「僕」は必要？

※リスカ、嘔吐の表現があります。

僕が話し始めると、コメントの流れが速くなる。

その中でも見えてしまうアンチのコメント。

［きしょ］

［面白いと思ってやってるの？］

［は？］

［きも］

僕のリスナーは優しい。

これは僕への「優しさ」なんだ。

［どした、力也？］

［パソコン壊れた？］

コメントを見すぎて、喋るのを忘れてた。あそれと、速度の速いコメントで少し酔ってしまった。

「ちょっとごめん、一旦ミュートしていい？」

［どした？］

［大丈夫か、］

［大丈夫かぁぁぁ？］

［どーでもいい］

［早くしろよ］

🖱ｶﾁｯ(ミュートにする)

「ふｯくろｯ…どこｯ……」

「うﾞｯ…おﾞｯぇﾞぇﾞｯ……ｹﾎｯ…ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ…」

「ﾋｭｰ…ｯ」

今更何を気にしているんだ、僕。

心が限界でも顔、声には出さない。

笑顔を偽れ。

それが“優等生”

何も無いように。

何も無いように。

🖱ｶﾁｯ(ミュート解除)

「ごめーん、剣持犬がw」

［なるほどw］

［それだけかよw］

［早く続きしろよ］

「分かった分かったw」

やっぱり僕は隠すのが上手いなぁ

1時間後＿

［おつあごー］

［おつあごー］

［おやすみーー］

［寝よ］

今回も配信を終えた様だ。

不自然だった所は多分無いだろう。

明日は収録があるから今日は早めに寝よう。

そう思い、ベッドに潜り込む。

配信の前にお風呂や歯磨きを終わらせておいてよかった。

夜の家は静かだなぁ。

うるさい暴言も聞こえなくて。

僕を怒鳴る声も聞こえなくて。

1日に数時間だけあるこの時間が僕はとても好きだ。

気が付くと朝になっていた。

今日は家が静かだ。何でだろう？

リビングへ行くと、置き手紙があった。

【しばらく帰らない。】

この1文だけの手紙が2枚あり、1枚目は母の字で、2枚目は父の字だった。

いっその事僕も家出してやろうかな。

貯めてたお金でアパート借りて、家具とか買って、ノートパソコン持っていって、周辺機器とかは……うーん……まとめて新しいの買うか。

出来そうだな。

でもまずは収録だ。

早くスタジオに行こう。

🚪『ｶﾞﾁｬ』

「おはようございます。」

そこには社長1人しか居なかった。

「あれ？まだあの2人来てないんですか？」

「そうなんですよ…剣持さんはいつも早く来ていて偉いですね！」

「えへへぇ( *´꒳`* )」

🚪『ｶﾞﾁｬ』

「遅れましたぁ……ごめんなさい…」

「甲斐田くん、何で遅れたの？(圧)」

「助けて社長ぉぉ(´；ω；｀)」

「嘘だってぇw」

「(* ´ ˘ ` *)ﾌﾌﾌなんだかお2人の空間はほわほわしてますねぇ」

「まさか媚びてしまった!?」

「いいじゃないですかwカメラ回ってないんだしw」

🚪『ｶﾞﾁｬ』

「ｽｩｰ…すいません、寝坊しましたぁぁ！」

「時間ギリギリ！流石アニキ！」

「後2分で収録時間だ、逆にすごいよw」

「まあ、皆さん無事に来て良かったですw」

ｽﾀｯﾌ「じゃあお願いします！」

「━━━━━━━━━━━！」

「━━━━━━━━w」

「━━━━━！━━━━━━━━━━!?」

「━━━……━━━━━━━━━」

「終わったぁぁ、アニキ疲れた？」

「めっちゃ疲れた……」

「でも今回あまりキツいの無かったですね。」

「いつもの電流とかは無かったですけど…でも疲れたなぁぁ」

「あ、剣持さん！この後打ち上げ行きません？」

「もちさんは来ないってぇw」

家帰っても何も無いしなぁ…たまには行くか。

「行きます！」

「えぇ！？(3人とも)」

「なんだとｯ!?あのもちさんがｯ!?」

「嘘ｯだろ……？」

「剣持さん、熱あるんじゃないですか？」

「もう〜3人して大袈裟だなぁw」

「今日は家帰っても何も無いな、と思ったからだよw」

「じゃあ行きますか！」

【社長目線】

🚪『ｶﾞﾁｬ』ｲﾗｯｼｬｲﾏｾｪｪ

私達は空いている席に座った。

「何か頼みたい物とかありますか？」

「とりあえずビール！」

「甲斐田くんは飲み過ぎないように。」

「www」

甲斐田さんはべろべろに酔っていた。

「あにきぃ……助けてぇぇ……」

「もうダメだァ……ｯ」

「そろそろ帰ります？」

「そうですね。」

「甲斐田は俺に任せて下さい✨」

「頼もしいw」

「じゃあ私達も帰りますか！」

「そうですね！」

「社長は1人で帰れますかぁ？」

「大人をバカにしてw」

「じゃ、さようならー！」

「さようなら！」

【剣持目線】

🚪『ｶﾞﾁｬ』

「ただいま。」

自室に行きながらエゴサをしようと思い、スマホを開く。

エゴサ、と言っても僕が不自然だった所は無かったかの調査だけど。

エゴサをしてても目に入ったのはアンチ。

僕は馬鹿なのか。なんで見たくないのに見るんだ。

暴言を見ていると怖くなる。たとえネットでも。

「ごめんなさいｯ……」

言いたくなくても口に出してしまう。

自分は人を不快にした。だって、そうじゃないと可笑しい。何にもないのにこんな事書く必要は無いのだから。

［きも］

［無理］

［こいつまだやってんの？］

［死んだ方がいいんじゃないの？］

そんな言葉も全てメモする。

僕の成長には必要だから。

どうやったら皆が楽しい配信が出来るか。

どうやったら悪口を言われないか。

僕は何をしたら気が済むのか。

何を捜し求めている？

“完璧”を求めているのか？

そんなのなれる訳ないのに……w

僕には罪がある。

その罪を償う為には傷がいる。

今日も左手に刃物を滑らせる。

気持ちがいい。

何もかもが浄化されていく。

罪と一緒に僕も消えてくれれば楽かなぁw