鳴く音色が響く。
蒸し暑く、ニュースでは熱中症かなんだの言っている。
僕は本は苦手ながら、ミステリー小説を読んでいた。
題名は「空の蛍」。
この本に書かれている事は何となくしか分からないが、なんとなく気に入っている。
「 あーおくん。 」
この人は僕の一個上の先輩。
学校イケメンらしいけど僕にはその魅力は伝わらない。
「 なんですか、 」
僕は機嫌の悪そうに返した。
「 また空の蛍? それ面白いの? 」
「 はい。 意味が分からないからこそ面白いんです。 」
「 普通は意味がわかって面白いと思うんだけど。 」
先輩はそう言いながら微笑する。
「 あおはその本買わないの? それ図書館のやつでしょ? 」
「 お金が無いので。 」
「 なら俺が買ってあげるよ 。 誕プレ的な? 」
「 いえ。結構です。 では。 」
僕はそう言いその場を離れた。
それから先輩はずっと僕に絡んで来るようになった。
絡んでくれること自体は嬉しい限りだが、なにか執拗い。
「 あおくん。 先輩呼び嫌なんだけど。 」
「 じゃぁ、なんて呼べばいいですか、 」
「 んー、そうだなぁ、ももって呼んでよ。 」
「 、もも、さん。 」
「 なに、照れてんの?笑 」
こんな意味の無い話。
僕にとっては幸せだった。
ある日の放課後。
僕はいつも通り独りで家に帰っていた。
「 、付き合ってくださいっ。 」
女の子の声がした。
「 …リア充かよ。 」
嫌味のように足元に言葉を吐く。
少しだけ女の子の方をみると1人の男性。
くせっ毛で、愛らしい桃色、僕より少し身長が高くて、いつも優しい声をかけてくれる。
そんな人が僕の目の前で告白をされていた。
僕は正直呆れた。
それでも彼は僕の事を見てくれる。
僕の考えを尊重してくれる。
そう思った。
次の日僕は彼に聞いたんだ。
「 彼女いないの? 」って
そうしたら、
「 まだ居ないかなー。 」って言われたんだ。
僕は何故か嬉しかった。
「 ねえねえ。ももくん。 」
「 ももくん呼び何気に初めてじゃん。どした? 」
「 僕が彼女だったらいや? 」
「 んーまぁ、嬉しい。かも。笑 」
期待してはだめだろうか。
でもそんなこと言われて期待しないやつがどこにいる。
「 …ばーか。 」
「 えっ、急にどーしたんだよ、 」
傷ついた顔をしている君が可愛い。
彼と出会い半年が経つ。
「 もも先輩不登校になったらしいよ、 」
体調不良できてないのかと思っていたけれど違うみたいだ。
少し寂しさがある。今日ももくんの家行こうかな。お見舞いってことで。
「 あおちゃんっ! 」
「 ぅお、ななくん、 」
最近仲良くなったななくん。
かっこいい顔立ちをしているくせに性格はとても可愛らしい。
「 俺も忘れんといてよ?! 」
こっちは橙くん。
橙くんも最近仲良くなった。
橙くんは本当に何から何までかっこいい。
ももくんと同学年であって、ももくんの事は僕の次に詳しい。多分。
「 ぁ、橙くん。 」
「 ん?どした? 」
「 ももくん何で不登校なの? 」
「 、まぁ、そのうち分かるんやない? 俺も知らんし。 」
「 そっかぁ、 」
橙くんは何も知らないらしい。
ならももくんしかいない。
放課後、僕はももくんの家へ向かった。
ぴんぽーん。
「 あおでーす、 」
「 …すぐ開ける。 」
弱々しいももくんの声。
段々心配になってくるが、話を聞くのが先だ。
その時、扉が開いた。
「 、久しぶり。 ももくん。 」
「 、そう、だな。 」
前より痩せており、目元には隈、そしてパーカーのフードを深く被っている。
「 中に入ってもいいかな? 」
「 、どーぞ。 」
ももくんは一人暮らしで親とは暮らしていなかった。
前来た時よりどんよりした空気。
暗い部屋。そこら中にあるゴミの山。
綺麗好きのももくんにしてはありえないことだ。
「 、何で学校にきてないの、? 」
「 色々。 」
「 、そっか。 」
ももくんはこの話を、したくないのだろう。
「 部屋掃除してもいいかな? 」
「 ご勝手どーぞ、 」
数十分掃除をし、やっと片付いた。
元の綺麗な部屋に戻っていると思う。
「 、その、ありがとう。 」
「 いえいえ。先輩の手助けをするのが後輩の仕事でしょ? 」
「 そう、なのかな。 」
そこからは沈黙が続いた。
僕は何か話題はないかと考えていると、ももくんが弱々しく口を開いた。
「 俺が不登校になった理由、聞きたい? 」
「 いや。無理には聞くわけないじゃん。 」
本当は聞きたいが、ももくんには負担をかけたくない。
泣いて欲しくないんだ。
「 そう。 」
ももくんは少し微笑んだ。
「 あお、今学校楽しい? 」
「 はい。とっても楽しいよ。 」
「 へえ。意外。 」
「 は、ちょっ、なんで?! 」
「 あお俺と会うまで独りぼっちだったくせに。 」
ももくんは今日、初めて笑った。
僕はその顔がすきだ。ずっとその顔を見ていたい。
「 最近、友達できたの。 」
「 へえ。どんなやつ? 」
「 ななくんと、橙くん。 」
「 、そうか。 」
「 どうしたの、? 」
「 ぁ、兄ちゃんっ! 」
耳の生えた元気そうな男の子と、恥ずかしがり屋なのか元気そうな男の子の後ろに隠れてる男の子。
「 、あか、どした。 」
「 心配したんだよ? 1ヶ月以上も部屋から出てこないんだもん! 」
「 ぁえ、弟、さん、? 」
「 あぁ、俺の弟のあか。 んで、あかの後ろに隠れてるもじもじしてる奴がきい。 」
「 ぁ、えっと、こんにちは、? 」
やっときいくん、?が話してくれた。
「 きいくん、こんにちは。 」
「 、はいっ! 」
「 お前ら自分の部屋行ってこい。 」
「 はーい。 」
弟さんが来た後から少しももくんの表情が明るく感じた。
きっと大好きな存在なんだろう。
「 んで、さっきの話に戻すんだけど、あいつらとはもう関わるな。 」
「 え、なんで、? 」
「 お願いだから。 」
ももくんの願いでも関わるなは無理がある。
「 、俺のお願い聞けないの? 」
「 え、 ももくんなんかおかしいよ、? 」
「 俺はお前の為を思って言ってるのにさ。 その思いを踏みにじるんだな。 」
「 、関わらないようにするからっ、 ね、? 」
「 、ん。 」
ももくんは僕に抱き着き、強く抱き締めた。
まるで子供みたいで可愛い。僕はももくんの頭を優しく撫でた。
♥▶︎1000
コメント
3件
投稿ありがとうございます !✨ 悠桃さんの ノベルめっちゃ好きです 👍🏻 💕 ̖́- 今回も神すぎます ...