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澄み渡る晴れ空の下、少年サッカーグランドの観客席は、サッカー選手の保護者達でごった返していた
この試合は地区大会進出に向けての大切な予選のため、どの保護者も応援に気合いが入っている
レオはなるべく保護者席を観ないようにして、ウォーミング・アップをしていた
どうせ保護者席を観ても、今日は自分を応援してくる人はいない
ボールを頭でポンポンしていると、保護者席から自分を呼ぶ声がした
「レオくぅ~~~ん!ここだよ~~~ここ~~~~!! 」
声のする方に顔を向けると、保護者席の最前線に明がいた、レオは驚いて明の傍へ駆け寄った
「・・・来たのか?・・・」
「来るって言ったよ! 」
二人は立ち尽くして見つめ合う
たしかに数日前に明は試合を観たいとは言っていたけど・・・まさか本当に来るとは思っていなかった
「レオ君!すぐにわかったよ!そのユニフォームカ・・カッコいいね!」
真っ白のナイキのキャップから、綺麗な明の笑顔がこぼれている
―ぴょんこっ!―
レオは咄嗟に腹のみぞおちを抑えた
まただ・・・
どういうわけか腹の中の奥が、ザワザワする
またカエルが騒いでいる、こりゃ本気で内科検診の時に、先生に言った方がいいのかも
「レオ君!アリスだよ!僕のお姉さん!」
「はじめまして!あなたがレオ君ね!」
ペコリッ「こんちゃっす!今日はお忙しい中ありがとうございますっっ!」
「まぁ!なんて礼儀正しいんでしょう!」
明が嬉しそうにアリスにレオを紹介する、レオがペコリと深くアリスに頭を下げた
さすがスポーツ選手だけあって、礼儀がなっている、アリスはいっぺんに礼儀正しいレオが好きになった。アリスが顔の前で両手を組んで心配そうに言う
「対戦相手・・・みんな大きいわ・・上級生なんでしょ?」
「え?あ・・ああ・・・そうですね・・・ 」
あんなの「へ」でもねぇよ、そう言いたかったが初対面なので、レオもアリスの前ではしおらしくしていた
その時集合のホイッスルが鳴った
「それじゃ!」
「がんばれー!」
「気を付けてね!怪我だけはしないように!」
青と白のストライプのユニフォーム姿のレオが、颯爽と走っていく、背番号のストライカーの7番が光っている、一人上級生に交ざってレギュラーのレオは異質だ
対戦相手は、どうやら今年優勝の本命チームで強敵らしい
ドキドキの試合開始のホイッスルが鳴った
「レオ君!頑張って~~~!」
明が大声を張り上げて一生懸命レオに声援を送る、あんな明は初めて見る、とても興奮している
「お・・・おう・・・ 」
ポンッポンッと、軽くウォーミングアップでボールを蹴り上げているレオがチラチラ明を見る、明が笑顔で一生懸命手を振っている
「ふ~~ん・・・・ 」
レオは人差し指で鼻の下を擦った
ニヤリ・・・
「そんなにカッコいい俺が見たいのかよ」
前半試合5分経過、レオチームがゴールを決めかけたが、相手チームのゴールキーパに上手く弾かれた
ざわっ!!「あ~!おしいっ」
「敵のゴールキーパー上手いわ!」
アリス達観客席は手に汗握る、応援にも熱が入る
一瞬の隙をついてレオが左端に猛ダッシュした、それをチームメイトが感づく
すかさずチームメイトがレオにボールをパスし、コナー左端からレオがドカンッと蹴った
ボールはグンッと信じられないロングカーブを作り、キーパーが絶対取れないコーナーネットに叩きこまれた
ピ―――――ッ!「1点っっ!」
ドヨッ!「バッ・・・バナナシュート!!」
「めっちゃいま曲がったぞ!」
「すごっ・・あの7番・・・下級生?」
「レオだ!」
一斉にどよめきがおこり、レオチーム陣営の保護者席は完全に熱狂し、「レオ!レオ!」と叫んでいる
キャー――!!
「すごぉ~~~~い」
「すごぉ~~~~い」
アリスと明が両手を繋いでピョンピョン跳ねている
「レオ君キャプテン翼みたぁ~い!」
「何それ?」
「ボールは友達よぉ~~♪」
「だからそれ何?アリス」
アリスも明も共に叫び声をあげながら、キャーキャー飛び跳ねている、それがレオの視界に入ってくる
フッ・・・・
「大袈裟なんだよ・・・・」
腹の底のカエルが小刻みに跳ねている、でも・・・嫌じゃない・・・
そこからのレオは明の歓声に包まれて、走った!蹴った!蹴りまくった
カッコつけるのが得意なレオが、ゴールを決めるたびに、明に向かって親指を立てる
レオからファンサを貰って、さらにアリスと明が興奮する
明の声に心を包み込まれ、血がどんどん滾ってたぎきて、今までで一番良いプレーをする
午前の部の試合はレオの活躍もあって圧勝だった
休憩時間に入るとレオは堅苦しいぐらいに、背筋を伸ばして明の元へ行った
明が足をバタつかせて、拳を握りしめて言う、明らかに興奮している
「もう~~~~!レオ君!最高だよ!一番カッコいいよ!」
明の100万ドルの笑顔を見た、レオの体に動揺が走った
―ぴょんこ!―
・・・うっ・・・・
その時また腹のカエルが跳ねた