敦side
…早く帰らなきゃ。とそう思った時にはもう遅かったのかも知れない。
時刻は今まで一番遅い、12時にもなる頃だった。
父さんにきつく髪の毛を引っ張られながら歩く。虚ろな目が黒く月を移した。
心が、内側から壊れてしまいそうだった。心が割れて、消えてしまいそうだった。
…あの人が助けてくれるんじゃないかと、勝手に期待する。
多分其れも、もう叶わない。
太宰さんの前では強がって隠していた涙がぼろぼろと溢れて止まらない。
“もう嫌だ”という本心が剥き出しになって今まで押し殺していた感情が一気に溢れるのだ。
敦「父、さん、ッッ、離ッして」
抵抗しても、その厚い手に口を塞がれて家まで連れられてしまった。
冷たいリビングの床に押さえつけられて起き上がることも出来ない。頭上に溜まったゴミが触れて気持ちが悪い。
暴れるように抵抗して救いを求めた。
敦「いや、ッ、!嫌だ…、嫌だ嫌だ」
敦「だざ、…いさ…ッ」
敦「助けて…ッ、う、ぅッああ」
顔がぐちゃぐちゃになるまで泣いて、泣き腫らす。
其れでも父さんが辞めることはない。
無理矢理に汚いものが触れる。
気持ち悪い水音を立ててぐちゅんと中に何かが入った
敦「う”あ…ぁぁぁぁッやめてッ父さッ…やめてッッい”たいッ、い”たいッッ」
叫び、泣き、抵抗すれば、首を絞められて呼吸もままならなくなった。
嗚呼、このまま死んじゃうのかな。
いっそ死んじゃいたい。
敦「ッう”……ッ、……、う”…」
視覚が黒白にチカチカして、意識が遠のいて来たら、やっとその手が離される。
敦「はッ…は、…ッは」
息を思いっきり吸えば、肺が傷んだ。
1突きされる度に心がハンマーで叩かれた様に壊れていく。
目から光が無くなっていくのが分かる。
何も、…感じなくなっていく。
闇の世界に吸い込まれたように、そのまま気を失った。
気を失って、朝日の未だ登らぬ少し明るい夜明け。
何処か自分の心がすっぽり抜けたように感じた。…其れは妙にすっきりしていて、心地の良いものに感じた。
“辛い”と感じる感情そのものが、心の中でぽつりと置き去りにされてしまったからだろう。
たとえそうだとしても、別に良かった。
僕は、キッチンの棚の奥にしまってある錆びた小刀を研いで、自分の手にきつく握りしめた。
初めて持つものなのに、妙にしっくりきて、何度か試しに振ってみた。
矢張りしっくり来る。
小刀を懐に忍ばせて、父さんの部屋に忍び込んだ。
心臓はいつも通り緩やかに鳴っている。
其れがなんだか不気味だ。
空っぽになった心と逆に、体に染み付いた深い憎悪は、僕の腕を止めることをしなかった。
躊躇いもせずに父さんの首を掻き切る。苦しそうに呻き声を漏らす父さんが今にでも襲いかかってきそうで怖かったから、自暴自棄になって父さんの肺の当たりをぐさぐさと刺しては抜いてを繰り返した。
もう息もせずに脱力している父さん。
やったんだ。僕がやった。
…やっと、やっと開放された気がした。
感情を無くしたはずの心がほっとするのを感じる。異臭を放ち始めた父さんの死体を冷たく見下ろす。
…死んだと分かっても尚、小刀を力強く握りしめるのを止めれなかった。
今にでも動き出しそうで怖かったから。
父さんの原型が無くなるまで腕を動かす。
其れは1つの作業をこなすように淡々としていて残酷だった。
バラバラになった“もの”を酒缶の詰められていたゴミ箱に詰めなおして、其れを布に巻いて家を出た。
…家を出たところにある灯油を持ち出して家中に其れを撒き散らす。
父さんの使っていたライターの火をつけ、家に投げ入れる。
…全部、…全部、燃えていく。
父さんとの、…この家で過ごした印も証拠も消すため。
嗚呼、そうか。…あの中には母さんも居たんだった。
…“大丈夫。…父さんは僕が殺したからね”
遠くから聞こえるサイレンに知らないふりをして、ゴミを川縁に運んだ。
袋の中を全て川に流す。
共に流れる赤い液体が、父さんの行く末を示していた。
深い藍色に沈む物体を無情に見つめて其れを見送った。
…心が空っぽになった気がする。
僕を今まで苦しめてきたものが、呆気なく死んだのだ。
僕に残ったのは、この小刀と、血で汚れた服のみ。
感情も、過去も、全てが父さんという僕の支配者であった人と共に流されていってしまったみたいだ。
ふと、僕に“苦しい”と感じさせる感情を与えたあの人のことが浮かぶ。
あの人に、…太宰さんに会ってはいけない。
…1度なくした心を取り戻してしまう気がするから。
この罪の重さも、計り知れない憎しみも悲しみも痛みも全て、この体では受け止めきれない。
…そう思った時にはもう体が動いていた。
あの人がいるこの街にいてはダメだ。
焦る思想と真逆に案外冷静に物事を判断し、歩幅を進める。
…人目の少ないところに通った罪なき一般人を襲って金品を奪うと、服を剥ぎ取った。その後、首元に小刀を突き刺してその服を羽織った。
黒く、丈の長い外套で、首元まで隠れた。(BEASTみたいな?)
