放課後。
悠斗と紗菜は委員会があるらしく、私は一人で帰ろうとしていた。
「……あれ?」
昇降口を出たところで、見慣れた後ろ姿が視界に入る。
「湊?」
私が声をかけると、湊が振り返った。
「お前も帰るのか。」
「うん。悠斗たちは委員会みたい。」
「へぇ。」
それだけ言って、湊はまた前を向いて歩き出す。
(え、待って。なんでこんなにそっけないの!?)
昨日のお見舞いのときは、ちょっと素直なとこも見せてたのに、今日はやけに静かだ。
私はモヤモヤしながら、自然と湊の隣を歩いていた。
「……てか、昨日のこと覚えてる?」
意を決して聞いてみる。
すると湊は、少しだけ足を止めた。
「……別に、普通に覚えてるけど。」
「ならさ、なんで今日はそんなに冷たいわけ?」
思わずそう言ってしまう。
「……別に、いつも通りだろ。」
「嘘。なんか変。」
湊は一瞬だけ目を逸らしたあと、ため息をついた。
「……気のせいじゃね?」
「絶対気のせいじゃない。」
「……」
湊はしばらく黙っていたけど、ふと歩くスピードを緩めた。
「……お前が悪い。」
「は?」
突然の言葉に驚く。
「昨日、余計なことするから。」
「余計なことって、お見舞いのこと?」
「……知らね。」
「はぁ!?」
意味わかんないんだけど!!
「なにそれ、私が悪いみたいな言い方!」
「だから、知らねーって言ってんだろ。」
「……」
湊はぶっきらぼうな口調のまま、顔を逸らす。
その横顔が、なんだか少し赤く見えた気がした。
「……湊?」
「もう帰るぞ。」
湊は話を打ち切るように、スタスタと歩き出した。
私は置いていかれないように慌てて後を追う。
(……やっぱ、なんか変だよ。)
昨日よりも、今日の方が湊が遠く感じる。
──どうして?
**—次回!**
「『お前のせい』ってどういう意味!? せりなのモヤモヤが止まらない…!」
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