コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
異魚天は静かに自身の刀を見つめていた。
それは彼が長年扱い続けてきた愛刀、だが今日は特別だった。
「レイス。」異魚天は呼んだ。
「分かってる。」
レイスは袖をまくり、自分の指先を鋭利な小刀で切った。
滴る赤い液体が、ゆっくりと刀に落ちる。
ジワ…
その瞬間、刀が淡く鈍い赤に染まる。まるで呼吸し、血を吸い込んでいくかのようだった。
「こいつを使って、奴を切る時が来た。」異魚天が低く呟いた。
レイスは血を拭いながら答えた。「俺の血を遠隔操作して最高硬度にできるのは、一瞬だ。タイミングを合わせろ。」
異魚天は無言で頷くと、血をまとった刀を鞘に収め、ゆっくりと立ち上がった。
彼らの目の前には、戦いの舞台が広がっている。
「ほう?そんな小細工で、倒せるとでも?」
ケンドラは嘲笑しながら、漆黒の鎖を操る。
その鎖は、呪詛を宿した武器であり、肉体と精神を蝕む。
「試してみろよ。」異魚天が静かに構えた。
ケンドラは鎖を振りかぶり、一瞬で異魚天の周囲を包み込む。
異魚天は紙一重で回避しながら、一撃を繰り出す。
シャッ!
血を纏った刀がケンドラの腹部を斬り裂く。
「……何?」
ケンドラが目を見開いた瞬間、レイスの血が刀から飛び散り、体内に侵入した。
刃の傷口から入り込んだ血液が、ケンドラの体内を駆け巡る。
そして——
「レイス、頼んだ!」
異魚天が叫ぶと同時に、レイスが遠隔で血を操作する。
体内で、一瞬にして血が最高硬度へと変化する。
ズブッ!!
ケンドラの体内で無数の刃が生成され、体を内側から突き破る感覚が広がった。
「が、……あ゛ぁぁっ!!」
ケンドラが悲鳴を上げる。
まるで体内で何本もの出刃包丁を刺されたかのような激痛が走る。
「お前の敗因は、血を軽く見たことだ。」
レイスは冷たく言い放つ。
ケンドラの体がガクガクと震え、やがて膝をついた。
口から血を吐きながら、崩れ落ちる。
異魚天はゆっくりと刀を振るい、血を払い落とす。
レイスは息を整えながら、戦場を見渡した。
「これで……終わったか?」
「いや、まだだ。」異魚天は冷静に答える。
「次は、アレクシスを討つ。」
レイスは静かに拳を握りしめた。
——親友のために、最後の戦いへと向かう。