あれから半月後、満彦が帰ってくるなり
苦笑しながら告げた言葉に俺は絶句してしまった。
「柾、今週末校長と飯食いに行くぞ」
はぁ~!?
どうしてそうなったんだよ……
『とりあえず、説明してくれ』
幸いだったのは飯を食い終わっていたことだ。
「桜耶に会いたいって言うしこの間の坂北に行った時とか
元妻が来た時も途中抜けやら早退やらさせてもらったから
そのお礼の代わりに一緒に夕飯を食う約束をさせられってわけさ」
あの校長なら確かに言い出しかねない。
『そうか、わかった』
週末まで三日。
楽しみが出来たな。
**週末**
今日は校長と四人で夕飯を食べる約束の日だ。
店の場所は校長が事前に満彦にメールをしていた。
中に入り、名前を告げるとすぐに通された。
『久し振りです』
この校長だから元気じゃないってことは
ありえないから
あえて、『お元気でしたか?』
とは訊かなかった。
「三神君、本当に久し振りだね」
何故か嬉しそうだ。
「で、この子が四浦君の子かい?」
椅子から降りて桜耶と目線を合わせた。
「初めまして、四浦桜耶です」
ペコリと頭をさげた。
「四浦君の躾がいいんだなぁ」
桜耶に自分の自己紹介をした後、
満彦に向き直ってそう言った。
満彦は勉強はできなくても、
挨拶はきちんとしろと常々言っている。
校長が連れて来たのは所謂、回転寿司だった。
事前に満彦に桜耶の好物を聞き出していたのだろう。
「今日は好きなだけ食べなさい」
奢ってくれるらしい。
太っ腹だなぁ。
「桜耶君も好きな物を沢山食べるんだよ」
その言葉に俺と満彦は微苦笑した。
四人で食べた夕飯は美味しかった。
財布を出そうとした満彦を制してさっさと会計してしまった。
「ごちそうさまでした」
三人を代表して満彦が校長に言った。
「いやいや、桜耶君に会えて嬉かったよ。
また四人で来よう」
「そうですね」
教師二人は次の約束をしたみたいだ。
駐車場に停めたそれぞれの車に
乗り込み、校長を見送ってから
満彦も家に帰るべく右にハンドルを切った。
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