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「…ディミニア君の家って、ここであってるのかな。」
地図アプリはこの岩山を指している。鬼ってこんなところに住んでるんだ。
辺りは岩、岩、石。それだけ。殺風景にもほどがある。
「あのー!リールベントから来ましたー!ディミニア君のお母様、お父様いらっしゃいますかー? 」
反応はない。というか風の音と聞こえないのなんでっ!肌寒いとまで思う。
「あのー!」
「えっ…」
岩山が揺れた。岩や石が岩山から落ちてくる。
「いらっしゃい。」
その岩山から、鬼が現れた。裕に2mは越えているだろう。肌はディミニア君と違いゴツゴツしている。
「ディミニア君の、お父様ですか?」
「はい、そうです。家庭訪問…でしたっけ?」
「はい、リールベントから参りましたユラギです。」
ディミニア君のお父様からは笑顔が見えない。他の親はニコニコしているが、この人からはそれがない。凄く怖い。
「あ、せんせ。」
「ディミニア君こんにちは。」
「今日はあいにく妻が用事で出掛けておりまして。」
「はい、分かりました。」
ディミニア君の家へ入るとそこは洞窟。こんなところに住んでるんだ。腰痛くなったりしないのかな。椅子は石で出来ていた。凄くお尻がいたい。
「ディミニアはどうですか?」
「ディミニア君はリールベントでは凄くパワフルで、元気な子です。」
やっばいよぉ…こんな無言の圧ある!?何も言わないの怖すぎ…。
「そうですか。他には?」
「え、っと、えっとですね。よくディミニア君はお外で遊んでいて、見てて可愛いです。」
「はぁ!?そんなこと思って見てたのかよ!」
あーごめんなさいごめんなさい。だってそれ以外ないんだもん。ディミニア君可愛いし。駄目だ、ディミニア君の悪いとこしか出てこない。
「ディミニア。先生が話してくれてるんだ。」
「あ、あはははぁ…。」
けど、意外と優しいんだな。もっとグイグイ来るのかと思ったらそうでもないし。
「もう、結構ですよ。」
「えっ、あ、はい。」
ディミニア君のお父様が急に立ち上がり、そう言った。なにか怒らせちゃったかな。
他の子達の家庭訪問は10分ほどで終わったがディミニア君のお家は5分も経たず終わってしまった。本当に申し訳ない。
「では…。」
あ、この地震みたいなのってディミニア君の家から起きてるんだ。すご。
「さて…帰ろ。」
もう絶対家庭訪問行きたくねぇ…。鬼って怖すぎ。
もう夕陽が暮れて来た。風が気持ちいい。
「お母さん、私、職業つけたよ。 」
届くはずのない言葉を空に届ける。
風が私を応援してくれている様な気持ちになった。
「ユラギちゃーん!」
ここには私を応援してくれる先輩がいる。
「ユラギさん♪お帰り~ 」
私と一緒に頑張る同期の可愛い子がいる。
なにより、私はここにいて楽しいと思えた。どんなことでも、頑張ろう。