王国の城門をくぐった三人を待ち受けていたのは、沈黙と圧力だった。近衛兵たちは無言のまま彼らを取り囲み、城の奥へと案内する。
龍神の死──
それは、この国のを根本から揺るがす一大事だった。
城の中は異様な空気に包まれていた。装飾が施された廊下を進むたびに、すれ違う貴族たちは怯えたような目を向け、使用人たちはどこか落ち着かない様子だった。
「……なんや、この雰囲気。」みりんがぽつりと呟く。
「完全に ‘戦争前夜’ だな。」サブが鋭い目をする。
案内されたのは、玉座の間のすぐ隣の広間だった。
部屋の中央には、すでに何人もの貴族たちが集まり、重苦しい空気の中で議論を交わしていた。その中央に座るのは、王国宰相アレクシス・ヴァンガード。龍神の側近として長らく王国の運営を担っていた男だ。
「──では、説明してもらおうか。」
アレクシスの冷たい声が響く。
「貴様らが ‘龍神陛下の死’ を目撃したというのは、真実か?」
その問いに、萌香は一歩前に出た。
「……ええ。私たちが ‘直接’ 見たわけではないけれど、陛下が討たれたことは間違いありません。」
「ほう?」アレクシスの目が細まる。
「証拠は?」
「証拠……。」萌香は一瞬言葉に詰まるが、すぐに続けた。「……陛下を殺したのは ‘勇者殺し’ の異名を持つ魔法使い──如月まどか です。」
その名が響いた瞬間、部屋の空気が凍りついた。
「……なに?」
貴族たちがざわめき、宰相アレクシスは初めて表情を険しくする。
「如月まどか……あの ‘裏切りの魔女’ か……。」
「奴が、ついに ‘王国の象徴’ まで……!」
「一体、何が目的なのだ……?」
「まどかが ‘王国を嫌っている’ のは知ってたけど……まさか ‘龍神’ まで殺すとは……。」
「となると、問題は ‘王位継承’ か。」
貴族たちの視線が、アレクシスへと向く。
「……ふむ。」アレクシスは静かに息をつくと、三人を見下ろすように言った。
「貴様らには ‘重要な役目’ を与えよう。」
サブとみりんが警戒するように構える。
「……なんや?」
アレクシスは不敵に笑った。
「如月まどかを討て。」
「……は?」
「貴様らが ‘目撃者’ であるならば、彼女の動向も知っているのだろう?」
「いや、ちょっと待てや。」サブが食い気味に言う。「俺たちは ‘生き延びる’ ので精一杯やったんやぞ?」
「それでも ‘王国のため’ に働く義務がある。」アレクシスは冷たく言い放つ。「……あるいは、 ‘敵対する者’ として処理されたいか?」
その言葉に、三人は無言で顔を見合わせた。
──選択肢はない。
「……わかった。」萌香が静かに頷いた。「私たちが ‘まどか’ を追うわ。」
「よろしい。」アレクシスは満足げに微笑む。「では、健闘を祈る。」
こうして、サブ、みりん、萌香の三人は、王国の命を受けて ‘勇者殺し’ 如月まどかを討つ旅へと向かうことになった。
しかし、その裏で、王国はすでに ‘別の計画’ を進めていた……。
コメント
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どうもこんにちは犯人ですw うわぁ〜討たれる〜助けてぇ〜 ニゲロー(((((((((((っ; ・`д・´)っ ブーン