かつて天才とも言われていたアイドル「アイ」
ファンにナイフで刺され、死んでしまった。
でも今は、新しい世界でアイドルとして生きている_!
カーネが『苺プロ』のドアを開けると、そこには前世で自分が生んだ「ルビー」と「アクア」がいた。
「えっ_」
アイは思わず、声をもらしてしまった。
なんでアクアとルビーがここにいるの。
そう思っていた。
(あ、そっか。私が死んじゃったからアクアとルビーは住むところが無かったんじゃないかな。)
アイは瞬時に理解した。
アクアとルビーは見た瞬間に「えっ_」と言われ、驚いたのか目をパチパチしている。
「あっ、ごめんなさい。すっごいスターが目の前にいてびっくりしたわよね。」
(スター?)
「自己紹介をします。私が社長の斎藤ミヤコよ。」
(ミヤコさんが社長なの?)
ミヤコさんはアイが喋りだすのを待っているのか、それ以上、何も話さない。
アイは話すべきだと思い、口を開けた。
「す、すみません。この二人はスターなんですか?」
「ええ、そうよ。でも、この時代にこの二人を知らない人っていたのね。珍しいわね。」
ミヤコさんは返事をしてくれた。
けれど終盤の方は少し考えるようにブツブツつぶやいていた。
(アクアとルビーって今そんなに有名なんだ。)
(ふふっ、私の娘と息子、我ながらに完璧だね。)
「こんにちは。アクア、ルビー。」
あいさつしなきゃいけないよね、そう思って二人に向かって言った。
でも後から、
(あ、本当は初対面なはずなのに呼び捨てで呼んじゃった。まあいっか。)
「ああ、よろしくな。えっと…カーネ。」
「私達先輩になるってこと?やったー!よろしくね。後輩ちゃん。」
アクアとルビーも挨拶を返してくれたようだ。
(私、本当は後輩って言われる立場じゃないんだけどね。)
アイはこの生活が楽しかった。
みんなカーネが前世ではアイだったというのを知らなかったから、いつものファンからもらう言葉じゃなかったからだ。
「じゃあこれからカーネさんは『B小町』のメンバーね。えっと、B小町って知ってるかしら。B小町っていうのはね_」
勝手に話を進めていきそうだったので、これは途中で止めなくちゃと思い、
「あっ、知ってるよ。B小町でしょ。アイドルだよね。」
「まあ、そうよ。少し昔のアイドルなのに、よく分かるわね。」
(まあ、私がB小町のメンバーなんだけどっ。わ、この生活、楽しっ。)
「で、B小町のメンバーは誰がいるの?」
「ルビーと有馬ちゃんとMEMちょよ。」
ミヤコさんがそう教えてくれた。
(ルビーは私の娘だし、有馬さんは共演したことがあるから知ってるけど、MEMちょって、誰だろ…)
(しかも、有馬さんは女優業でやっていくんだと思ってたけど、アイドルになったんだ。)
「あなたがカーネね。私は有馬かなよ。よろしくね。」
「MEMちょです。カーネちゃん。よろしくねぇ〜。」
「よろしくねっ。で、次のライブはどこでやるの⁉あ、ちなみに私は歌も踊りも全部できるよ!」
カーネはやっとアイドルに戻れたのが嬉しかったのか、興奮気味に話し始めた。
「あら、カーネさんはアイさんと性格がよく似てるわね。急にライブの話を。」
(ま、アイだから似てないとおかしいよね〜。)
「えっ!カーネちゃん歌うまいの⁉今度教えて!おねがいっ!」
「いいよ〜。じゃ、これからみんなでカラオケ行きますか!」
「じゃあカラオケ誰が一番うまいか選手権やろぉ〜!」
「いいわね。私は絶対に負けないわよ。ルビーとMEMちょはダメダメだけどね。」
「なに〜!先輩には負けないからっ!私、この頃ボイトレ頑張ってるんだからねっ!」
そんな4人のやり取りを見て、ミヤコさんは壱護社長に話しかけた。
「なぜ、あの子をこのグループに入れたの?」
「あ?そんなの分かってるだろ。あの子がアイに似ているから」
「あの子なら、みんなをドームに立たせてくれると思ったからだよ。」
「ただいま〜」
「あ〜っ、久々に気合はいっちゃったわね。」
「うんうん。でもカーネちゃんが歌うますぎてびっくりしたよぉ。」
「ふっふっふ。だから最初に言ったでしょ。」
カーネが自慢気に話した。
(みんなからこんなに優しくされるなんて…。)
(あの時とは大違いだなぁ…)
ミヤコさんがまた、壱護さんに言う。
「あのカーネって子に壱護は才能を感じているってわけね。」
「そうだ。ほら、今も楽しそうにしているだろう?アイのときとは大違いだ。」
「そうね。アイはずっとあんな楽しい時間を過ごしたかったんじゃないかしら…」
「だな。」
「みんなぁ〜っ!来月はライブだぞぉ〜っ!」
「「やった〜っ!」」
「カーネとルビーって、すごく仲がいいわよね。」
「「ライブだからね〜っ」」
「じゃあまずは、衣装と、ライブ曲を決めるとこからだねぇ。」
時は過ぎ、ライブ当日。
「はあ〜っ、緊張する〜っ。」
「ルビー、あんたね。ライブの時いっつもそんなに緊張してたら、ドームに立つってなった時、どうするのよ。」
「だって〜っ」
「カーネちゃんは、緊張しないのぉ?」
「しないよしないよっ、だって慣れてるもんっ。」
「ん?慣れてる?」
カーネはつい口を滑らせてしまった。
「あ、慣れてるから、今更緊張はしないんだ。ねっ。」
「へぇ〜。そうなんだ。」
(あ、あっぶなかった〜。)
(これから新生B小町初のライブだ。楽しみでしょうがないよ〜。)
コメント
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アイってどんな人なのか、いまだになにも分かってないですw