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君の隣に誰もいて欲しくなかった(いふ視点。)見てから見た方が楽しめるかも、?
一最初の“上書き” ー
初めて、ないこが俺を「こわい」と言った時のことを、よく覚えてる。
あの子は震えて、逃げようとして、
俺に向かって言ったんだ。
「まろ、……そんなことするなら、もう、友達やめる……!」
──心臓が、止まるかと思った。
そんなの、そんなの、だめだよ。
やっと、出会えたのに。
やっと、好きになってくれたのに。
やっと、きみの“心”に触れたと思ったのに。
なのに、そんな言葉で俺の世界を切り捨てないでよ。
だから──
「……ごめんね、ないこ。ちょっと、疲れてるんだよね?」
指先を、ないこの髪にそっと添えて。
笑って、囁いた。
「大丈夫、ちょっと寝たら忘れるよ。きみが言った“ひどいこと”も、俺が全部消してあげる」
二 「これで正しい。だって、きみが笑ってる」
最初はほんの少しの“修正”だった。
自分から俺を避けようとした記憶。
他の人に優しくした記憶。
それらを、ちょっと消して、少し“俺によせた”だけ。
けれど、だんだん足りなくなっていった。
俺に笑ってくれても、心のどこかに「不信感」が残っていた。
夢で泣いていた。
俺から隠れて、スマホを見ていた。
だから──全部、消した。
家族も、友達も、学校も、世界も。
何もかもなくしても、きみが笑ってくれるなら、それが“正しい世界”だと思った。
「……まろ、だいすき」
きみがそう言う時、きみの目は、完全に俺だけを見てる。
他の誰もいない、他の何も知らない。
純粋に、俺だけを求めてくれる。
……でもね。
本当は、知ってる。
その笑顔の奥には、「何かを失くした」痛みが、残ってることを。
だけど、きみはそれを口に出さない。
──もう、出せないようにしてしまったから。
俺が、そうしたから。
三 「ごめんね。でも、もう戻れないんだ」
何百回も考えた。
もし、最初に戻れるなら。
記憶を弄らず、ただ素直に愛して、信じて、普通に恋人になれてたら──って。
でも、そんなの無理だった。
きみは優しすぎて、弱くて、
たぶん誰にでも微笑んでしまう子で。
俺は、どうしても、それを許せなかった。
誰にもあげたくなかった。
だから、囲った。閉じ込めた。壊した。
でも、後悔はしてない。
だって、いま──
きみは、俺を“愛してる”って言ってくれるから。
何度、記憶を塗りつぶしても。
何度、涙を拭き取っても。
最後に残るのは、「まろ、だいすき」という言葉だけ。
そのたったひとことのために、俺はすべてを捨てたんだ。
終章 「これが、ぼくらの幸福」
この世界には、もうふたりしかいない。
ないこと、俺。
たったそれだけで、完結している。
毎朝、おはようって言うたびに、
何度でも、恋に落としてあげる。
だって、
世界が壊れても、記憶が消えても、きみの笑顔さえ見られたら──
それだけが、俺の幸せだから。
THE END(いふ視点)
※裏テーマ:幸福な監禁、幸福な洗脳、幸福な「愛」
長ッ!?1330文字!?おつももでした~!!