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遥か澄み渡った大空の一点に光が生じた。その光は太陽を凌駕するかと思わせる程の強烈なまばゆさであった。
光が収まり、そこに現れたのは、白馬に跨《またが》り、神々しいまでに美麗な甲冑をまとった一人の乙女の姿であった。
夏の光を結晶化したようなプラチナブロンドの髪をなびかせ、澄み渡った青い空そのものの色をした瞳を輝かせた乙女は白馬に軽く鞭を当て、空中の騎行を命じた。
しばし目を閉じ、肌に触れる暖かな日光と風の感触を心地良げに楽しんだ乙女はやがて地上へと視線を送った。
極東の島国、日本。そこに住まうのは、数百年に及ぶ内戦の末、独特の倫理、美意識、戦闘様式を完成させた「侍」と呼ばれる最強の戦闘集団である。
彼らは長き太平の眠りに落ちる前の、最後にして最大の決戦を行おうとしている。
その戦いは史上空前の規模のものとなり、おびただしい血が流れ、数え切れぬ命が失われるであろう。
「私が求める真の勇者がきっとそこに・・・」
乙女の胸は期待と興奮に高まった。