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それを見たら「もうやるしかない!」と思わざるを得なかった。



私は、応援してくれてるみんなの顔を思い浮かべて自分に気合いを入れた。



パン教室の準備は完了してたから、1回目が始まるまで『杏』のスペースを手伝うことにした。



そこには店員が4人着いていて、他の人は百貨店ではなく『杏』にいて、あんこさん中心に総動員でパンを焼いていた。



夜中から大量に仕込みをして、どんどん焼き上げていく。



でき上がったパンを百貨店まで運ぶのも『杏』の従業員だけでは人手が足りなかった。



それを心配して、東堂社長がぜひ自分達にも運ぶのを手伝わせてほしいと言ってくれて……



東堂製粉所の仕事もあるのにと、最初はあんこさんは断ったみたいだったけど、それでもやりたいと言ってくれる社長の熱意に負けて、結局お願いすることになった。



間違いなく東堂社長は、頑張ってるあんこさんの役に立ちたい、支えたいと……そう思ってくれたんだ。



慧君まで一緒に動いてくれて、すごく心強かった。



朝からあんこさんは1度パンを運んできて『杏』のスペースに立つ店員に、パンの並べ方などを指示していた。



私にも声をかけてくれ、急いでまた戻っていった。



みんなに感謝してるあんこさんの気持ちが、私にも他のみんなにもストレートに伝わって『杏』のチームの思いはひとつになった。



いよいよ開場の時間。



アナウンスと同時にお客様が入場してきた。



「始まる……」



ドキドキと共に『杏』のブースにもいきなり行列ができた。



ネットなどでの前宣伝のおかげか、あんパンを中心にパンが飛ぶように売れていく。



いつも接客してるけど、緊張感は全く違う。



流れ込むように次から次へと止めどなく来てくれるお客様。



私達は丁寧に、かつ、機敏な動きで対応しながらパンを販売した。



桜の花の塩漬けを飾った『杏』の名物のあんパンに、いちごパウダーを練りこんだ甘酸っぱい風味を楽しめるパンや抹茶の爽やかな香りを楽しむ蒸しパンなどが人気だった。



それに加えて、もちろん、クロワッサン、バゲット、シナモンロール、カレーパン、メロンパン、クリームパン、コロネ、惣菜パンなどの定番商品も売れ行きは好調だった。



あんこさんが考えた他の創作パンもあり、どれにしようか迷う品揃えだ。



あと、食パンは数を限定して1種類のみ販売した。



それは、東堂製粉所の最高の小麦が感じられるふんわり柔らかな食感で『杏』でも出せばすぐに売り切れる人気商品。



どれもこれも、あんこさんの自慢のパンばかり。



心がこもってて美味しくないわけがなかった。



嘘みたいな売れ行きに、私はあんこさんに状況を報告した。



そしたら、嬉しい悲鳴と共に、あんこさんは「大急ぎでどんどんパンを焼くから!」と張り切って言ってくれた。



慌ただしい向こうの様子が手に取るようにわかって、私は「頑張って……」と応援せずにはいられなかった。



そうしてるうちにパン教室の時間がやってきて、人の心配ばかりしてる場合じゃなくなった。

あなたと恋に落ちるまで~御曹司は、一途に私に恋をする~

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