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戦場はますます激しさを増していた。宿儺との戦いが続く中、秤金次はその場で一歩後ろに下がり、周囲の戦況を静かに見守っていた。彼の表情は、まるで運命を受け入れたかのように冷徹だった。
「もう、俺の出番だな。」
秤は呟くと、素早く手のひらを広げ、呪力を全身に集める。その手のひらから、圧倒的な呪力が放出され、空気を震わせる。
「領域展開――」
その瞬間、秤の周囲の空間が歪み始め、まるで世界がひっくり返るかのような異常を引き起こす。周囲の空気が変質し、目に見えない力が渦巻く中、突然、空間が裂け、完全なる結界が形成されていった。
秤金次の領域、「坐殺博徒」が展開された。
領域内に入った瞬間、すべての時間の流れが変わる。周囲の景色はまるで賭博の場のように変化し、荒廃したテーブルが無数に現れ、そこには不気味なサイコロやカード、そして骨董品のような道具が散らばっている。
「これは賭けだ。」
秤の声が響く。
「どんな運命でも、俺の手のひらの上だ。」
領域内の効果は、相手に対する必中効果と、その全ての攻撃を賭け事として扱い、戦況を賭けることにある。秤は、この結界内で相手の動きや攻撃を予測し、それを運命としてコントロールすることができる。
宿儺は、その領域が展開されるのを見て、冷徹に微笑んだ。彼はすぐに、その呪術の意味を理解する。
「面白い、賭けだと?だが、俺の力は予測を超えている。」
宿儺は手を広げ、呪力を解放する。
領域内に入った宿儺の圧倒的な呪力が、秤の賭けを挑発するように空気を震わせた。宿儺は冷静に構え、まるで自分の支配下にあるかのように動きながら、秤を見据えた。
「賭けに、俺が負けると思うか?」
宿儺の声には、どこか侮蔑的な響きがあった。
秤はただ、笑みを浮かべながら、全てを計算に入れて動き出す。
「運命は俺の手のひらの中だ。だが、ここでは、誰が勝つかはまだわからない。」
秤は空中に浮かぶサイコロを一つ握り、振りかざす。その瞬間、無数のサイコロが空間内で回転し、秤の周囲に集まっていく。
「これが俺の賭けだ――」
サイコロが空中に舞い、回転しながら宿儺に向かって放たれた。宿儺は軽々とその攻撃を避けるが、その後ろには、無数のカードや呪具が次々と現れ、彼の周囲を取り囲んでいった。
「どうだ?運命のカードを引くのは、お前か、俺か。」
秤は冷徹に言い放ち、次々と呪具を繰り出していく。これらの道具には、全て彼の呪力が込められており、宿儺の動きを予測するために用いられる。
宿儺はその攻撃を一瞬でかわしながら、呪力を全開にして反撃する。
「運命に縛られるつもりはない。」
宿儺は、圧倒的な力で秤の領域に反発し、その呪力で空間を引き裂こうとする。
秤はそれに対して一歩も引かず、さらに力を込める。「勝負はこれからだ。まだ終わってねえぞ。」
秤の領域は、完全に宿儺と対等に渡り合える力を持っている。しかし、宿儺の呪力の強さとその戦闘経験が、秤の予測を上回ることも多い。
サイコロが振られ、カードが切られる度に、二人の戦いの行方は不確定な運命を辿る。どちらが最終的に勝利を収めるか、それはまだ誰にもわからない。
「どうだ?結局、運命は勝者を決める。」
秤の声が響く。彼はすべてを賭けて、この勝負に臨んでいた。
宿儺は冷静にその言葉に耳を傾け、再び呪力を込めて攻撃を開始する。
戦いは続く。どちらがこの「賭け」を制するのか――その結末はまだ、誰にもわからない。