あの一件(霊に襲われた時)以来木兎さんを見ると何故か胸のあたりがモヤモヤする。
(かっこよかったなぁ)
無意識に自分がそんなことを考えていることに気づいて頭を振る。
決してそんなんじゃない。俺が木兎さんのことを好きになるなんてありえない…。
「あっ!!あかーし!!!!」
現在俺の悩みの種である人物の声が聞こえた。
いきなりの登場にビビったがすぐにいつもの無表情で木兎さんと接する。
「どうしたんですか?」
「なんでもない!!あかーしがいたから呼んだ!!」
「そうですか」
「今日は大丈夫?」
“今日は大丈夫?”最近木兎さんが俺に言う言葉。なぜ毎日そんなことを質問するのか聞いたら「あかーしのことが心配だから!!」と言われた。そういうこと簡単に言うのやめて欲しい。心の中で天然人たらしと文句を言っている。
長い授業も終わり放課後の練習が始まった。
いつも通りの練習メニューをこなす。
そしてあっという間に自主練の時間が来た。
木葉さん、小見さん、猿杙さん、鷲尾さん、木兎さん、尾長、俺を含め7人でミニゲームをしていた。いい感じにラリーが続いて試合が白熱し始めた時
突然大きな音がなって先程まで明るかった体育館が嘘だったかのように目の前が真っ暗になった。突然のことにあたりが騒然とする。
「停電?!」
「誰か電気つけて!!」
「なに?!」
「電気つかないよ?!」
チッ
思わず舌打ちが出た。
おそらくこれはただの停電ではない。
嫌な気配がする。
「みなさん落ち着いて!!!!1回集まりましょう!俺の声を頼りにこちらへ来てください 」
この状況でみんながバラバラになるのはまずいと俺の勘が言った。
「みなさん大丈夫ですか?念の為点呼とりま す?」
「はいはいはーい!!俺がてんことる!」
「では木兎さんお願いします」
「じゃあまず木葉!!」 「いるぜ〜」
「小見やん!!」 「生きてるぜ〜」
「鷲尾!!」 「大丈夫だ」
「さる!!」 「いるよ〜」
「尾長!!」 「は、はい!!」
「あかーし!!」 「いますよ」
「そんで俺!!全員いるな!!」
とりあえず全員いることに安堵する。
「なんかこえーし手繋ごうぜ〜」
「木葉ビビってんの〜?」
「う、うるせえ!!」
「集まったはいいもののどうすんの?」
「こうなってしまった原因が出てくるのを待つ しかないですね。」
「待つって何を?」
「幽霊です」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!」
誰かが叫んだ。
「うるさいですよ」
「いやいやなんでお前そんな冷静なん?!」
「慣れてるんで」
「ほんとに幽霊の仕業なの?」
「あかーしが言ってるからほんとだよ!!!!!!!!」
「なんで木兎が答えんだよ!!」
ぞわり
嫌な予感しかしない。
「みなさん、多分そろそろきます。誰かスマホ 持ってませんか?明かりが欲しいんですけ ど、」
「お、俺もってます、俺のでよかったら使って ください!!」
「ありがとう尾長」
「みなさんはここにいてください」
「あかーしはどうすんの?」
「嫌な気配がするとこ少し見てきます。」
「俺も行く!!」
「木兎さんは大人しくしててください」
「やだ!!あかーし1人とか危ないじゃん!!前みた いに襲われるぞ!!」
「えっ?赤葦襲われたの?」
「誤解です」
「あかーしお願い!!1人で行かないで?俺ならお 化け殴れるから!!」
「…殴って手怪我したらどうするんすか」
「俺は最強だから大丈夫!!」
「はぁ…分かりました。一緒に行きましょう」
「やった!!あかーしは俺が絶対守る!!」
「ありがとうございます」
「あの〜…ラブラブなとこ申し訳ないんだけど 俺たちはどうすればいいの?」
「木葉さん達はそこでかたまっててください。 絶対ですよ」
「、わかった…!!」
「ではみてきます。」
「気をつけろよ」
緊張する。じっとりと冷汗が顎を伝う。
そんなとき右手に体温を感じた。
「木兎さん手…」
「あ、ごめん嫌だった?あかーし不安そうだっ たから」
「顔見えないのになんで不安そうって思うんで すかバカですか?」
木兎さんに不安なのがバレてることが悔しくて思わず毒舌になる。
「気配!!!!」
でも木兎さんはそんなこと気にしないと言わんばかりに元気よく答える。
こういうとこほんとに尊敬する。
