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☆クイズノックオリジナル小説☆
※奇病パロ※
―不治の病にかかっても
ずっと君と居たかったな―
第一章【星】
第一話【幻想】
伊沢side
さて、仕事終わった。
何しよう、もう帰るか?
須貝「…ねぇ伊沢、
何しようかなって考えてる?」
伊沢「え、そうだけど!?」
須貝「あたった!映画見ようぜ!」
伊沢「いいな!」
丁度良かった、
というかなんでわかった?
伊沢「なんの映画見んの?」
須貝「感動系って言われてるやつ、
“幻想”だって。」
伊沢「確かに感動系っぽそう!」
須貝「感動系っぽそう…?」
〈もういいから、これだけ約束。
俺と、共に過ごした日々だけは
絶対に、忘れないで…!〉
須貝「…」グス
伊沢「…」カラ、コロン、
さて、実際に見たんだが…、
なにこれ、金平糖?
涙が金平糖になった?
泣いてないし、どういうこと、?
とりあえず、見るか…。
〈私のためだけに、なんでよ、〉
〈君が居たから私があるのに…!〉
〈また会おうって、言ったじゃん!〉
〈もう忘れてしまえば良かったな。〉
須貝「うう…、」グス
伊沢「…」カラカラ
見終わった?いやー、楽しかった。
今度は何見よっかな〜?
須貝「…伊沢?」
伊沢「ん?なに?」
須貝「それ、なに?」
伊沢「え」
そうだ、この金平糖なんだ、
伊沢「泣いたら、涙の代わりに
出てきたんだよ。」
須貝「え…、調べてみる…!…また明日!」
伊沢「…うん。また明日。」
なにかの病気だったらどうしよう。
もうみんなに会えなくなったら
どうしよう。
〈もう忘れてしまえば良かったな。〉
…さっきの映画が頭を巡る。
このまま死ぬくらいならみんなの
ことを忘れた方が楽なのか?
〈絶対忘れないで…!〉
〈もう忘れてしまえば良かったな。〉
すれ違う言葉と想い。
これだから人生は面白い。
映画のような人生を送ってやろう。
絶対、忘れてやんね―!
河村「おはよう。伊沢。」
伊沢「…おはよう!」
川上「おはよー、」
伊沢「おはよう!」
須貝「…っおはよう。」
伊沢「…?おはよう。」
須貝さん、なにかわかったのかな?
何かぎこちないっていうか、
よそよそしいっていうか…。
あと、なにか忘れてる気がする。
須貝「なぁ、伊沢。」
伊沢「んー?何?」
須貝「好きな人、っている?」
伊沢「え、いやいやいや!
いないいない!」
須貝「…うそつき。」
え、いや、気まずそうな顔で
こっち見るから、ちょっと困る。
流石に須貝さんだからって
好きな人は言えないよ!
まぁ、絶対叶わない恋だけど…。
河村の笑顔や、
仕事中の横顔、
頑張ってる時の些細な気遣い、
そんな仕草一つ一つに恋をした。
でも、同性愛なんて報われない。
ずっとずっと片思い。
永遠に悩み続けて一生を終える。
河村の好きな人が誰なのか、
はたまたそもそもいないのか。
何もかもわかってない。
こんなに好きなのに、
河村のことわかってない。
こんなへんてこな恋でいいんだ。
…っこれでいいんだ。
須貝「…好きな人に、
食べてもらえば?金平糖。」
伊沢「は?金平糖を好きな人に?」
須貝「お前のそれは奇病ってやつ。
星涙病っていうの。」
伊沢「…それってどこで調べたの?」
須貝「家にあった書物に。」
伊沢「奇病…ね。」
残念ながら俺の好きな人は
大の甘いもの嫌いなのである。
普通に金平糖食べてって言っても
絶対食べてくれない。
ぜーーーったい、ね!
