「ちょ、先輩!今なんて言いました!?」
私は急いで先輩の後を追いながら、さっきの爆弾発言を確認しようとした。
でも、先輩は私の方を振り向かずに、ポケットに手を突っ込んだまま歩き続ける。
「別に。」
「別にじゃないですよ!?はっきり聞こえましたからね!?寝顔が可愛かったって……!」
思い出すだけで顔が熱くなってきた。
(ああもう!!なんなのこの状況!!)
「うるさい。」
先輩はボソッとそう言いながら、私の頭をポンポンと軽く叩く。
(え、何この急なスキンシップ!?)
「……な、なんですか?」
「うるさいから、静かにしろって。」
「むっ……!」
なんか納得いかない。けど、先輩の手の感触がふわっと残ってて、それだけでドキドキが加速する。
(ずるい、ほんとにずるい!!)
少しムッとしながら横を歩いていると、ふいに先輩が小さくため息をついた。
「……お前、ほんと無防備だよな。」
「え?」
「人の肩に頭乗せて爆睡するし、あんな近距離で寝顔晒すし。」
「そ、それは仕方ないじゃないですか!眠かったんです!」
「……まぁ、悪い気はしなかったけど。」
「えっ!?」
一瞬、心臓が止まりそうになった。
先輩はちょっと顔をそらしながら、でも確かにそう言った。
(え、これってどういう意味!?からかわれてる!?それとも……)
「あーもう、くるみ、顔赤い。」
「ええっ!?先輩だって耳赤いじゃないですか!!」
「うるさい。」
「またそれ!?」
そうやって言い合いながら、私たちは家へと向かって歩き続ける。
だけど、今日はなんだかいつもと違う。
距離が近い気がする。
それが嬉しくて、私はこっそり笑いながら先輩の後ろをついて行った。
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