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僕らの マスク戦争
大三章 開戦❷
ハクトを襲った犯人は、未だ分からない。暫くはハクトの送迎を家族で分担した。それに、櫻坂キョウコも何故か、自分からハクトのボディーガードをかって出た。母、ミツコの仕事の時間に合わせ、なんと週3日、彼女の自宅でハクトは過ごした。
他人との接触は勿論、話しも出来ないハクトが、他人の家に行き長時間過ごしている事、僕も母も驚きしかない!不可思議でいくら考えても理解不能だ。
「襲われた恐怖から,救出してくれたキョウコさんを、身内のように感じたのかしらネ?そう言ったら私も、初めて彼女にお会いした時に、なんとなく前から知り合いだった様な、妙な気持ちになったわ…マア、電話で話したことが有るからかも…」母は、自分なりの着地点を模索する。
僕は、少しずつだが,あの日、キョウコが放った…セオリズマイヒメの末裔と言う摩訶不思議な世界に、『ハクト』も、関係があるのではと思い始めていた。
流行病は、毎度同じ感染の波を繰り返し、この日の朝の朝礼も、感染防止の為、校長挨拶から始まり、いつもならアナウンスのラストの声かけと、ショートメロディーが流れて終了になるが、今日は違った。突然、生徒会長の進学クラス3年Aの、[吉川イズミ]の緊急校内放送が始まった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜「感染拡大の中、マスクの義務化を叫ばれている現在、マスク着用は必須です。しかし残念ながら、わが高の模範となるべく、3年の1部の生徒で、登下校と構内移動の際、マスク無しの生徒が確認されています。社会通念からも、猛省を促したいと思います。」
「今後の感染防止にあたり、生徒会として、学校側と相談の結果、いずれそうなることを見越し、我が八王子南高校では、いち早くマスクの義務化を提案し,PTAの意向も伺った上で決定したいと思っています。」〜〜〜〜〜〜〜〜
( 義務化?オイ、オイなんでだ!そんなバカな話があるか?勝手に決めるな❗️マスクしようがしまいが、感染は止められないじゃないか!!)
生徒会長の吉川イズミの父親は、地元で1番大きな医療法人、吉川総合医療クリニックの院長なのだ。おまけにPTA会長でもある。
( どうやったって、勝負は既に決まっているじゃないか❗️)
大きな権力という父をバックに持つ娘の、自分本位で何でも意のままにしようとする尊大さに、僕は久々頭に血が昇った。
(まず、イズミはノーマスクの生徒に、万が一にも出くわし、うつされたらタマラナイ!!大事な医学部受験に差し障りがあってはならない!自分のこのマスクの義務活動が、ひいては父親の名誉と病院の新薬投与の推進にも繋がる、、、マア〜こういった考えが,イズミの頭の中にあってこその,学生版、政治的誘導を仕組む…)と、勝手に推理する、、、、、、
担任の前橋は、「入試を控えたお前らにとって、今、反発する事は決して利口なことではない!俺は、お前たちの望む未来を壊される方が無意味だと思う。不本意でも従え、先の未来を信じろ!」
と、期待はずれの答えを返してきた。前橋の真意を読めば、仕方ないとは思うが………。
“”@ それから暫くして、信じ、難く、それはそれは恐ろしい法律が施行されたのだ。マスクの義務化と(予防接種)、政府決定事項、緊急事態条項だ。黒マスク警察とやらが、法令を遵守する権限を持ち、一斉に取り締まりが始まる。違反した場合の罰則規定は、7日間の勾留と新薬の治験強制だった。
僕の恐れていたことが現実に起きた❗️
ハクトが、僕の弟が白昼堂々連れていかれた。マスクをしていたキョウコも一緒らしい。彼女は咄嗟に、ハクトを守る為、反マスクを名乗り自爆したものと思う。 母のミツコは、目を晴らし、何度も連行先に父のタカシと出向き、理不尽な扱いだと訴えた。ハクトの担当医からも、病状の説明を願い出たいと、1日中悪戦苦闘した。
条項では、18歳未満においては、違反切符同等の,児童育成指導機関と称した施設に収容される。ハクトの場合は、疾病に依る脱マスクである為、収容ではなく1時預かりになる。
施設には,医療と保護師が常に滞在し,1日中CAREされると、説明があった。がしかし、面会禁止と声もメールも不可とは、まるで犯罪者扱いではないかと,僕らは憤慨した。
キョウコに関しては、捕らえられた少し後に、
「オカン?ワザと捕まった。だから、いつでも出られるから心配しないで、キョンを信じて」と、お母さんへ連絡があったらしい。キョウコのお母さんは、 「あぁ見えて、あの子は結構頼もしいの、大丈夫!きっと何とかなるわ、少し待ちましょう!」
