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「ったく、僕がこんなとこで時間取らされるんは、ホンマ納得いかんわ。」
みりんは大きく息をつくと、目の前に立ちはだかる魔物の群れを睨みつけた。
王城の前に集結した魔物たち——アレクシスが召喚した混沌の獣たちは、門を守るように立ち並んでいる。
その数、数十匹。
一匹一匹が人間の何倍もの巨体を持ち、鋭い牙と爪を輝かせていた。
「はぁ、しゃーない。さっさと片付けよか。」
みりんは両手に握った双刃のナックルダガーを構える。
ギャァァアァッ!
魔物たちが唸り声を上げ、いっせいに襲いかかってくる。
しかし——
「アホちゃうか?」
みりんの姿はすでにそこにはなかった。
「僕は、ちょっとばかし、素早いで。」
次の瞬間、魔物たちの間に閃光が走る。
シュバッ!
みりんの動きは異常なまでに速い。
地面を蹴るたびに一瞬で間合いを詰め、喉元、関節、急所を正確に切り裂く。
ザクッ!
一匹目の魔物の首が宙を舞った。
「ほな、次いこか。」
ズバァァンッ!
さらに一閃。今度は、二匹目の魔物の腹を十字に切り裂き、そのまま蹴り飛ばす。
魔物の体は大きく吹き飛び、後ろにいた別の魔物へと激突。
「ええ感じやん?ボウリングやなぁ。」
だが、まだ終わらない。
ゴゴゴゴゴ……!!
魔物の群れの中で、一匹だけ異質な存在がいた。
他の魔物よりも二回り大きな個体——まるで王城の門番のように立ちはだかる巨大な獣。
みりんは舌打ちする。
「デカいんは苦手やねんなぁ……まぁ、倒すけど。」
魔物が巨大な爪を振り下ろしてくる。
しかし、みりんはそれを紙一重で回避し、即座にカウンターを叩き込む。
ザシュッ!
「……固っっっ!!」
刃がわずかに肉を裂いたものの、傷は浅い。
普通の魔物と違い、この番犬は異常なまでに硬質な皮膚を持っていた。
「こら、やっかいやな。」
ガウウウゥゥゥ!!
魔物が再び襲いかかる。
みりんは身を翻しながら、心の中で作戦を練る。
(速さだけじゃ無理や。決定打がいる……せや!)
「しゃーない、ほんまはあんま使いたないねんけどな。」
みりんは、ダガーを逆手に持ち替え、深く息を吸った。
「——鬼速!」
その瞬間、彼女の体が残像を残しながら目にも止まらぬ速度で駆け抜ける!
シュババババッ!!
魔物の巨体に向かって、十数発の斬撃を一瞬で叩き込む!
ザクッ!ザクッ!ザクザクザクザク!!
「……おやすみや。」
最後の一撃を、魔物の喉に深く突き刺した。
ドォォォォン!!
巨大な魔物が地響きを立てながら崩れ落ちる。
みりんは深く息を吐き、刃についた血を払う。
「ま、こんなもんやな。」
王城の門は、もはや彼女の前に立ちはだかるものはなかった。
みりんは空を見上げる。
「ほな、行こか。レイス、異魚天……待たせたら怒られそうやしな。」
彼女は、城の奥へと走り出した。
全てを終わらせるために——。