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◇◇◇◇◇
「ちょ……、待てって!そんないきなり……」
いきなり抱き上げられた右京は、驚いて蜂谷の肩を掴んだ。
「うわ…!」
しかしそれは汗で滑り右京はそのまま蜂谷に抱きつく形になってしまった。
「……ビビんなって。挿れねえよ」
蜂谷の低い笑い声が耳のすぐそばで響き、またゾクゾクと鳥肌が立ってしまう。
―――こいつの声って、腹の奥がむず痒くなるっていうか……なんでゾワゾワすんだろう。
「曲りなりとも“家族”がいるからな……」
………なんも……考えらんなくなる……。
見下ろした自分の下半身は、目も当てられないほど濡れそぼっていた。
そこに、自分のモノよりも一回りも二回りも大きく見えるソレが宛がわれる。
「え?おい……」
戸惑ってその顔を見つめると、
「……一緒に気持ちよくなろうぜ?」
蜂谷の目が細くなった瞬間、自分のソレは、蜂谷のものと一緒に強く握られた。
「……あ……!」
先ほど刺激されていた時と比べ、擦られている面積は半分になっているはずなのに、もう半分から発せられている熱が、感触が、右京の身体を再び燃え上がらせた。
「は…、あ!……ア……ああッ!」
あまりの刺激に身体が仰け反り、それを蜂谷の腕が優しく支える。
「腕、さっきみたいに首に巻き付けろよ……」
手を動かしながら蜂谷が言う。
右京は素直に従いながら、肩口から汗で光った蜂谷の背中を見下ろした。
細身なのに、背骨のラインに合わせて左右の筋肉がうっすら盛り上がっている。
腰にある2つのくぼみが、蜂谷が動くたびにぴくぴく移動して、それを見ているといたたまれない気分になり、右京は少し体を離した。
するとまた蜂谷が握った二つのモノが視界に入ってくる。
蜂谷の大きな手が、自分と蜂谷のそれを一つにしようとしているみたいに見えて、右京はそれから目を逸らした。
「ちゃんと、見ろよ……」
目を細めた蜂谷が、こちらを睨む。
「見れない……!」
右京はついに目を瞑った。
「なんで?」
「―――お前の……手が……」
「手?」
「手がデカくて……」
「―――はは。誰と比べてやがるんだよ」
蜂谷が笑う。
「……デカいのは手だけじゃないと思うけど……?」
「――――どういう意味だよっ」
右京は目を開いて、蜂谷を睨んだ。
「………ちゃんと見て思い出せよ。永月と比べてどっちがデカい?」
「――――?」
右京は眉間に皺を寄せた。
―――こいつ、なんでさっきから永月の名前を出してくるんだろう。
俺と蜂谷のことに、あいつは関係ないのに。
「――――え」
自分の思考に思わず声が出る。
関係ない?
関係なくない!
そもそも俺と蜂谷がこういうことをし始めたのは、俺が永月のジャージでオナッてたのを見られたからだし。
こういうことを続けてきたのは、永月とそういうことになった時のための“練習”だったし。
関係なくないわけないのに。
俺はいつから、永月とこいつを切り離して考えていたんだろう。
永月の本性を知ってから?
いやそれよりも、ずっと―――。
途端に顔が熱くなる。
右京は蜂谷の首から腕を離し、少しでも顔を冷やそうと、手の甲を口元に当てた。
「―――急にどうした?」
蜂谷が笑う。
「永月のモノを思い出して、その顔か?」
尚も笑っている。
―――こいつは、なんで、他の男の話題を出す。
「さてはお前、まだ永月に気があるな?」
―――それでいて、なんで笑っていられる?
