ぐび、ぐび。
何杯目かわからないお酒を、また喉に通す。アルコールが強めだから、もしかしたらウェンのを取ってしまったかもしれない。ふわふわする頭でちょろっと考えた。
「あのときのリトくんすごかったんだから!」
「えぇうそぉ!?リトセクがそんなガウガウしちゃうの〜?」
「捏造がすぎるだろお前www」
目の前はしっかり見えていないけれど、3人が相変わらず楽しそうに会話しているのはそれなりにわかる。笑顔にするつもりがなくても、自然と笑顔になる。それは会話の流れじゃなく、お酒の力で、だろうな。
「…、あれ、ここにあった僕のお酒知らない?」
途端、寝落ちしそうなとき隣にいたウェンの声が聞こえた。
きょろきょろと周りを見渡しながら、「僕のは〜?」とガサゴソ机やらを漁っている。
「お酒?」
「そーお酒。ほろよいくらいのサイズなんだけど、結構濃いめのやつ!パッケージが確か…水色の…」
「こっちには無さそうだよ?」
わかんない、みんな何してるんだ?
片っ端から、お酒見てる…?何のためにそんなこと…。
「マナぁ、僕のお酒しらない?」
「おさけ?」
「うんおさけ〜」
「わかんにゃ…ぅ…」
「わー!?!?ここで寝ないでマナくん!!!!」
「びっくりした急に大声出すなよお前!」
リトと同じく、自分も寝そうな体がテツの大声で跳ねた。
「だって風邪引いちゃうよ!?」あわあわしてるテツはなぜかツボだった。
「んはっ、なにあせってんのてしゅ」
「てしゅ!?!?!?!?!?」
「だいぶだねマナ、結構飲んじゃったの?」
「うぅん、ほろよい…のんでたあ、よ?」
でも久々だ。ほろよいだけでこんなに酔うなんて。たくさん飲めばほろよいも結構な酔いにつながるんだなあ…。
「ほろよい、だけ?」
「うんー…ほろよいだけぇ」
「ワンチャンマナが飲んだ説は?」
「今浮上した気がする」
ああ、机に頭を乗せてると、また寝たくなってきた。
目もすぐ閉じちゃうし、いっそテツん家で寝ても………。
「ちょいちょいマナ!?寝ちゃダメだってぇ!」
「なぁんで…ねむい!!!」
「ここ僕んちだよマナくん!汚すぎて起きちゃうから!」
「理由変すぎるだろwww」
寝たら迷惑なんだ……。
でももう眠すぎて何もできないし、いいかあ……。
そう考えた途端、瞼が重くなる。
「…。」
「もぉーマナくぅんー!!!」
「……マぁナ。おーきーてっ」
ほぼ寝てた頭が起こされる。
もう寝させてくれたって…そう考えていたら、いつのまにか近くにウェンがいた。なにやら怒っているようだけど、なんもわかんない。
ちょっと、静かにして欲しいな。
「……ぇ?」
「ん、」
「んん!?!?!!?」
「は、え?ちょい待て!?」
「……マ、ナ…???」
「…んも、うるさいっ」
ちゅ、と甘い音がもう一度。
やっと静かになったし、もういいかな?
「しずかにね、うぇん」
「………………ぅぇぇ?????」
「(声にならない叫び)」
「過去最高に酔ってんな…こりゃ」
…………。
ウェンが静かになってくれたと思ったら、次はテツがうるさくなっちゃった。
まったく、せわの焼ける、ヒーロー。
「まっ、まなくっ」
「テツも、しー」
ぐ、と唇を人差し指で塞げば、それだけで大人しくなった。
えへへ、いい子いい子。
「かあいいね、てつ」
「ヒョァッ」
ちゅ。
テツの唇は薄いなぁ……。薄くつけたリップ、テツに付いちゃうかな。
「……んふ、これでよし!」
「……………。」
最後におまけでよしよし。
そういえばリトは…、まあ元々静かだから大丈夫だろう。ローテーブルの下に敷かれているマットに横たわり、完全に寝る姿勢へと入った。
「………。」
寝れる。そう思ったのに。
「………リトぉ?」
「……。」
仰向け状態の自分を隠すように被さってきた。
目の前にはリトの端正な顔立ち。
「リト、どうしたん?」
「…………。」
……リト、めっちゃ顔赤い。
何か言うのを待つまで、じーっと見つめる。
少し目線を逸らしながら、小さく呟いた。
「俺には?」
「………………んぅ?」
「俺には、ちゅーしてくんねぇの?」
「……。」
お酒に酔ってても、若干分かる。あのリトが照れていることは。
そんなに欲しがりなのは今初めて知ったけど。
「ちゅ、ちゅー…して、…ほしいの?」
「…わざわざ言わせる?」
「……しょうがない子やねぇ」
「…っうあ」
「目瞑って?やったげるわ」
そう告げると、リトはぎゅうっと瞑った。欲しがりさんなかわいいお顔に、短いキスをする。
ちゅ、ちゅ、と気づけば自分も夢中で。
「んっんっ、ちゅっ」
「…っ、は」
最後にちょっと長めにやったら、顔を離す。
さりげなく自分の頬を触れば、めちゃめちゃ暑くてびっくりした。
「………。」
そして同時に眠気が突破して、強制的に寝るよう体に指示された。
なんとなくまたキスされたような気がしたけど、きっと気のせい。
「…えっと、……どう、しよっか」
マナが寝たあと、数分現実から離れていた3人がぼそぼそ話し合う。
「いまだに僕現実を受け止めきれてないんだけど…2人とも平気なの?」
遠慮がちにウェンが聞くと、2人は勢揃って口を開く。
「んなわけあるか」
「今すぐにでも2回戦目やりたいですけど!?!?!?」
「…テツ、思ってもそういうのは言っちゃいけません。」
テツが迫真すぎて笑いそうになったのは内緒。
コメント
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めちゃサイコーですっっっっ!!!よってるマナくんもちゅうされたオリエンス三人も反応可愛い・・・てぇてぇ・・・リトくんは嫉妬かぁ・・・てぇてぇ・・・第二回戦やってくれ頼むから