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学校に着く。今日は念を押して早くに登校したから、遅刻の心配はなかった。
「おはようございます〜…。」
一応小さく挨拶してドアを開ける。そこには、いつもの幼馴染グループがいた。
「あっ!紗奈!」
瑠璃はこちらを見てパッと輝いた顔をした。周りのみんなも同じような顔をしている。
(瑠璃め、もしや、皆に早速話したな〜!)
呆れつつもおはようと声を掛け合い、バックを机にかける。皆、紗奈のことを待っていたのだろう。いつもギリギリに登校してくる璃音ですらいるのだから。
「瑠璃。もしかしてもう話した…?」
瑠璃に耳打ちをすると、
「あったりまえじゃ〜ん!!」
と何故か親指を立ててウインクをしている。
「ねえねえっ、何処で告白されたのっ?」
ゆるキャラ系の璃音は、そこまで食いついてくるほど大の恋愛好きだ。お泊まり会なんてした時は、皆の好きな人を聞き出すまで寝かせて貰えなかった。
「下校中。一緒に帰ってたら、急に手首とか掴まれて…。」
「何それ何それっ!めっちゃワクワクするっ!」
大興奮で聞いてくれるのはありがたいが、もう少し声量を抑えて欲しい。ぼちぼちクラスメイトも登校してきているのだから。ほら、こっち見てる人もいる。
「璃音っ、声量声量!」
そばに居た桜子も気を使ってくれたのだろう。注意してくれた。
「わっ、桜子ごめんって〜。」
2人の会話はとても癒される。この4人グループで言ったら一番のペアかもしれない。
「紗奈、告白断っちゃうの?」
桜子は璃音の頭を押さえつけながら言った。他のふたりもこちらを見ている。
「…考え中。今日中には返事をするつもり。」
「3日で返事は短いって思ったけど、流石に今日!?」
瑠璃はすかさずツッコミを入れる。
「だって〜、長引かせると申し訳ないし…。」
「うん、まぁ…そうやって人の事考えるのが紗奈らしいけどさ。」
なんだ、今日に限って瑠璃ったら優しい。
そう思っていると、瑠璃は他の盛り上がっている璃音達を見てから、紗奈に耳打ちをした。
「…でも、気をつけてね…?その翔って後輩、小さいけど色んな噂飛び交ってるから。」
思わずびっくりする。
「噂…?」
「うん、実はね、告白してきた女子達、みんな口を揃えて言うんだ。翔はヤバいって。」
どういうことだろう。一体どこからそんな噂が立っているのか分からない。断られた腹いせにデマを流しているだけじゃないのか。
「まあ、一応知っておいて。これからは紗奈の気持ちの問題だから。」
「あ、う、うん。」
少しモヤモヤするものが浮かぶが、きっとこれも勘違いだ。今まで見てきた後輩、いや、翔は、そんな子ではなかった。大人しかったが、しっかりと指示は聞き分けられる子だったし。
「何2人で話し込んでるの?」
桜子から声がかかる。つい考え込んでしまったようだ。
「…ううん。なんでもないこと。」
気がかりはあるが、もう返事をしてしまおう。
ごめんなさいと。