――夜の闇を切り裂くように、ひとつのジェット機が着陸した。
タラップを降りてきたのは、ふわりとした銀色の髪に、無邪気な笑顔を浮かべた少女。
猫町美々華(ねこまち みみか)、15歳。
平和主義者にして、世界最強クラスの殺し屋。
そして、何より――ライアを激愛するヤンデレ。
美々華:「ライアのGPSが……停止してたのです。」
彼女はひどく穏やかな声でつぶやく。だが、その目は決して笑っていない。
美々華:「うちはね、平和を乱す者を許しません。」
ジェット機の出口から降り立った瞬間、空気が変わる。殺気が広がり、空港の作業員はただならぬ気配に背筋を凍らせた。
作業員:「……あ、あの子……何なんだ……?」
疑問が口に出ることはなかった。視線が向けられた途端、作業員はその場に崩れ落ちる。
――「平和を乱す者は、要らないのです。」
美々華:「ライア、今助けますよ。」
ふわりと微笑みながら、美々華は闇に溶けるように姿を消した。
同時刻、廃工場跡。
ライアが、ゆっくりと立ち上がる。雨宮の異能によって傀儡と化した彼は、もはやかつての狂気すら失っていた。
ライア:「……俺は……誰だ……?」
その時、彼の耳に聞き慣れた声が届く。
美々華:「ライア……♡」
ライアの体がビクリと震える。振り返ると、そこには美々華が立っていた。彼女は手を広げ、優しく微笑んでいる。
美々華:「会いたかったのです。もう大丈夫、うちがいますよ。」
ライアの目に、ほんのわずかだが生気が戻る。
ライア:「……美々華?」
その声に、彼女はうっとりと頷く。
美々華:「そう、うちですよ。ライアの美々華です。」
しかし、その幸せな時間は一瞬で終わる。
――ガシャッ!!
銃声が響き、美々華の足元に弾丸がめり込む。
吉田:「悪いが、感動の再会って気分じゃねぇんだよ。」
煙草をくわえ、吉田武史が姿を現した。背後には結那と霧島。全員、戦闘態勢だ。
美々華:「……平和を乱す者、ですか。」
その声は、さっきまでの優しさをかけらも残していなかった。
美々華:「ライア、少し待っていてくださいね。」
ふわり、と微笑む。
次の瞬間――吉田たちの視界から、美々華の姿が消えた。
吉田:「!!!」
――”平和を乱す者は、始末する。”
戦場に、嵐が来る。