注意。
・R-18ございませんのであしからず。
・戦争表現あります。
・第三次世界大戦………
・ソ連が枢軸入りしてます。
・日ソ独伊四国同盟とかいうわけのわからない同盟組んでますが史実では一切出てこないのでテストで書くんじゃねぇですよ。
・途中で分岐します。
地雷さんご自衛ください!
では本編Go。
「…さて、行くか」
真っ白な隊服を身にまとう。
尻尾はジャケットの中に隠し、猫耳も見えない様に帽子で隠す。
隣では、俺の双子の弟も着替えていた。
深い紺色の隊服を着て、同色の帽子を被る。
一昔前…まだ特攻隊だった頃はいつももこもことした帽子を被っていたのが懐かしい。
「…何じろじろ見てんのさ、流石に気持ち悪ッ…」
「うぇ、そんなつもりじゃ」
「流石に兄にまじまじ着替え見られたら流石にキモイんだけど…」
「…すまん」
昔っからこいつは毒舌だったのを忘れていた。
まぁ今のはじろじろ見ていた俺が悪いが…
「…って、いうかさ」
双子の弟━━━…空が不意に話を始めた。
「なんで陸は、枢軸国側に回っちゃったんだろう」
「……さぁ、なんでだろうな…」
思い浮かぶのは、紫紺の制服を着ている長兄の姿。
紫紺の隊服を身に纏い、自分にも他人にもすこぶる厳しく隊員から恐れられるような人だった。
だが、しっかりと他人を褒めて労いの言葉をかけて労わる人でもあったので、恐れられていながらも皆陸の事が大好きだった。
そんな人が…枢軸国に逆戻りし、日ソ独伊四国同盟というわけの分からない、俺たちからすれば地獄のような同盟を組んでしまった。
陸はこの間G7会議室に突如襲来し、第三次世界大戦の開戦を宣言した。
リーダー格のナチス、思考・宗教系統担当のイタリア王国、スナイパーのフィンランド。武士道を貫く、元東アジア最強の大日本帝国。そこへ、資源が豊富なソ連が加わればどうなるか。
いくらG7たち…連合国側でも、太刀打ちできないかもしれない。
「…でも、俺たちはアメリカさんに頼まれたじゃないか。
『日帝の目を覚まさせてやれ』……と。
俺たちにできるのは、ただ陸を正気に戻してやることだけだ」
「…そう、だけど」
空が困ったように顔をしかめた。
「もし、あれが陸の本音から出た行動だったら…どうすればいいのさ。
本音は、第二次世界大戦が終わったとき…アメリカの政策に納得いかず、ずっと不満を抱えていたんだとしたら?…最近の日本の政治に納得がいかず、全部壊してしまいたいと考えていたら?
僕たちじゃ、陸は止められないよ。陸だけならまだしも、枢軸全体は…」
空が不安そうな顔でつらつらと言葉を紡いだ。
俺は黙って聞いていたのち━━━━…
空の頬を軽く叩いた。
「ふぁっ!?な、何するのさ海!!」
「空」
「ッ…」
鋭く名を呼べば、押し黙った。
俺は空の肩に手を置いて、言い聞かすように意識して話した。
「俺たちなら、出来る。
やる前から諦めるなと何度陸に言われたと思ってるんだ」
「…陸を、信じよう」
空の瞳が一瞬だけ揺れた。
辛そうな、辛そうな感情の色が瞳の奥底に見えた。
でも、それでも。
「……わかったよ、海」
空は覚悟を決めた目で、しっかりと見つめ返してきた。
「…さて、ソ連も枢軸に入った事だ。
これから本格的に侵攻を始めていこうと思う」
先輩がパシパシと資料を掌で叩きながら言った。
俺の目の前にはかさ高い資料。
これが全員分だ。夜の2時まで印刷音が聞こえていたなど怖くて思い出したくもないな。
「さて、まず一枚目。
ヨーロッパ辺りをまず俺たちは攻める」
世界地図の部分を開き、赤丸で囲んだ。
第二次世界大戦時とほとんど同じ作戦だ。
「じゃあ、俺は?」
「そうだな…日帝は…うーん、一度沖縄へ行って米軍基地を潰してほしい。あそこがあると補給路として利用されて面倒だからな」
「わかりました」
続いて、イタ王のターン。
「ioはナチと一緒に行動して主に後方支援を行うんね。資源の輸入先はソ連。頼むんね」
「嗚呼、わかっている」
イタ王は単体で戦うとかなり弱い。
第二次世界大戦で十分そのことが分かったので、今回は以前の失敗を活かして作戦を組んだのだろう。
「まぁ、後方支援とはいっても…ギリシャとかあの辺りを攻めようとは思ってるんね。あのあたりを落とせればかなり戦いやすくなるから」
「じゃあ、そっちの方は頼んだぞ」
「任せるんね」
最後に、ソ連。
「…俺は」
「中国を攻める」
「…大胆に出たな」
ソ連の顔を見れば、悪い顔で笑っていた。
「中国は世界の工場だ。あそこを潰せれば連合国側の物資がかなり不足しやすくなるだろうし、アメリカも一応中国からの輸出品を買っているからかなり痛手になるはず。中国を完全に降伏させるのが最終目標だが、そこまで行かずともとりあえず沿岸部の経済特区を占領できれば中国は無力化できる」
すらすらと作戦内容を語るソ連に俺は圧倒された。
初めは日ソ独伊四国同盟を結ぶのにかなり抵抗があるようだったのに、いざ味方になればここまで作戦を練っている。