「ムカつく……」
呟いた右京の言葉に蜂谷がまた笑う。
「図星を突かれて?」
「――――」
右京は蜂谷を睨み上げた。
「俺は今、蜂谷のことしか考えてない。お前も俺のことだけ考えろよ…!」
「―――――」
馬鹿にするように細めていた蜂谷の目が、丸く見開かれる。
「………?」
動きを止め黙ってしまった蜂谷を、右京は覗き込んだ。
「え、蜂谷……んんッ!!」
その瞬間、ぐいと後頭部に手が回され、唇を奪われた。
「ん……っ!」
舌が入ってきて、口内を犯される。
同時に再開された手の動きが、右京の理性も戸惑いも何もかもを絞り出していく。
―――熱い……。
蜂谷の手も、蜂谷のモノも、熱くて―――。
溶けて一つになってしまいそうだ……。
―――もう出る……。
口を塞がれているため、そう言えない。
右京は薄く目を開いた。
至近距離で蜂谷の目と合う。
「…………」
潤んだ瞳に、今までとは違う熱を感じたのは、気のせいだろうか。
右京は蜂谷の足の上で、体を痙攣させて果てた。
◇◇◇◇◇
「はぁ……はぁ……」
めいっぱい力が入った全身が、風船の空気が抜けていくように、自分の上で萎んでいく。
その様子が面白くて蜂谷はふっと笑った。
「―――えげつない量が出たな……。溜まってたんかな」
笑うと、右京は、
「うっせえ……」
と小さく呟いた。
別に右京のことだけを言ったわけでもなかったのだが、キスで視界を奪っていたためか、蜂谷もタイミングを計って一緒に果てたことに気が付いてないらしい。
撫でていた後頭部を掴み、
「ほら」
とソレを見せつけると右京は息を吸い込み、すぐに視線をそらした。
「おっと……。このままだとヤバいな」
言うと、ピンときてない右京は蜂谷を見上げた。
「気をつけないと飛び散ったもんが制服につく」
「…………」
右京は自分と蜂谷の股間や腹に飛び散り、もはやどちらのものかわからない液体を見下ろした。
蜂谷は笑いながらキャスターごと移動し、先ほどと同様膝裏から手を射し入れて、右京を軽く抱えベッドに寝転ばせた。
「ちょっと、一旦脱がすぞ。制服」
言いながら自分もベッドに移動し、ズボンに手をかけると、右京は大人しく腰を上げた。
「―――うわ。これ―――」
ズボンとパンツを同時に下げて、思わず呟く。
「―――なんだよ……もしかしてついてる?」
右京が慌てて見下ろす。
「エロいなって思って……」
「―――」
右京が呆れて蜂谷を睨む。
今までは日の入らない用具室か、カーテンを引いた保健室で、常に薄暗かった。
それが今は白昼堂々、しかも蜂谷のベッドの上で、右京が下半身裸で、自分のか蜂谷のかわからない液体を垂らしながら寝転がっている。
「……こんなところにホクロがあるとか知らなかった」
言いながら、右京のソレの脇にある小さなホクロを指で押す。
「え。マジで。そんなとこにある!?」
驚く右京に笑ってしまう。
――笑いながらも、思う。
自分は何をしてるんだろう。
自分から右京を離そうと思っていたのに。
甘んじて家庭教師を受け入れ、我慢できずにこんなことまでしてーーー。
『―――俺は今、蜂谷のことしか考えてない。お前も俺のことだけ考えろよ…!』
これじゃ離れるどころか逆に―――。
「―――なあ、ティッシュとかないの?」
いつまでも動こうとしない蜂谷に、右京が話しかける。
「早くしないと……」
「ふっ」
蜂谷は笑うと、
「固まるもんな?」
枕元にあるティッシュ箱には手を伸ばさずに、右京の白い肌の上に飛び散った液体を指で掬った。
「――――」
再び恥ずかしくなったのか、右京が真っ赤に顔を染めて目を逸らす。
もう―――。
ヤッちまうか、今。最後まで。
中途半端にしてるから、いつまでたっても終わらないんだ。
――そうだよ。
永月に一目ぼれし、東京まで追っかけてくるような男だ。
自分から離れようとしてもこいつがどこまでもついてくるなら。
最後までヤッて、ヤリ潰して、勘違いし始めているこいつが、本当に俺のことを好きになった瞬間に、
浮気でもして、こっぴどく振ってやればいい。
蜂谷はその白い液体を手の中に集めると、
「え、おい……」
ぐいと膝を抱え露になった右京のそこに、指で押し込んだ。
「蜂谷……う……ッ」
自分でも驚くほど違和感も抵抗もなかった。
ただ右京の身体の中に、自分より先に誰かが入ったことに、眼球が燃えるほどの熱を覚える。
女のそれと、まるで違う。
押し込んでも、押し込んでも、追い出されるような感覚。
指1本なのになかなか入らない。
硬いのとは違う。
柔らかいんだけど……力が強い―――?