伊沢「ちなみに進むとどうなるの?」
須貝「治し方と主な内容しか
載ってなかった、
涙が金平糖になるとこれだけ」
伊沢「そう、なんだ。」
奇病という存在が
知られていない理由は2つ。
1つ目は奇病にかかった人が
何らかの原因で死んでいる。
死んでいた場合、
病院に伝えられないはず。
2つ目はそもそも奇病に
かかった人が少ない。
少なければ少ないほど
データが取れず無効にされる。
この2つかな。
1つ目でないことを祈る…。
河村「こうちゃんっ!」
渡辺「いって、クラクラ、する。」
河村「わかった、一回休もう。熱は」
渡辺「目眩だけ。大丈夫。」
鶴崎「…写真撮ったからかな?」
河村「クラッシュってこと?」
待て待て待て、どういうことだ。
嫌な予感がする、
伊沢「須貝、さん…、
こういう奇病って、あるの?」
須貝「調べなきゃ、わかんない…。」
山本「どうかしたんですか?」
福良「こうちゃんが目眩で倒れて、」
山本「こうちゃん、大丈夫?」
河村「…体調どう?」
渡辺「うん、大丈夫です。」
河村「なら良かった。」ニコッ
あの顔は俺以外にしないでほしい。
いつこうちゃんが河村のこと
好きになるかわからないだろ?
ほんと無警戒すぎるんだよ!
あ、もうこんな時間か。
河村「もうご飯だね。準備してくる」
須貝「俺も手伝うよ。」
福良「じゃあ俺も。」
川上「いただきまーす。」
みんな「いただきまーす!」
渡辺「ごちそうさま。」
渡辺「…っう、!」ガッチャン ジャキ、
河村「いって、大丈夫?」
渡辺「ごめん、破片、大丈夫?」
河村「指だけだから、大丈夫。」
鶴崎「こうちゃん、無理しないで。
片付けるから河村さんは
絆創膏つけてきな。」
河村「ありが…」
山本「河村さん。」
河村「ん?」
山本「河村さん、河村さん…。」スタスタ
河村「え、何?山本?」
目眩がしたのか倒れ込むこうちゃん。
落として割れた皿の破片で
切れる河村さんの指。
絆創膏を取りに行く河村さんに
徐々に近づく山本。
今日は嫌な予感してばっかだな。
伊沢「山本、おいで。」
山本「河村さん、河村さん…」
伊沢「山本っ。おい!」
山本「うるっせぇな、なんだよ。」
は、?
明らかに山本じゃねぇ。
こんなこと、言わない、よね?
伊沢「目、赤いぞ。何があった。」
山本「河村さんの邪魔です。」
〈消えてください。〉
河村「……っ、ねぇ山本、おいで。」
山本「ニコッはい!」
河村「ん、いい子。
ごめん伊沢、絆創膏持って来て?」
伊沢「…わかった。」
今の反応でわかった。
山本は河村さんへの
一時的なヤンデレ状態になっている。
その状態を示すのが目の色かな。
さて、救急箱…、
絆創膏見っけ。行こうっと。
山本「そんなこと言ってないです!」
福良「言ってたって!」
鶴崎「ちょっと、やめてよ!」
川上「今喧嘩したって
どうしようもないだろ!」
どういう状況…、?
須貝「あ、伊沢。
山本はさっきのことが
知らないみたいで。」
須貝「伊沢にあんなこと言ったことに
福良が怒ってる。」
そういうことね。
ならとめるか。大事になる前に。
伊沢「山本、こっち向いて。」
山本「もー、なんですか…。」
伊沢「ん、赤じゃない。」
山本「赤?僕、今日赤の服
着てませんよ?」
伊沢「目の色だよ。目。」
福良「…どういうこと?」
伊沢「目の色がさっきは赤だった。」
川上「目の色が元に戻ったから、
今も元通りってこと?」
伊沢「多分、で。さっきの記憶も
ないんでしょ。」
鶴崎「…だから、今の山本さんに
言ってもどうしようもない。」
福良「…ごめん。山本。」
山本「え、いえいえ!
謝らなくて結構です!」
伊沢「あ、河村。これ、」
河村「…ありがと、」
執務室に戻ろう。
そう思って執務室の入口から
みんなを見ると。
なんとなく、空気がピリッとしていて
今にでも崩れてしまいそうな
トランプタワーに見える。
誰かが欠ければ一瞬で崩れる。
誰かが居なくなれば、
俺らの普通が無くなる。
福良「い、伊沢…?それ、」
〈金平糖…?〉
もう、気付いた頃には涙が、
いや、金平糖が溢れてて…。
怖い、怖すぎる。
みんな消えてしまうんじゃないか…?
この金平糖も、さっきの山本も。
目眩で倒れてるこうちゃんも。
全部全部、夢なら良いのに。
to be continued…?