第二次世界大戦時、ソ連が参戦したときはかなり辛かったが味方になればこんなにも頼もしい存在だったのか…
「じゃあ、トリは日帝だな。
日帝はどうするんだ?」
ソ連にまじまじと見つめられる。
とうとう俺の番だ。
「━━━…俺は、」
「まず日本国を占領する」
イタ王が、ヒュゥ、と口笛を吹いた。
「へぇ、日本国を?なんでまた?」
「俺が万全の状態で戦うのであればきちんとした基地が欲しい。日本国には自衛隊というものがあるが、そんなもの我らにとっては紙も同然。すぐに陥落させて日本を占領、地盤がしっかりした状態で東南アジアを占領し、もう一度大東亜共栄圏を築く」
「ふむ、成程な。
とりあえず、大東亜共栄圏の設立を最終目標と置いて、まずは日本国の占領か。
…果たして、そう上手く行くだろうか?」
先輩が顎に手を当てて考え込むように言った。
俺は先輩の肩に手を置き、笑顔を作る。
「先輩、」
「やる前から諦めてどうするんですか。
やらずに後悔するよりも、やって後悔した方がマシですよ」
「フィンランドはどうするんだ?」
「んぇ?あ、お、俺?」
「お前以外にフィンランドは居ないが」
窓辺でスナイパーライフルのスコープのレンズを磨いていたフィンランドが驚いたようにこちらを見た。
それら一式を一度置いた後に椅子に座った。
「んー…まぁ、そうだね…
とりあえず君たちの支援をしつつ、バルト三国と北欧を攻めるかな」
「これまた大胆に出たな」
「あはは。でも、ソ連は中国に南下するし支援物資もしなきゃでしょ?だから、僕もみんなに協力はしつつ…一応、バルト三国と北欧を重点的に落とす」
ニット帽を深くかぶり直しながらフィンランドは言った。
白いまつ毛と青色の澄んだ瞳が、なぜかまっすぐに俺を貫く。
目を合わせていられなくて、慌てて視線をそらした。
「ま、まぁ…これでとりあえず、今現状の作戦は共有できたことだし…いつ実行するんだ?」
フィンランドの射抜くような視線から逃れる様に軍帽の鍔を持ってぎゅっと深くかぶりながら、俺は誰にでもなく尋ねた。
不意に先輩が答えた。
「時間をかけすぎてもならない。
…実行は、明後日だ」
誰もこの決定に逆らうものは居なかった。
同時刻、アメリカ。
フィンランドに付けておいてもらった盗聴器から作戦の内容は全て聞いた。
フィンランドの言った作戦はでたらめの嘘だから放っておいても全く問題はない。
とりあえず俺は電話を手に取り、ヨーロッパの主要国と中国、東南アジアなどに片っ端から連絡をかける。
そして、最後にパラオに連絡をかけようとしたときだった。
木の扉特有の優しく控えめなノックが聞こえた。
「入って良いぞ」
そうっと扉を開けて入ってきたのは、白いシャツを着た少年だった。
日本を彷彿とさせる青地に黄色の日の丸の国旗を掲げる少年。
それは、まさに今電話を掛けようとしていたパラオだった。
俺は椅子から降り、少しかがんで目線をパラオに合わせた。
「どうした?パラオ」
「あの、ね、アメリカさん……」
「ナイチ、大丈夫だよね……?」
潤んだ瞳で見上げられた。
「……」
元々は、パラオは大日本帝国の統治下にあった。
だが大日本帝国はパラオの民を無理矢理働かせるのではなく全く逆で、道路などのインフラ設備を整えた。
そして、俺がパラオに侵攻しようとしたとき…日帝はパラオを救うためにわざと暴言を吐いてまでパラオを逃げさせたのだ。
パラオにとって日帝は命の恩人も同然。
この先の戦争でどうなるのか…不安なのだろう。
俺はパラオの頭を優しくなでた。
「…日帝がどうなるかは、俺にはわからない」
「…ッ」
「でもな、パラオ」
続けると、パラオはハーフパンツを握ったままこちらを見上げた。
「日帝は、絶対に俺たちが救う。
だから、今は自分の身の安全を確保することを考えておいてくれ」
「アメリカ、さん…」
そのままパラオは膝を折って崩れ落ちた。
泣きじゃくるパラオの姿を見て、流石に良心が痛む。
俺が、これから日帝に与える絶望を考えれば当然のことだった。
翌日。
つまり、作戦決行日。
「…………………」
俺は姿見の前に立っていた。
体の前に、恐る恐るハンガーで…あの紫紺の服を当てる。
(……何か、思い出せそうなのに)
よくよく探せばクローゼットの中にはこの服のほかにも同色の軍帽が入っていた。
それも一緒に被ると、なんだかやけにしっくり来る気がするのだ。
「……はは、おかしいな、俺は…大日本帝国陸軍の筈なのに」
こんな軍服、知らないはずなのに。
不意に涙が零れる。
「…なんでこんなに、懐かしくて悲しい気分になるんだろうか」
なんだか、この軍服を見ていると足にも腕にも首にも何か重いものが付けられているような感覚がする。
自分でもよくわからないまま、涙は頬を伝っていった。
リビングへ降りると、今日はソ連がご飯を作っていた。
「お早う、日帝」
「お早う、ソ連。…何作ってるんだ?」
「これか?
