「今だっ!!」
サブが小声で叫ぶと同時に、萌香とみりんが素早く身を翻した。
目の前では、まどかのフクロウとレイスの血の刃がぶつかり合い、魔力が火花のように飛び散っている。
まどかとレイスは互いに意識を集中させており、こちらに気づいていない。
「……このまま城へ!」 萌香が短剣を握りしめながら言う。
「そんなん、絶対気づかれるやん……!」 みりんが苦い顔をするが、すでに体は動いていた。
サブが先頭に立ち、森の茂みに向かって駆け出した──が。
ズバァッ!!!
突然、地面が裂け、真っ赤な液体が噴き出した。
「……どこへ行くつもりだ?」
背後からレイスの冷たい声が響く。
三人が振り返ると、レイスの指先から伸びた血の触手が地面を這い、まるで蛇のようにサブたちの足元を絡め取ろうとしていた。
「うわっ……!!」
サブが咄嗟に銃を構える。
ドン!! ドン!!
至近距離から銃弾を撃ち込むが、血の触手は霧のように弾を避け、すぐに形を戻した。
「こらアカン……!!」 みりんが長剣を振るい、触手を切り裂こうとするが、斬られた血はすぐに再生する。
「マジで勘弁してよ……!」 萌香が短剣で応戦しながら叫ぶ。
「チッ、どいつもこいつも勝手に逃げようとして。」
レイスが指を鳴らすと、血の触手が一斉に動き、サブたちを締め上げようとする──。
「そこまでよ!」
その瞬間、フクロウの鋭い鳴き声が響き、まどかの魔法陣が展開された。
「……ほぉ。」
レイスは少し驚いた顔をするが、すぐにニヤリと笑う。
「面白いね。まだ遊べそうだ。」
サブたちは息を呑んだ。
逃げるどころか、さらに地獄へと足を踏み入れてしまったのかもしれない……。
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