ご本人様とは関係ありません。
👻🔪視点
いつの日か笑いながらあいつは言った。
「オレ、実は機械なんだよねー」
「は?」
Dyticaの忍者、叢雲カゲツは少し戸惑った様子で言う。かくいう俺も驚きながらも少し怒りが込み上げていた。星導は平然とした様子で、
「そうなんですね」
なんて言っていた。そうするとカゲツも折れたようでそそくさとどこかへ行ってしまった。
その場は伊波があまりにも軽く、笑いながら言うものだから俺もその言葉は流してしまった。
それからどれくらいか月日が経ち今日。長く計画されていたKOZAKA-Cの1つのアジトを潰す。長いこと練られていた計画ということもあり敵の数は正確だった。が、予想より敵が大きいのだ。これではカゲツのクナイはあまり歯が立たないし、伊波のハンマー以外のメカも敵には効いていないようだ。
俺と星導で分担しながら厄介な機械攻撃をする巨体の敵を相手している。どこで機械技術を手に入れたのかは分からないが知能の低い、奴らが使いこなすのは難しいようで攻撃は俺たちとはかなり外れた所に逸れていた。適当に敵の攻撃を流しながら機械に詳しいライに弱点を調べてもらっていた。
「伊波どうだ?!」
「やっぱり目だね。めっちゃ潰してから心臓の辺りをやってみてー!」
「了解!」
「行くぞ星導!お前は左潰せ!」
「はーい」
抜刀
こちらが右目を潰したのを確認し、左を見て星導が上手くやったかを見る。良かった、星導も上手くやったようだ。だが、最後のあがきなのか巨体から沢山の矢のように尖ったものが吐き出される。そのほとんどは何も無い所に向かって飛んで行ったが、その1つが伊波の方に飛んでいくのが見えた。
「ライ!!」
咄嗟に叫ぶ。間に合え、間に合え!!
ガキン!
と大きな音が轟く。鉄と鉄がぶつかる、聞き慣れた音だ。目を開け伊波を見る。
「ライ、ライ?」
腹部からは赤く黒い血が見える。そこには大きな棘が刺さり、薔薇のようにも見えた気がした。
「小柳くん!!まだ終わってない!!」
星導の声で思考が止まる。そうだ。まだ仕留めきれてはいない。心臓。心臓を狙う。
「カゲツ!ライ運べ!」
「了解!」
大きく飛び上がって心臓を一突き。巨体は消えてなくなっていく。それからはあまり覚えていない。
💡視点
何かが飛んできて、ロウがオレの名前を叫んで。それから、お腹の辺りが熱くて痛い。
「ライ…?」
不安そうにカゲツがオレを見つめる。そうだ、オレ腹に刺さって。
「…大丈夫。大丈夫だよ」
カゲツを安心させたかった。
「お前ぇ!何が大丈夫やねん…やっぱり機械ちゃうやんけ…!」
あぁ、いつかそんなことも言った。確かにオレは機械では無い。歳を取らないことを除けば普通の人間だし、Dyticaの3人の中では最も一般人に近い。そんなオレが機械なわけがない。考えたことはある。でもオレはオレのままみんなのスーパーヒーローになりたいのだ。しかしこんなことになるなら体は改造しておけば良かった。今更遅いが。
出血が酷い。寒い、痛い
「げほッ」
「ライ!…くそッ…血が、」
口からは大量の紅。いやだ嫌だ!オレはまだ死にたくない。ヒーローをしていたい、みんなの隣に立っていたい。そこでオレの意識は途絶えた。
🥷🔫視点
まずい。ライの意識がなくなった。周りを見渡してももう敵はいない。そう、術。術で回復させれば。使ってしまえば体力の消耗が激しいがあっちは2人に任せるしかない。ライを任されたのは僕。
「〜~~~~~!」
刹那、ライの血は止まる。が、それまでの出血が酷い。
「カゲツ!ライはどうですか?」
「血は止めたけど意識が…!」
「分かった、もう敵はいないからこいつ運ぶぞ」
「転送は使えますか?」
「ギリギリやな」
「行くで」
👻🔪視点
カゲツの術で転送してもらいその後ヒーロー専用の病院に運んだ。血は止まっていたが出血量が酷かったとのこと。刺さったところは運が良く臓器の位置は外れていたようで命に別状は無いらしい。今は3人、伊波の傍で座る、立つ、外を眺める。
味方1人怪我をしただけ、それだけ。だったがその味方1人で俺は大きく取り乱してしまった。俺も甘くなったものだ。
「…ぉ?ライ!」
「…うん、おはよ」
「お前機械じゃねぇじゃん…」
「それカゲツにも言われた」
「ライが機械なわけないでしょ」
「そうだよな」
なんて、いつも通りの会話。微笑ましくてつい頬が緩んでしまう。これが何時までも続け、と願ってしまうのは仕方がないこと。
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