丁度隠したいものが隠れて良い。
特徴的な白髪と白い肌だけが除く。
…そのまま、ただ歩く。…前に、前に。
罪から、…あるいは己という感情から逃げるように、…前へ。
周りを囲む警部の人たちも皆、障害物に見えた。
構わず歩き続けて、道を塞がれれば、構わず喉を掻き切ってやった。
それに驚く他の“障害物たち”が悲鳴をあげるから、その間に走って逃げた。
…自身の足の筋肉が破れようと構わない、と、そう思うものにしか出せない速さで走る。
肺腑が今にでも口から飛び出しそうだった。
其れでも構わず走り続ける。
その道の途中、僕を心配してくれる罪なき一般人を何人殺したのかも覚えていない。
ただただ、追いかけてくる罪の意識や、己の感情から逃げるために走った。
太宰side
中「見つけたぞ、!太宰!」
……、あの夜、私達は、一旦ポートマフィアに戻った。
そして翌日、中也と敦くんを探しに向かったのだった。
勿論、首領の命令では無く、個人としてやっている事だ。
あの日、彼を止められなかった事を少し悔やんでいたのは、私も中也も同じ事で、仕方なく一緒に向かった。
最初に向かった彼の住宅が火事で燃えていたが、其処に18ほどの少年は居るかと聞いたところ確認無しとの事だったので、今捜索に向かっていた所だった。
空を飛ぶ中也が1つの路地を指さして叫ぶ。
中「いたぞ、!敦に違いねぇ」
太「…分かった、行くよ」
3000文字近く書きました…、、
こんな長い文書読んで頂いてありがとうございます泣泣
次回もなるはやでかけたらと思いますので、見て頂けたら嬉しいです泣
てか今回の話めちゃ暗いですよね…私的にこういうの結構性癖でぐへへって感じなんですけど、苦手な人はそっと閉じてくれたかな……?
好きな人いたら嬉しい…、、、
私語なのですが…、私、敦くん受けなら結構雑食なんですよね〜、、(敦くん最推し)
逆に言ってしまうと敦くん以外受けなのを見れないかも!って感じで…、、(芥川は見れる…。でも結局芥敦が良いな)
不思議…ですね。(私の性癖が)
ま、人それぞれですよね泣
最近、私の友達が文スト最後まで見終わったらしくて、推しカプどこやぞ?と聞いた処、太中と仰ったので思わず、うぅ私それ地雷ですぅすみませんんん、と声を漏らしてしまった…。、(太中推しさんすみません泣)
太中地雷かもしれんのですよ…、 (すみませんすみません)
腐友が自分の地雷カプ好きだと「はぁ?」ってなるよりも「ごめんなさいいいい、私ちょっと見れないかもおおお本当ごめんんん」ってなりません?!
私の気が弱いだけか…??
余談も終わりにしますか…、、
こんなしょーもない話見てくれてありがとうございます…泣
すみません…泣
次回は再開しちゃう所書くと思います…、、
それでは…!
コメント
4件
僕も太中無理なんですよぉぉ……
ほんっとに大好きです、、こういうストーリを探してました……!!
主さんわかりますううう(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)