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──彼の目に映る光景は、いつも、変わらなかった。
そこは、決まって暗かった。
*
天井から、微かな青い光が彼を照らす。
その時、奥から何者かが部屋に入ってきた。
白衣の格好をし、眼鏡をかけている。研究員のようだ。
「留三郎」
研究員がベッドに横たわる、彼の名前を呼んだ。
留三郎は体は動かさずに、視線だけを動かした。
「……伊作」
研究員の名前を呟く。
伊作は安堵したように息を吐き、留三郎の元へ足を運んだ。
「留三郎。良かった、覚えてるんだね」
「……」留三郎は黙る。
「あの後、いろいろあってさ。ほら。こんな時代になっちゃった」
そう言って、伊作はポケットから携帯を取り出し、電源をつけた。
もちろん、室町時代には携帯など無い。
「……僕、留三郎のこ」
「伊作」
伊作の言葉を遮って、留三郎は言った。
「俺をこんなにしてまで……、一体何がしたいんだ?」
留三郎は無い手足の代わりに、体に張り巡らされた蔓を動かして言った。
「……なんでお前は生きているんだ?」
その瞬間、伊作の顔が、表意を突かれたように固まった。
留三郎の言葉は、相手を責める意味合いで言ったのでは無かった。本当に、なぜ生きているのかを知りたかっただけだった。
「それ、は……」
伊作は口をつぐんだ。
「……だって、留三郎が……、『生きたい』って…… 」
伊作は苦し紛れに声を出した。
「あのとき、留三郎が言ったから……」
「……伊作」
「……俺は、確かにそう言ったけどな……」
「……こんなこと、望んでないんだよ」
伊作は我に返った。 留三郎の声を拾った瞬間、思考が止まったかのように。
そして、俯いた。
「…………ごめん」
伊作の顔に悲痛の色が現れる。
「……何年も……、何百年も……」
「『留三郎のため』って思って来たんだけどさ」
「全部……」
「全部、僕自身のためだったみたいだ──」
──その言葉を最後に、伊作は泣き崩れた。
終
初めてのノベル、意味分かんないのができました。
設定とかは考えてるので誰か考察してください。()