ピピピピッピピピピッ。
聞き慣れない目覚まし時計。俺目覚まし時計なんか買い換えたっけ…?と思いながらもうるさいそれに手を伸ばして音を止める。
まだ眠気の残る瞼をゆったりと開けば、朝の明るい日差しがカーテンの隙間から入り込んでくる。
はぁ、今日も仕事か、。まるで日課のように、考えたくもない仕事のことを思い浮かべる。
数分ベッドの上で、目を瞑りダラッとしていた。勿論、特に意味は無い。
そして、やっとの思いでだるい体を起こす。あれ、なんか、、おかしくね?
目前に広がったのは見慣れない部屋だった。
あのクローゼットもこのカーペットも、どれもこれも俺の知らない家具ばかりだった。おまけに、俺が言っても良い立場か分からないが、汚かった。
お世辞にも、綺麗好きな方の俺の部屋とは思えなかった。
??「ぃゃ、、ここどこだよ、」
ボソッ、と声を発してすぐに、俺は硬直した。本来の俺の声とは打って代わり、まだ幼さの残る青年の声であった。
自然と手が首に伸びた。細い、、。というか、なんだが手も少し小さくて、色白。
考えてみれば、今着てるこの服も全然買った覚えが無い。
見慣れない部屋、聞き覚えのない己の声、、。というか、今俺の目の前にある物全て初めて見た気分だ。
まさかとは思ったが、俺はその部屋に立てかけてあった鏡に向かった。
鏡の目の前に直立する。自分の姿を凝視する。言葉が出なかった。
なんでかって?そりゃ、勿論。俺が俺じゃなかったからだ。意味分かんないだろ?俺も。
なんだが、肌は白いし目はパッチリ。鼻も口も整っているし、バランスも申し分無い。髪質も完璧だし、スタイルは若干細いかもしれないが、文句の言い様がない。所謂美青年ってやつだ。
これってあれか、転生ってやつ?でも俺死んだ記憶無いけど。というか、この体の持ち主の記憶も無い。
成り代わった、みたいな?。
取り敢えず、俺はこれでも大人だ。冷静に状況を判断して、。いや判断出来る自信は無いが。
まぁ、一旦この部屋を探索することにした。棚を開けたりクローゼットを漁ったり。特に面白味もない、普通の部屋だった。
しかし、多分学生の部屋であろうことは分かった。ハンガーに掛けられている制服。適当に放り投げられている通学鞄。
ぁ、、学生証とか、ないかな。俺は少し遠慮しながらも制服のポケットや、通学鞄の中身を拝見させていただいた。
?? 「ぉ、発見。」
見つけたのはごく普通の学生証。でも今の俺にとっては、ありがたい情報源だった。
何何…。名前はシャオロン?で、我々学園とやらに通ってるらしい。
、、ちょっと待て。もしかしなくても、今日って学校、?
sha「やっべ!!」
根が真面目な俺は取り敢えず急いで制服に着替えた。着方は多分、あってる。大丈夫。
そのあと通学鞄を持ってドタドタと下の階に下りる。
リビングであろう部屋に入ると、机の上に1枚の紙と朝食が置かれていた。
紙には「今日はお母さん早く家を出ます。ご飯ちゃんと食べて、鍵閉めて家出てね。母より」と、丸い文字で書かれていた。バリ良い母やん。羨ましっ!
ちなみに朝食はサンドイッチだ。美味そう。律儀に手を合わして、早速サンドイッチを口に放り込む。うん、美味い。
モグモグと口を動かしながら、今起きていることを整理する。
取り敢えずは、俺はこのシャオロンという学生に成り代わってしまった、ということにしておこう。
んで、我々学園とやらに通ってるらしい。当たり前だが聞いたことないわ。てか俺場所知らんやん、どーやって行こ、、。まあどうにかなるか。
そして、俺は前世、、と言えるのだろうか。前の俺の記憶が無い。社会人だったのは覚えているが、名前も年齢も職業も何故か思い出せない。
さらに、こっちでの記憶はもっとない。つまり、俺はあれだ、ヤバいのだ、色々と。
情報源も人以外恐らくないだろう。
sha「…ぁ、俺スマホ持ってないかな、、」
サンドイッチを加えながら最初の自室に戻る。案の定ベッドの上にスマホがあった。
下に戻って中を確認する。ちなみにパスワードはしっかり掛けてあった。なんで開けれたかって?それはほら、感覚的な?体は覚えてるみたいな?そんな感じでなんなく開けれた。
1番最初に確認したのは連絡先。家族らしき名前と、全然知らない名前がズラリと並んでいる。うーん、分からない。
まあ誰からも連絡は来ていないから今は良いだろう。
次に写真フォルダを確認する。しかし、撮ってあるのは景色、食べ物、動物、とかだけで、何かの情報に繋がる写真はまったくと言っていい程無かった。
その後もスマホの中身を見ていくが、特に得られた情報は無い。強いて言えば、俺、シャオロンは16歳で高校2年生だということだ。
若干ガッカリしながら俺はスマホを閉じてポケットに入れる。
最後のサンドイッチを口に放り込んで、時計に目をやる。8時過ぎだった。
、あれ。高校生の登校時間っていつだっけ。俺の記憶が正しければ8時半くらいには着いといた方が良かったような、、。
俺は焦って椅子から勢いよく立ち上がる。やばいやばいやばい。家から学校まで何分掛かるかも分からない以上、ゆっくりしている暇なんてない。
俺は急いで荷物を持ち、玄関へ向かった。
コメント
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続き待ってます
新作嬉しすぎますっ😳💗 shaに転生したパターンなのかっ!!これから面白いこと起きそうでワクワクしちゃう…。 続き待ってます!