これはな、シルニキっつーロシアの定番朝ごはんだ。
白チーズを使った…ロシア式のパンケーキだな。
サワークリームとか溶かしバターとか…今日はベリージャムだが、そういうのを合わせて一緒に食うんだよ」
「へぇ…美味そうな匂いしてるな」
「なんだったら一枚食うか?ちっさいやつ」
「え、食べる」
ソ連がお皿に乗ったシルニキというらしい小さなパンケーキを味見という体で先に出してくれた。
ひたすら美味かった。
朝食後。
ソ連特製のシル二キを食べ終わり、全員が満腹でひとときの団欒を楽しんでいた時、壁の時計が鳴った。
「…9時か、そろそろ行かないとな」
「時間ってあっという間なんね…
…もう、第三次世界大戦の開戦か」
どこかイタ王が名残惜しそうに言った。
「…ナチス、イタ王、日帝…それに、フィンランド。
このまま開戦してしまえば、俺たちはもう二度と前のような関係には戻れない筈だ。
…それでも、開戦するのか」
ソ連がネクタイを締めながら、確かめる様に言った。
俺たちは頷いた。
「勿論だ、そんなこととうの昔に承知している」
「ioも同じ意見なんね」
「…まぁ、僕も…同じだよ」
「…先輩たちについていくと、決めたから」
ソ連は納得したようにうなずいた。
「じゃあな、日帝。
頑張れよ。健闘を祈る」
「先輩方もお気をつけて。
怪我せず戻ってきてくださいね」
ヨーロッパを攻める4人を見送った後、俺は一息ついて反対方向へと歩き出した。
こちらは、日本国側。
優しい笑顔を浮かべた祖国様の表情が脳裏によぎった。
(……祖国様、この戦争はあなたの意思に背くのかもしれません。
…だが)
(軍国主義の世の中にするためには、もう貴方は要らないのです)
胸に手を当て、もう一度深呼吸をしてから再び日本国へと歩きだした。
「失礼する」
俺はとある広い会館の扉を開けた。
「…………日帝…」
そこには、祖国様とアメリカが立っていた。
そして、俺の弟である…空と、海の姿もあった。
「……大変丁寧な出迎えに感謝する。
…して、これが最後の警告だ。アメリカ、日本。…そして、空、海。今すぐ枢軸国に降伏しろ。さもなければ貴様らを攻撃する」
出来る限りの威厳を込めた声で俺はそう告げた。
10秒、20秒。
沈黙の時間が流れる。
その沈黙を破ったのはアメリカだった。
「…お前が第三次世界大戦を起こすっていうのは本気だったんだな」
「本気でなければ、日ソ独伊四国同盟など結ばん。
貴様はどうするのだ、アメリカ。降伏するのか、ここで戦うのか。決めるのは貴様だ」
決断を迫る。
アメリカはにっこりと笑った。
「勿論、お前を倒す」
「…そうか、残念だ」
俺は腰に手を当てて首を振った後、祖国様…日本に視線を向ける。
「日本。あなたはどうするのです。
ここで俺に全ての権利を譲り渡すのか、はたまた俺の手で殺されたいのか。
自分で選んでください」
日本はしばらくの間考えていた。
だが、すぐに決心したような表情で俺の目をまっすぐに射抜いた。
「…私も、アメリカさんと共に戦います」
「…あなたもそうなんですか」
最後の希望だ。
俺の弟たちである、空と海に視線を流した。
「空、海。お前たちは俺についてきてくれるか」
でも、考える間もなく二人は答えた。
「空も俺も、今の陸の考えには賛同できない。
…ここで、倒す」
最後の希望に賭けたのが間違いだったか。
そう悟り、腰に佩いた日本刀を抜いて鋭い切っ先を向ける。
「もう交渉の余地は無いな。
…同時にかかってきて構わない。
さぁ、来い、日本…アメリカ。
そして、空、海」
第三次世界大戦…
いや、第二次太平洋戦争が始まった。
途中経過としては、かなり思わしくないものだった。
なぜかあちらに俺の行動パターンがすべて読まれているかのようにほとんどすべての攻撃を避けられ、さらにあちらの攻撃はほとんどあたる物だから俺の消耗が激しいばかりだった。
