[はじめに]
検索避けの為に、名前などはぼかして記載します。
まさや×こじま⑱です。
よろしくお願いします。
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組み敷いた背中は案外薄い。
人の事を言えない体だが、こじまの体にはまさやには無い色気のようなものがある。
「まさやっ」
低い声が不満そうに名前を呼ぶ。
「⋯はいっ」
うっかり見とれていた背中から目を離し、反射的に返事をする。
「な~ぁ~、この体勢イヤやねんけど」
先程から、なんとなく不機嫌だったのはこのせいだったご様子。
「なぁ前も言うたやんなぁ?おれ、向かい合ってが良い。顔見えへんとか愛がないわ」
「ああ~~、ごめんごめん、嫌やったなあ?」
宥めるように言うと「ほんまやでえ?!」と、返された。
こじまは恥ずかしがり屋なくせに、こういった事は案外素直に口に出す。
元来の真面目さが勝つのだろう。
愛とは素晴らしいものである、という信念があるようだ。
「じゃあこじまくん、そのままこっち向いて 」
さのは、こじまの片脚を持ち上げながら身体を半回転させた。
「ぅあっッ?!」
驚きと刺激で、嬌声混じりの悲鳴が漏れた。
「アッ、あほぉ⋯びっくりするやんけぇ」
歪んだ顔は、驚きのせいだけでは無いようだ。
まさやは悪戯に成功した気分で、気分が上がる。
「こじまくんが動く?」
一応毎回、お互い意見の擦り合わせを行いながらする事にしてる。
それ程、心を砕けている事にまさやは安心感と喜びがあった。
「んー、今日はまさやに任せよかなぁ。おれちょっとここ数日、疲れが取れへんくて 」
「え、それはええけど、体は大丈夫なん?」
確かに疲れた顔をしている。いつもより目の下の色が悪い。
「あ、大丈夫大丈夫。深夜のアニメの再放送にハマってるだけやから!」
こんなアホな理由も、こじまらしさだ。
「何やねん!心配して損したわ!」
それでも、体調が万全じゃないのは事実だ。それを面倒くさがらずに 素直に伝えてくれる事は、嬉しかった。
「なんやねんな~、まさやもアニメ見ようや~」
いらん絡みが始まろうとしてしまっている。
「いーまーはー、その話する時やないっ!」
「も~、じゃあ後でするからな~!」
どうやらおすすめしたいアニメらしい。
いつだって、こじまのペースは《らしさ》がある。うっかりしていると、取り込まれてしまう。
ほんま、黙ってたらめちゃくちゃ格好良いのになあ。
しっかりした二重の目も、顎から耳へのラインも、広い肩幅も、笑った時の口のかたちも。少し傷んだ髪さえも、全体を引き立たせるひとつに思えた。
少し聞き取りにくい低い声も、お腹に響いてまさやは好きだった。
「こじまくん、ぎゅーして」
「ん。」
少し拗ねたように言ってみると、すぐに腕を広げてくれた。
その間に倒れこむと、素肌の胸に耳をあてた。
「⋯心臓、早くない?」
「ええ⋯だって、こんなにひっついてるから⋯。早くもなるでしょ」
当たり前のように、早口で返された。
「おれにドキドキしてんの?」
「⋯してるっちゃ、してる」
曖昧なこじまの返答に「なんやねんそれ」と適当につっこむ。
それにしても、心地良い。今度、こじまくんの胸枕で寝させてもらおう。
まさやは、目を閉じてこじまの心音を聞いていたが、なんだか少し早くなっていっているような気がしていた。
「んぅ⋯っ」
こじまが微かに声を漏らし、みじろく。
重かったか?と、顔をあげると、その大きな目は、先程より潤んで歪んでいた。
予想以上の色気にまさやの心臓も、大きく脈打つ。
「こ、こじまくん⋯」
「⋯いつまで、そーしてんねん」
そう言いながら、こじまは右手で口を覆った。
ああ、そうか。
「ごめん」
早く動いて欲しくて、ドキドキしていたんだ。
先程の曖昧な返答の穴埋めができたまさやは、こじまにいじらしさを感じ、愛しく思った。
「じゃあ、ゆっくり動くな?」
「うん」
依然、口に手をあてたまま視線だけを向けた。
こじまがこうして、セックス中に口に手をあてるのは、照れたり恥ずかしかったりする時の癖だ。
催促するような事を言ったのが、恥ずかしかったのだろう。
本当に可愛い。
歳上で、体も大きくて、うっすら髭も見えているのに、それでも可愛い。
「ンッ、ん⋯っ」
低い声が、控えめに漏れる。
こじまはいつも、声を我慢しながら行為に及ぶ。
出したくない訳では無いのだが、こんな低い男の声だ。最中に、まさやの気持ちが削がれるのが怖かった。
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