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霧島は深呼吸をすると、その目に光を宿した。吉田を見据え、静かに手を掲げる。発動する瞬間、空気が震えるのを感じた。
「……シートン動物記。」
霧島の言葉とともに、空間が歪み次々と動物たちが現れる。
巨大なライオン、猛禽類、恐竜、古代の獣や異様な姿をした怪物たち。動物が霧島の周囲に集まり、その体が光りながら現れる。
動物たちは、霧島の意のままに操られている。巨大な象が大地を揺らし、猛獣が唸り声を上げて、吉田に向かって突進してくる。
「くっ……!」
吉田は傘を構え、動物たちを牽制する。その振るい動きに合わせて、傘が次々と動物たちを弾き飛ばしていく。
しかし、霧島の力は並外れており、動物たちは次々とその姿を現す。ライオンが牙をむき、猛禽類が空から襲いかかる。
「こんなに……」
吉田は額に汗を浮かべながら、その場から一歩も引くことなく戦う。
しかし、動物たちの攻撃は止まらず、次々と押し寄せてくる。隙を突かれて、吉田の傘が一度、巨大なクマの腕に引き裂かれた。
「——どうした、吉田。」
霧島の声が冷たく響く。彼は一歩も動かず、操り続ける動物たちを指示している。
その目は、吉田の苦戦を見届けながらも、まるで楽しんでいるかのように見えた。
「――俺を舐めるな。」
吉田の目が鋭く光り、手に持つ傘の柄に力を込める。
「――!」
その瞬間、吉田の傘が広がり、足元から無数の鋭い針のようなものが飛び出し、動物に突き刺さる。
クマもライオンも、その影に囚われ、動きを封じられていく。
霧島の目が一瞬、鋭く光る。
「――そんな技……!」
だが、霧島は冷静だった。手を掲げ、動物に命じる。今度は、獣だけではなく、空から翼竜が現れ、吉田を取り囲む。
次々と飛び交う翼竜の爪が、吉田の周囲に迫る。
「これで終わりだ、吉田。」
霧島は微笑む。その顔に隠された狂気を見抜く間もなく、吉田は立ち向かう覚悟を決める。
「……終わるのは、お前だ。」
吉田は地面を蹴り、猛烈な速度で突進する。傘を握りしめ、周囲の動物たちを巧みに操りながら、進む先に霧島を定める。