――荒れた都市の廃墟。昼夜を問わず、混沌とした空気が支配する。
白川結那は、その場に立っていた。ナイフを握りしめ、真剣な眼差しで警戒している。
彼女の目の前には、――猫町美々華が立っている。
美々華は、白川がこれまで戦った数多の相手とは異なるオーラを放っていた。
彼女の身体は光を浴び、まるでその内側から新たな力が満ち溢れているかのように輝いていた。
彼女の周りに異能の波動が広がり、周囲の空気が一瞬にして震えた。まるで時間が止まるかのような錯覚に陥る。
――異能顕現。
美々華の異能は、まるで現実をひっくり返すような力だった。
美々華「うちの異能、“誤認”……貴女が見るもの、感じるもの、すべてをうちが操るわ。」
――“誤認”
美々華の力は、物体や状況そのものを変えるものではなく、相手の五感に直接干渉し、彼らが認識する現実をねじ曲げる異能だ。
目の前にいる白川が感じる空気、触れるもの、聞く音、すべてが不確かになっていく。
白川の視界がぼやけ、美々華の姿が二重に見えた。一瞬で、景色も歪み、今立っている場所が重なっているかのように感じる。
白川結那「くっ……」
頭が一瞬、重くなる。現実と認識が交錯し、自分がどこに立っているのか、どこを向いているのかわからなくなりかけていた。
美々華「どうしたの?貴女が思っている現実、私が壊してみせる。」
美々華の声がさらに歪んで聞こえる。
その瞬間、白川の体が一歩後ろに退く。視界は何度も変わり、世界が別の角度から迫ってきた。
――しかし、それも一瞬のことだった。
白川結那「……私は、まだ負けない。」
異能が彼女を支えた。
白川の異能――「時止め」。
時が静止した。美々華の異能が引き起こした誤認の波動が一瞬で消え、白川は立ち上がる。
美々華の異能が効かないように、白川は自分の異能で時間を止め、冷静さを取り戻したのだ。
だが、美々華の力もまた一筋縄ではいかない。時間が止まっている間にも、白川は心の中で次の手を考える。
白川結那「炎。」
赤熱した炎が生まれ、周囲を焼き尽くしながら美々華を包み込んだ。
美々華はその炎を避けることなく、迎え撃つかのようにただ立ち尽くしていた。
美々華「こんなもの、何も怖くないわ。」
美々華の目が輝く。彼女は異能の力で炎の熱さを感じ取ることなく、逆に炎を“誤認”で別のものとして認識させ、無効化する。
白川結那「……やっぱり、これは相当な力。」
その一瞬、白川は冷静に次の手を出すことを決意する。
白川結那「氷。」
氷が空気を切り裂き、美々華に迫る。今度は美々華の表情が引き締まり、身体が震え始める。
美々華「これは……違うわ。時間が、流れた。」
美々華の誤認異能は完璧ではない。白川の氷は、時間停止の影響を受けずに、彼女を捉える。
美々華は凍りつく寸前で一瞬だけ動き、氷の破片を防ぐものの、動きが鈍くなっていく。
白川結那「これで、終わりだ。」
白川は再び動き出し、全力で美々華に迫った。
だが、どこからともなく響く美々華の低い笑い声が聞こえてきた。
美々華「――終わるのは、貴女の方よ。」
次の瞬間、美々華の身体が光り輝き、再びその“誤認”が白川に向けられた。
白川結那は、目の前の美々華が笑顔で手を伸ばすその瞬間まで、現実と幻想を引き裂く戦いを続けた。
そして、この戦いはどこまで続くのか、誰も知らなかった。
コメント
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ブーフーウー だるい…自己紹介(?) 暇つぶしに姉の自己紹介書いとく
今回も神ってましたぁぁぁぁ!!!!! 美々華たんの異能かぁ、、何かめっちゃ厄介だねぇ(( でもお相手さんも時止めって十分厄介なんだよ( この戦い、、終わる気配がしないですの、、、どうなっていくんだ、、 次回もめっっっっさ楽しみいぃ!!!!!!