―――まあ、入り口じゃなくて、出口だしな……。当然と言えば当然か。
右京の顔が苦しそうに歪む。
―――でも。
無理やり指の付け根まで突っ込むと、右京の唇から、溜まった息が漏れた。
―――押し返されればされるだけ……
そのままの深度を保ちながら、指をもう1本滑り込ませる。
「……うッ……ああ……!」
右京が大きな目を見開く。
「痛いか?」
質問してから「あ」と呟く。
――こいつ、痛みを感じないんだった。
「……痛くは……ない……!」
だろうな、という言葉を飲み込む。
痛みは感じないが、圧迫感や違和感はあるのだろう。
眉間にずっと寄っている深い皺が、右京の苦痛を物語っている。
いつも涼しい顔をして遠慮や手加減を知らない攻撃をしてくる右京が、しんどそうに顔を歪めているのを見るのは愉快だが―――。
『永月に……、何回も……イかされたけど……』
先ほどとは打って変わって縮み上がった右京のソレを睨む。
―――男として、この反応は……。
「ちょっと、許せないかな……」
言いながらすっかり柔らかくなったソレを握る。
「………え」
右京の腰が跳ね、押し返していた中が一瞬緩む。
一旦指を引き抜き、さらにもう1本加えて、一気に根元まで射し入れた。
「ああっ……!!」
同時に握ったモノを上下に絞りながら、根元まで押し込んだ指をさらに逸らせる。
手の甲に骨が浮き上がり、腕が震えるほど奥まで伸ばす。
「ッ!あああああっ!!」
先ほどから絞り出すような声を上げるのに、呼吸を忘れている右京の顔が、みるみる赤く染まっていく。
「息をしろよ、馬鹿」
言いながら唇を奪うという矛盾した行動をしてしまう。
右京は再び蜂谷の首と腰に手を回したが、素肌の感触に驚いたのか、慌てて手を離した。
「いいから掴まってろって」
「…………」
言うと、素直にしがみ付いてきた。
―――さて、と……。
硬度を取り戻してきた方から手を離し、背中から右京の肩に手を回すと、本格的に指の抽送を始めた。
「ふ……ぁ、あぁ…あ…」
先ほど叫びすぎたのか、右京の声が掠れている。
少しずつ中を抉るように角度と刺激をプラスしていく。
「あアッ!ああ、んぁ!あああっ!」
右京の声も高くなっていく。
もうソレには触れていないのに、再び硬く反り立っていく。
―――ああ……ヤバいな……。
蜂谷は右京の背中から腕を引き抜き、ベッドに膝を付けて彼を見下ろした。
細い脚が上がる。
蜂谷の膝に裏腿を付けて腰が浮き上げると、指の抽送がしやすくなった。
――こいつ、なんだかんだ快楽に弱いよな……。
「んん……!あ、アッ、あ!ああ、はあ!」
―――だから、心配なんだけど……。
まあ、こいつのことだから、この間のミナコちゃんたちのように不意打ちでかつ団体で襲われない限り、黙ってやられるなんてことはないだろうが、この、快楽に屈しちゃうところがどうにも……。
「蜂谷……。蜂……谷……!」
抱きつく右京が、胸に震える顔を擦りつけてくる。
熱い息が自分の首筋にかかる。
「―――ああ、もう……!」
蜂谷は指をゆっくり抜き、しがみ付いてくる右京を優しく離すと、細い膝を左右に割り、自分の身体を入れ込んだ。
「…………っ」
右京が赤い顔をしたまま、蜂谷の再び反り返ったソレを見つめる。
薄い胸で呼吸を繰り返している。
その入り口に先端を押し付けると、
「……っ!!」
右京がその唇をギュッ結んだ。
―――え。
蜂谷は、
その唇と、
上下する右京の胸と、
赤く反り返ったソレと、
押し当てている自分の先端を、順に見つめた。
―――俺、こいつとセックスすんの……?
待てよ。
こいつは、あんなに好きだった永月と、セックスまでしたのに。
あんな短期間で吹っ切れるような薄情な奴だぞ。
セックスするのはいい。
ヤリ潰して捨てるのもいい。
きっと、こいつはすぐに立ち直る。
立ち直って俺のことなんか、どうでもよくなる。
そのとき、俺は―――。
―――え?俺じゃん。
この先を知ったら、戻れなくなるのも。
辛くなるのも。
俺だけじゃん―――。
「――蜂谷………」
右京の腰が僅かに動く。
「――もう……我慢できな……」
その瞳が潤んでいる。
「はや……く……ッ!」
「――――この……!」
こっちの気も知らないで……。
もう……。
もう、どうにでもなれ……!!
蜂谷は右京の裏腿を押さえつけると、自分のソレを右京に突き挿した。
「い……痛っ!!」
右京が両目を強く瞑る。
――は?
蜂谷は逆に目を見開いた。
―――今、こいつ……なんて言った?
右京も自分が言った言葉の意味に気が付いたのか、驚いたような顔をしながら口を手で塞いでいる。
―――痛い?
痛いって言ったよな……?
こいつ、痛覚ないんじゃないの?
痛み、感じないんじゃないの?
でも、今、確かに……。
「おい、右京……」
彼に手を伸ばそうとしたそのとき、
『――兄さん?』
締め切った部屋のドアの外から、低い声が響いた。