キョウコやハクトを心配した仲間たちによるLINEやメールが、数多く、僕に寄せられていた。
朝の光が部屋を明るく照らし始めて、直ぐ、僕の携帯にキョウコから連絡が入る。
「シズキ❗️ハクトも私も無事よ!まだ今は、何もされてないから。明日には薬の投与があるわ。名目上は新薬の予防接種、お決まりの子供への治験、つまり貴重な実験材料よ。捕えた意味はこの為何だわ!!この国は狂ってる❗️シズキ、もう時間がないの、携帯もすぐ没収される。詳しくは話せないから、これからキョンの言う通りに動いて、電話は危険だから、今から直ぐ、オカンに会って、……………て、話してほしい。明日、17時に大澤のショッピングモール、中央広場で、仲間も誘いあいましょう❗️おそらく戦いになる」
僕は直ぐ,キョウコに頼まれた事を実行した。学校にも普通に言って授業を受け、数人の仲間には、明日の予定を耳打ちしておいた。
「もしかしたら、逮捕もあり得る⁉️非常に危険な事が待っているかもしれない。僕たちは受験生だ、無理はさせられ無い!自分本意で考えてくれればいいからナ!」仲間の1人が、
「ノーマスクの俺は、既にマークされてるサ、それにクラスメイトのキョウコが、ハクト君を身を挺して守っているのに、男子の俺が、ビビるわけにはいかないだろ!!」
「シズキ、僕らは仲間だ!上等だよ逮捕してみろ!!受験❓こんな時代が終わらなければ、先の未来なんて無いよ。なんとかしたいんだよ、僕は絶対に行く!」
「お前ら、有難う!でも聞いてくれ、今日、キョウコと弟が、無事、脱出に成功するかも分からない!キョウコは、僕の家族の為に命を懸けて守ってくれている。僕には最後まで見届け闘う責任がある。だから、もしもヤバイ状況を察知したなら、集合場所に近寄らないでくれ!」
クラスメイト数名で、体育館の裏の掃除をすると言う名目で、掃除道具を入れる小屋の前に陣取り、夢中で話していた。その時、生徒会役員の2年の女子と、黒っぽいスーツ姿の中年男性2人、いや、後から数名が女子生徒の後に続き、掃除中の僕達しか居ない奥の角地に,あざとく周りを探索している素振りで、近づいて来ていた。
僕達は、咄嗟にマスクをつけた。直ぐ箒を持ち、バケツの水を入れ,ゴミをかき集める振りをし掃除感を醸し出した。
シズキは、皆んなに、必ず逃げるから、俺の合図で、四方八方に走れ、必ず連絡するから、僕を信じろ!と告げ、スーツの男たちに近づいて行った。
生徒会の2年の女子は、僕を指差し、バツが悪そうに踵を返し、急いで走り去った。
「3年Bの宮原シズキ君だね、保護中の弟の宮原ハクト,櫻坂キョウコ、2名が本日午前〇〇時〜間に、施設を逃げ出した。両家族の処には,既に捜索は向かっているが、大切な弟と親しい女生徒の行方は、君に聞くのが1番早いと思ってね!詳細と、2人の居場所が分かれば、直ぐに解放する。これから一緒に来てもらうよ!」
「分りました。掃除道具を仕舞いますから、少し待って下さい。」
シズキは,転がっていたバケツの水を濯ぎ、もう一度水を溜め、周りにいた仲間達に目配せ…… し、「逃げろ❗️!!」シズキが振り返り様に、バケツの水を2人の中年男性(黒マスク警察)に一気に浴びせ掛けた❗️マスク警察が怯んだ隙に,仲間達は、体育館の反対側の通路を通り抜け、各自バラバラに走り逃げて行った。
シズキは,黒マスク警察が数人の仲間に気をとられている間に、こっそり体育館の裏側の下窓から館内に入り、幕下倉庫に入り込み隠れた。この場所は、夏の撮影の時に、見つけた隠れ場所で、大きなオブジェの内に隠れられる事は、多分、クラスBの仲間にしか知り得ない。
一、二度、黒マスクと思われる男達が,館内を調べ廻っていたが、暫くして、諦めたのか物音1つしなくなり、様子を伺い、僕は体育館から外に出た。 誰1人いない。
僕は、黒マスク警察の話を復唱した。(午前’〇〇時〜〇時に脱走❗️どうやって❓でも、本当に、逃げられ、、たんだネ。キョウコ、よくやったナ!多分今頃は、岡山の叔父さんの知り合いの旅館に、向かっているのだろう。)
僕は、様々な障害に遭い、ハクトを助ける為に悪戦苦闘したんだろうキョウコの姿が、僕はその勇姿が目に浮かんできて,熱いものがこみ上げてくる。あの高慢な態度と強がりとは裏腹の奥に潜む繊細さと優しさを、僕は誰よりも知っているから。
17歳の女子高生が、たった1人で考え策を練り大きな勢力に立ち向かったのだから…………。
僕らの マスク戦争
【 第3章 開戦〜❸ 】へ、続く❣️
お読みいただき有難うございました。団体名、固有名詞等は全てフィクションです。