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廃れたビルの前で、山本は大きく息を吐いた。
「なんか…今までと違って、めちゃくちゃヤバそうな感じしますよ、七海さん。」
七海は腕時計を見ながら淡々と答える。
「当然だ。宿儺の指が絡んでいるなら、特級呪霊がいてもおかしくない。」
「いやいやいや、普通に帰りません?あの週刊誌、けっこう面白かったし、読み切ってないんですよ。」
「なら、ここで読みながら待っていてくれ。」
「いや、置いてかないで!?」
七海は冷静に中へと足を踏み入れ、仕方なく山本も後を追った。
埃っぽい廊下を進む二人。床には怪しい黒い染みが点々と広がっていた。
「うわ…絶対ヤバい何かですよ、これ。」
「見ろ、壁の文字を。」
山本が壁を見上げると、そこには不気味な文字でこう書かれていた。
「指ハココニ」
「……え、直接的じゃないですか。」
「記者が何かを発見した可能性が高い。気を引き締めろ。」
「引き締めすぎると発狂しちゃうんですけど…」
その時——
「グシャ…」
何かを踏んだ感触に山本がビクリと震える。
「ひっ!なんですかこれ!?」
「……指のかもしれないな。」
「やめてやめてやめて!ホントにやめて!!!」
七海が足元を見て、淡々と呟いた。
「ただのホットドッグだ。」
「紛らわしいわ!!!」
しかし、次の瞬間、暗闇から黒いモヤが溢れ出し、不気味な形をした呪霊が現れた。
「宿儺の指……ヲ……サガシ……ル……」
「うわぁぁ!!出たぁぁ!!」
「落ち着け。」七海が前に出る。
「呪霊だな。だが、まだ指ではない。」
山本は必死に後ろに下がりながら叫ぶ。
「今こそ俺の“発狂”で…!」
七海が無言で手を上げて制止した。
「やめておけ。むしろ呪霊のテンションが上がるだけだ。」
「いや、試してみましょうよ!?可能性はゼロじゃないですよ!?」
「君の可能性がゼロだ。」
「ちょっと傷つくんですけど!?」