ky = 赤 us = 緑 黄 = rt
「ごめん赤。俺……」
「…っ」
ほんとにずるい 。
ずるいよ 、先生。
「ね、君名前は?」
初めて彼と出会ったのは実験室の前だった。唐突に声をかけられ、へ…っと間抜けな声が出てしまい彼に笑われる。
「あ…赤です」
「赤さんね、1年生だよね。初めて見る顔」
「はい、えっと…先生は理科担当ですか?」
「この格好見たら一目瞭然でしょ」
たしかに白衣を着てフラスコ持ってたら確実か…
「ごめんねいきなり声かけちゃって」
「全然!でもどうして」
「早く1年生たちの名前と顔一致させたくてさ、先生は3年生担当だから関わらないかもだけどね」
全校生徒を覚えるのが先生の目標なんだよ。と、にこりと笑う。
「……」
「それじゃあ、先生は実験の準備に行くから」
「あ、はい!がんばってください」
「うん、またね赤さん」
にこっと微笑んだ後、ひらひらと手を振り先生は実験室に姿を消した。
「……」
なんかすっっごく ……
「かっこいぃ…」
あ、名前聞きそびれちゃったな
俺の学校では3年生は東館、1、2年生は本館と別れていた。だからこの先生と関わることはもうほとんどないだろうと思っていた。
「黄さーん、次移動だよ」
「えーめんどくさいなぁ、理科の実験やっけ」
「そうそう、みんな先行っちゃってるから早く早く」
コンコンっ……
「失礼しま……」
「あれ、赤さん!」
扉を開けた瞬間1週間ぶりに会った白衣を身にまとった先生の姿があった。
「え、なんで?!」
「知り合いなん?」
「えっと、前急に声かけられて…名前聞かれて」
「なんぱみたいに言うな」
ぱしっとバインダーで軽く頭を叩かれる。
「いて、でもなんで先生が?」
「今日からこの学年の理科の授業、先生が担当することになったんだよ」
「あー、そういえば佐藤先生産休…だっけ?」
そうそうーと相づちを打って、先生はみんなに実験の準備を呼びかけた。先生っぽいところを初めて見たからか何故か胸が苦しくなる。
「えー今日から君たちの理科の担当、佐藤先生がお休みの間、私がこの学年の理科の担当をすることになりました。緑です。よろしくお願いします。」
「……」
ていうことは、これからの授業は緑先生が……やばい、嬉しい。
自然と上がってしまう口角、にやついてしまう顔を手で覆い必死に隠しながら先生の話を聞いた。やっぱり先生かっこいい。特に声がすき。どうしよう、めっちゃすきだ。
「…ふぅ」
落ち着け落ち着け…相手は教師、諦めろ俺。授業に集中しよ。
よし。
「赤さーん、先生の話聞いてた? 」
「うわぁ?!!」
顔を上げた瞬間、すぐ目の前に先生の顔があった。頬杖をつきむすっとした顔……
かっこいい。
「おーい」
「えあ、き、聞いてます、聞いてます!」
「ほんとに?ずっと俯いてたけど」
「それは…」
先生の顔見てたらにやけるからなんて言えねぇよ。
「さすがに先生も怒るよ」
先程よりも声が低く、重くなり体が強ばる。
怒られちゃった、そりゃそうか。
「…すみません」
「ふふ、ちょっと怒ったふりしただけでしょげちゃうの」
「え?」
「次からはちゃんと聞けよ?」
俺の頭をわしゃっと雑に撫で先生は他のところに行ってしまった。
「赤くーん、マッチに火つけ……え?!どしたん?!顔真っ赤…!!」
「……ふーっ……大丈夫…」
やばい…すきだ……。
起立 、気をつけ礼ー
「赤くんもう大丈夫?」
俺のおでこに手を触れさせ温度を測る。
「あ、ああ大丈夫大丈夫、熱はないから」
「でも顔赤い」
「ガスバーナーとか使うから暑くてさ」
なーんて適当なことを言い訳に教室に帰る準備をする。撫でられたあの感覚がまだ忘れられない。無意識にその場所に手が伸びてしまいはっとして手を引っ込める。
「行こっか、黄さ…」
「教科書とノートと今日書いたレポートね」
「わかりましたー」
ああ、黄さん理科係だっけ。だから次回の持ち物聞いてるのか。
「……はぁ」
シンプルに羨ましいな。
「黄さん、帰ろー」
「うん」
「失礼しましたー」
実験室を出てちらっと後ろを見る。
目が合うとあの時と同じように手を振ってくれた。
「…!」
俺も手を振り返し扉を閉めた。
「赤くん」
「ん?」
「緑先生のこと好きでしょ」
「ふ、ぇ?」
『 1年生 』
コメント
4件
最高っ!usはkyのことどう思ってんだろって勝手に考えてしまう、
え、もしかして天才っていう人ですか?
うあ〜〜😭とても好きです〜〜…… 白衣着てる🐮の解像度高すぎて…リピートします〜〜!!!