「手繋ぐの嫌だった?」
「……」
返事をするかわりに木兎さんの手を握り返した。
嫌な気配に向かって進むにつれ気分が悪くなる。けど不思議といつもよりも楽だ。
木兎さんのパワーのおかげかなとらしくもないことを考える。
嫌な気配がしたところに光をあてるとそこには俯いてる小さな女の子がいた。
「えっ?!女の子?!迷子?」
「そんなわけないでしょ。今回の停電の原因多 分こいつです」
「え?!こんな小さな子にそんなことできん の?」
「死んでるやつに小さいも大きいも関係ありま せん。死んでからどのくらいここをさまよっ てたかが問題です。」
「そうなんだ…でもなんか弱そうだな!!」
「油断はいけません。」
でも、確かにこの女の子には嫌な気配がない。
ただ、その気配のなさが逆におかしい。
「ねぇ君!!1人でなにしてんの?」
木兎さんの声に反応したかのように女の子が少し動いた。
「ちょっと木兎さん!!話しかけるのはあまり良 くないです!!」
「え〜だって動かないし話しかけたら動くか な〜って思って」
「危ないからやめてください。…でも確かに動 かないですね。」
少し触ってみますか と言って俺は女の子に近づいた。
その瞬間…
ガシッッ
先程まで全く動かなかった女の子が俺の腕を思い切り掴んだ。
「い゙っ…」
女の子とは思えないほどの力で腕を捕まれ思わず顔を顰める。
俺の腕を掴んだまま女の子はゆっくりと顔をあげた。
イ ッ シ ョ ニ ア ソ ボ ?
目の前にあらわれた顔は目と口がくり抜かれたように真っ黒だった。
顔を見た瞬間先程までなかった嫌な気配がブワッと押し寄せるように襲いかかってきた。
急に来た嫌な気配に思わず持っていたスマホを落としてしまった。
「うっ…」
「あかーし?!おい!!あかーしをはなせ!!!!」
木兎さんがいくら女の子の腕を引っ張ってもビクともしなかった。
そんなことをしてる間にも嫌な気配はどんどん増えていきついに俺は立っていられなくなった。その場に蹲った俺に木兎さんが焦る声が聞こえた。
「あかーし!!大丈夫?!」
木兎さんの焦る声が聞こえたのか遠くから木葉さん達が大丈夫か〜?と心配する声が聞こえた。大丈夫じゃないけどここに木葉さん達が来てしまうのはもっと大丈夫じゃない。
「木兎さんっ…大丈夫って伝えてください…」
「えっ!!なんで?!」
「いいからはやく!!」
「わ、わかった…」
大丈夫〜!!と木兎さんは遠くにいる木葉さん達に聞こえる声で言った。
「あかーし大丈夫?」
「はい…」
「なんなのこの子供!!ビクともしない!!あかーしはなして〜!!」
木兎さんはそう言いながら女の子の腕をずっと引っ張っている。
「あかーしぃ…」
「木兎さん…前の時みたいにこいつ殴ってみ ください…」
「子供殴んの?!」
「物は試しです」
「わかった」
よし!!行くぞ!!そう言って木兎さんは女の子に顔面パンチをくらわせた。
だがピクッと反応しただけで何も変わらなかった。するといきなり女の子がグイッと俺の腕を引っ張った。
蹲っていた俺はいきなり引っ張られて躓いてしまった。
「やめろ!!あかーし連れてくな!!」
必要に叫ぶ木兎さんに目をやると木兎さん空中をドンドンと叩いていた。
まるでそこに透明の壁があるかのように。
「木兎さんっ…!!」
俺も必死に叫び手を伸ばすが届かなかった。
ああくそ…俺に除霊の力があれば。
どんどん木兎さんが遠ざかっていく。
俺の腕を引っ張る子供は体育館の扉まで行って止まった。そして扉を開けるとそこに広がっていたのは俺のよく知る光景ではなく真っ黒に塗りつぶされたような 空間だった。子供はその空間に俺を投げ入れた。真っ黒な空間に投げ入れられたと気づいて扉の方を見るとそこには目と口がくり抜かれたような顔をした俺がいた。
END(3000文超えてたwごめんね…文章で書くのムズいから続き書くか迷ってる!!みんなの反応で決めることにする!!またね〜!!)
誤字脱字あったらすみません!!
コメント
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もう、最高…続きを楽しみに待っています!
話で場面が想像できてめちゃめちゃ面白い!!赤葦さんが怖がってるとか良すぎ… よくこんな内容思いつくね、すごい!!!続き楽しみに待ってる!!