明日また零れる花に。
祖母が言った
「花が終わる時には様々な言い方があるの」
梅桜 「そーなんだ!」
「お前の名にある桜は『散る』といい」
「梅は『こぼれる』という」
「じゃああ、私が居なくなる時は」
「ちるの?こぼれるの?」
「おやおや、物騒だねぇ」
「ぶっそう?」
「なんでもないよ。」
「心配せずともお前は美しく死ねるさ」
「へへっ、おばぁちゃん大好き〜!」
「私もだよ」
あれから10年
そんな会話を交わした祖母。桜は。
今年。
認知症で車に引かれ
〝名前通り〟肉片を散らせて死んだ
そんな祖母を。大好きな祖母を
大嫌いな父と母は。
冷たい目であしらった
親戚全員が
「仕方ない。」
「面倒な奴が減った」
そういい、直ぐに遺産の話に移った
母 「いやぁ、ホントに貴方が長男で良かったわ〜!」
父「おかげで遺産大量だなぁ」
梅桜 (クソみたいな会話……)
母 「めお〜何が食べたい?」
父 「今日はいいもん食えんぞ」
梅桜 「……」
なんでそんな笑顔でいれる?
金に汚された目で笑うな
母 「めお?」
祖母を罵った口で名を呼ぶな。
父 「無視は良くないぞ〜?」
祖母をずっと無視したのは誰だ…っ。
父 「梅桜!! 返事をしなさい」
母 「無視は親不孝者がすることよ?!」
梅桜 「……は、?」
親不孝者?
ふざけんなよ。
どっちが……
梅桜 「……うるせぇよ」
母 「っな!」
父 「親に向かって……!」
梅桜 「うるせぇって言ってんだよ!!」
「親不孝者……?ふざけんじゃねぇよ!!」
「おばあちゃんが話しかけても無視して!!」
「自分の親が死んでんだぞ!!!」
「何仕方ないで終わらそうとしてんだよっ゙!」
「遺産、遺産って!!」
「おばあちゃんの生命は金じゃねェ”っ」
「大事にしたはずの家族に粗末にされて!!」
「心から愛していた家族に無視されて!!」
「最後の最後に孤独に生きて!!」
「テメェらに介抱されたおばあちゃんがっ!」
「可哀想だろうがっ!!!」
母「……っ」
父「……、」
なんで黙ってるんだろう。
なんで何も言わないんだろう。
私の声は届かなかったのだろうか。
あれ、胸が苦しいな。
前が滲んで、
上手くアイツらを睨めない
涙が……止まらない。
嗚咽が出そうで…我慢して、それで苦しくて
前が滲んで見えなくても
声を出すのを我慢して苦しくても
涙が止まらなくても
まだ私は1番伝えないといけないことを
アイツらに言えていない。
「ねぇ……母さん。父さん。」
「おばあちゃんは……おばあちゃんはね?」
「私達家族を、1番」
「どの家よりも」
「心配して、愛してくれてたんだよ」
父「っ!」
母「……」
無言か。
おばあちゃん、伝わらなかったや
心から叫んでも
コイツらに私の心は
届かなかった。
おばあちゃん、もう私高校生だよ。
1人で生きれるよ
出ていってもいいよね
「それでも、黙りこくるんだね」
「私の心はもう届かなかったんだ」
「おばあちゃんの愛は届かなかったんだ」
「……私、出てくね」
母「……なんで!」
父「……聞いてないぞっ」
「なんでって……こんな腐りきった家族と」
「一緒にいたくない。腐りたくない」
「最後に……」
「おばあちゃんが私達に残した遺書の言葉。」
『死んでもずっと愛してるよ』
「じゃ。」
「あぁぁぁ、家を出てしまった……」
「後悔はしてない」
「でも、おばあちゃんの形見から」
「離れてしまった」
「自分がおばあちゃんを残すべきなのに」
1人で歩くとつい、思い出してしまう
私を撫でるしわくちゃな手を
私を愛でる愛おしい目を
私の名を呼ぶ優しい声を
私の全てを包み込んでくれた寛容な心を
私を背負ってくれた大きい背中の温かさを
おばあちゃんの全てが私の目頭を熱くさせる
「……ああぁ、なんで。やだよぉ」
「私を1人にしないで……っ」
??「大丈夫ですか?」
ふと、話しかけられた。
明日また零れる花に
第1話。
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コメント
6件
うわぁ、好きすぎる。 なんかハート200超えると0に戻るんだけど… とりあえずハート200推しといた!