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清左衛門は米を買いに市に来ていたところ、とある噂を耳に挟んだ。
どうやら近くの屋敷に美しい娘がいると言うもので興味を惹かれ、市まで来たついでに屋敷を覗いてみることにした。
―屋敷は前からはとても入れるような気がせず、裏の塀に少し登り頭だけを出して覗くことにした。すると、そこに居たのは娘ではなく男だったが美しいと言う話は本当で、この容姿なら男女問わず惚れるほどだろう。つい見惚れていると美青年がこちらの視線に気がつき目があってしまった。
自身も貴族なら問題はないが、庶民が覗いていたとなるとどうなるかはわからない。下手したら処罰を受けるのではないかと思い、その場を立ち去ろうとすると美青年が優しく微笑み「今、女房はいないから入ってきても構わないよ」と言い、手招きをされた。
貴族が庶民を屋敷にあげるなんて聞いたこともなかったので、不思議に思いつつ縁側に座らせてもらう。
「本当に、俺なんかがこんな立派な屋敷にあげてもらって大丈夫なのでしょうか?」と再度確認をすると彼はそっと頷く。名は朱夜と言うらしい。しばらくしてなぜ覗いていたのかと耳の痛い話題を出される。俺は正直に市で、美しい人がいると言う噂を聞いたと言うと彼は照れながら微笑んでいた。
どうやらもうすぐで女房が戻ってくるらしいので帰ることにし、帰り際にまた尋ねて大丈夫かと聞くと快く承諾してくれた。