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「あ、悪魔って君の事かい?」
学生の様に見える容姿端麗な青年が少し声を震わせ、活き高らかに自身が呼び出した悪魔に問う。
「ええ。そうですよ」
初めて見る悪魔はフィクション等で見る魔物の様な禍々しさは無く天使の様な整った華麗な青年で然し鹿ほどの大きさの大きな角も蝙蝠よりも何十倍も大きい翼も生えている
目を目張りつつ、彼は悪魔だ。と自身を心のなかで叱った彼は敢えて高圧的に言い放った
「なら、私の人気を取り戻してよ」
交渉が成功した証なのか。
悪魔は仕舞われていた翼を広げ、彼を包み込んだ
「容易い御用です、但し……」
自身を疑うように睨み付ける青年の顎を持ち上げ、瞳を合わせた悪魔は妖艶に口角を上げる
「代償は貴方ですが。」
其れでも好いと青年が押し黙ったのを感じ取った悪魔はマーキングの様に喉仏に歯型を遺し、深い闇の六等星へと融け込んで行った。
青年が覚醒めると先程のような息が詰まる重苦しい空気は無く、思い切り空氣を肺に搔き込んむ。
呼吸が落ち着いた彼はベッドの横に置いてあるサイドテーブルの写真立てを見る
かつて彼が子役をしていた時の物だ
元々、国民的な有名子役だった。女性よりも長く綺麗にカールした睫毛、綿飴のようにふわふわしていて雲の様に白い白髪。人間離れした”美”そのものとも云える容姿に幼いながらも人々を魅力していたのだ
然し、だ。幼い彼に順風満帆だった生活を揺るがした事件が起こる
突然顔も見たことのない様な男に襲われ片目を十字に切られてしまった彼は芸能界から姿を消した
「なんで、………如何して、」
其れを皮切りに青年の人生は堕ちる様に歪んでしまった。
学校では十字傷を気味悪がられ、家では欲に飢え自分を道具としか考えていない親に暴行され
増えて行く痣に痩せてほっそりとした身体。もう他人に見せられる事は無いだろう切り傷たわらけの肌。
子役時代にずっと遊んでいて密かに淡い恋心を抱いて居た彼、太宰治は其の持ち前の容姿で今や国民的な大スターだ。落ちてしまった彼には手の届く訳無い
だから、だ。彼はヴァルプルギスの夜に”元の人気を取り戻したい”と強請ったのだ
全てはまたクラスメイトから認めてもらう為、また両親に愛してもらう為、そして彼に逢う為
「……………もう、参時か」
いじめに耐え兼ねて不登校に成りたいと両親に懇願しようとも首を縦に振る何処ろか、
身体中が腫れ上がるまで殴られ
耳に胼胝が出来る程に罵詈雑言を吐かれ
首を絞められ乍ら満足の行くまで嬲られるだけ
だから学校には行かないといけない。溜息を付いた彼は両親の起きぬ内に財布を持ちラフなシャツの儘ふらりと家を出た
行き先等、無い。
只、自分でも知らない様な未知の世界に行きたかった、其れ丈なのに。
未だ太陽が登り切っておらず薄暗い光が色褪せた世界を柔く照らす
何と無く普段通った事の無い様な道をふらふらと歩いて居ると背後から肩に手を置かれた。
振り返ると彼の背後には知らない男が居て、刹那。路地裏に連れ込まれた
「君って、はぁ、子役だったニコライ君だよね?ハァッ、君を一眼見た時からこうしたかったんだ♡」
最悪だ、首元に掛かるのは男の熱の篭った荒い息
虫唾が疾る
「嫌だ………!厭ッ、」
男は彼よりも何倍と体重がある為如何足掻こうが抑え込まれてしまい、男を受け容れるしか無かった
数時間後、後孔から凶器が抜かれた頃には彼はぐったりとして居て体力の限界を迎えて居た
抵抗出来ない彼に男は何かの薬品のカプセルを口移しした。鼻を摘まれ息が出来なくなった彼は其れを呑み瞬く間に倒れた。
そっか、僕は最初から…性的な人気しか、なかったんだね
「喰うなら喰えよ、猛獣共」
此れが、人生最初で最後のショーか、
身体を売れば僕は愛されたの、かなぁ……
目覚めの悪い、頭が痛い……、
重い重い瞼を上げると僕を囲む様に裸の男の人が居て、僕の身体を弄って
「ずっと君を犯したかったんだ………♡」
其れからは余り憶えて居ない、思い出したくも無い
殴られ、蹴られ、一気に何人にも犯され、…………あれ、何時もと一緒だ。
一人には有り余る欲を受け切った僕は指先一つ動かせなくてぐったりと床に倒れて居た
「はは、最高でしょう?」
男達が散々やって帰って行った後、数時間してから意識を手放し掛けて居た僕の元に誰かがやって来る
「太宰君、?」
ニヤリと微笑んだ君は………横たわる僕に手を掛けた
ぐちゃぐちゃに混ざり合う熱、体液、全部気持ち悪くて、吐き出したかった
それでも君が好きだから、
薄れ行く意識の中、其の笑顔だけが脳裏にこびり付いて離れない。
「すき、だよ、」
「昨日、午後未明。高校生の遺体が発見されました
発見された遺体は市内に住むニコライ・ゴーゴリさんの物と見られ、ゴーゴリさんは子役だったそうです」
「ねぇ、お兄ちゃん!!この人有名な人何だって!知ってる」
妹がテレビに指を差し、こちらに訴え掛けてくるが朝食の用意で忙しく目すら合わせず言った
「さぁな。知らない人だ」
此れが初恋の幼馴染と気付けていれば、私は思いを断ち切れたのだろうか