湊の態度が引っかかって、なんだか授業が全然頭に入らなかった。
黒板を見ても、先生の声を聞いても、頭の中にあるのはさっきの湊の言葉だけ。
(…いやいやいや!あの湊が私に嫉妬とか、ありえないでしょ!?)
そう思いたいのに、悠斗の「気にしてる?」って言葉が頭から離れない。
私はこっそり湊の方を横目で見てみた。
…相変わらず無愛想。いつも通りの湊。
(やっぱり考えすぎ…?)
そう思った瞬間。
「……見すぎ。」
「ひゃっ!?」
突然湊に話しかけられて、私は変な声を出してしまった。
「な、なに?」
「お前、さっきから俺のことチラチラ見てんじゃん。」
「見てないし!」
「いや、見てた。」
「……っ!!」
バレてた…!!恥ずかしすぎる!!
私は慌てて前を向いて、黒板に集中しようとした。でも、心臓がバクバクして落ち着かない。
(なにこれ、私…なんでこんなに意識してるの!?)
**—昼休み—**
昼休みになり、私は紗菜とお弁当を食べることにした。
「でさ~、悠斗ってほんと優しいよね!」
「そうなの!昨日も家まで送ってくれたし、朝もちゃんと挨拶してくれるし…!」
「え、やばくない?もう付き合っちゃえば?」
「はぁ!?なに言ってんの!?」
「いやいや、絶対悠斗、せりなのこと気に入ってるって~!」
紗菜はニヤニヤしながら言うけど、私はなんだかモヤモヤした気持ちになる。
悠斗のことは確かに優しいし、一緒にいると落ち着く。…けど。
(でも、私は…)
ふと、湊のことが頭をよぎる。
(…なんで、ここで湊の顔が思い浮かぶの!?)
私は慌てて頭を振った。
「ちょっ、せりな?」
「う、ううん!なんでもない!」
(だめだ、なんかおかしい…)
悠斗が優しくしてくれるのは嬉しい。でも、湊のことになると、心がざわつく。
これって、もしかして…
私、湊のこと…!?
**—放課後—**
帰り道。今日は悠斗と一緒じゃなく、紗菜と歩いていた。
「ねえ、せりな。」
「ん?」
「もしさ、悠斗が告白してきたら、どうする?」
「……え?」
考えたことなかった。その可能性。
「え、ちょっと待って。それって、悠斗が私のこと好きってこと!?」
「いや、まだわかんないけど…でも、結構いい雰囲気じゃん?」
「う、うーん…」
私、悠斗のこと、好き…なのかな?
でも、湊のことを考えると、心がモヤモヤする。
「まぁ、まだ考えなくていいか!」紗菜は軽く笑いながら言った。「でも、せりなはモテモテだからね~!ちゃんと自分の気持ち、整理しなよ!」
「…うん。」
整理しないと。
私の、このモヤモヤした気持ちの正体を——。
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