「最後の呪いだぜ……」
流鏡は静かに、しかしどこか冷ややかな笑みを浮かべて言った。まるで、自分自身が生きる意味すら見失ったかのように。
「お前は意味もなく人を殺した。でも、俺たちはみんな、誰かの掌の上で踊らされていた。」
その名を口にする前に、一瞬だけ流鏡の瞳が鋭く光った。
「あいつの異能は《黙秘の契約(サイレント・パクト)》。秘密を交換し合い、口外できなくする。だから夜咲も、俺も、お前も、
何も言えなかった。何もできなかった」
少しの間を置いて、流鏡は吐き捨てるように続けた。
「すべては狂っていた。俺たちは被害者じゃなくて、ただの駒だったんだ。愚かで、脆い駒にすぎねえ」
そう言い残し、彼は薄く笑った。
「さあ、これが最後の呪いだ。だろ?」
後ろから一人、紅茶を飲みながら歩く男がいた。
彼の名は、ミルゼ