だが、ここであきらめるわけにはいかない。
「なぁ日帝、聞いても良いか」
不意にアメリカが尋ねた。
乱れる息を整えつつ、俺は刀を振って少々ついた血を払った。
「なんだ、米帝」
「お前は、なぜそこまでして戦う」
アメリカのサングラスがいつの間にか外れている。
空色の…イギリスと全く同じ色の瞳が揺らいでいた。
「なぜ…か。
…………どうしてなんだろうな」
俺は刀を下に向け、天井を仰いだ。
「俺もなぜか開戦することが当たり前のように思っていた。
先輩もイタ王も、それが当たり前だと思っていたから俺もそれに続いて賛同した」
「なんでそこでおかしいと思って止めなかったんだよ」
「……俺の、左目」
ただそう言った。
アメリカは言葉を詰まらせた。
「先輩たちの言うことは間違っていない。
この傷は、俺が平和主義などという甘えた考えをしていたから…先輩たちが心を鬼にして抉ってくれたものだ。
このガーゼも、ばんそうこうも、ギプスも。全部全部、教育しなおしてもらった証。
だから、俺はもう二度と先輩たちに逆らわない。戦争をして、俺はお前たちに勝つ。
ただ、それだけなんだよ…………」
アメリカは、なんだか悲しそうな表情をしていた。
日本は、ほんの少し涙が浮かんでいるように見えた。
空と海は、なぜか怒っているようにも見えた。
「…日帝。今ならまだやり直せる。
今すぐ無条件降伏しろ、お前の命が危うい」
「枢軸の勝利の為ならば俺の命などどうということはない」
「ッ、陸ッ!!なんでわかってくれないの!?」
「うるさいぞ空!!お前は黙って俺について来ればよかったんだ!!!」
広い室内に怒声が響く。
海は一人押し黙って動けずにいるようだった。
「……とにかく、俺はこの身が捥げようが活動を辞めようが決して最後まで諦めない」
「それは降伏する意思が無いと見て良いんだな?」
「嗚呼、そう受け取ってもらって構わない」
「…そうか、なら仕方がないな」
その瞬間、アメリカは立ったままだった海と空を地面へと叩きつけ上に乗って二人の手を拘束して行動不能にした。
「急に、何を」
「何って…お前が降伏しないのだから最終手段だ」
アメリカは器用に片手で拘束しつつ、二本の注射針を取りだした。
中の液体に思わず視線が釘付けになる。
「…アメリカ、何だ、それ」
「んぁ?これか?…これはな、お前らが大嫌いな」
「放射能が入った液体だよ」
アメリカのその言葉で、その場にいる全員の顔がこわばった。
今まさにそれを打たれかけている空と海は、絶望の表情を浮かべていた。
「まぁ、これはほんとに最終手段にしようと思ってたんだけどな。
お前が降伏しないと言い切るのならば仕方ない」
アメリカは注射針を空と海、それぞれの首筋に刺した。
注射針の銀色が、やけに眩しく見えた。
「お前の目の前で、この二人を殺してやる」
「や、やだ、海、陸、助けッ…!!」
その瞬間。
アメリカは容赦なくその液体を二人に打った。
分岐エンド
1→次回
2→次々回…?
分岐エンドにしてみました。
これで最終回にするって言ってたのに嘘ついてすみません…
次回こそは!!!最終回なので!!!
ぜひどちらのエンドも見てほしいなと思います。
あ、皆様に質問なんですが。
この話単体で小説って要りますか?
これを小説として出すなら今までのこの物語の内容をまとめてコピペして新しく張り付けた後、修正や新しい表現・挿絵などを挿入しつつリメイクのような形で出そうと思っています。
肯定の意見が多ければ出します。
では次回。
コメント
27件
その話単体で小説!?やってくれたらめちゃくちゃ嬉しいです!ありよりのあり!
ありがとうございました!! 凄い面白くて5回ぐらい読み直してました!!続き待ってます!!