新学期早々、俺たちは再び校長室に呼び出された。
言うまでもなく、俺の引っ越しの件だろう。
また、写真でも撮られたかな?
校長室に行く途中で四浦に話を振ってみた。
「かもな」
しれっと、肯定したなぁ。
まぁ、いいけど。
結果から言えば俺の読みは当たっていた。
懲りないというか飽きないというか……
別れたなら、二人に干渉しないでほしいものだ‼
自分は勝手に出て行ったくせに二人の前に誰かが現れたら
これだもんなぁ……
恐らく、相手が俺じゃなくても同じ事をしただろう。
「俺たちは何か悪い事をしているんでしょうか?」
確かに、生徒と教師という立場だが、
プライベートにまでとやかく言われたくない。
「いや、そのだねぇ……」
仮に、四浦が離婚してないなら色々と問題があるだろうけど
きちんと、離婚は成立しているし、桜耶の親権も四浦にある。
『わかりました』
「三神?」
俺の言葉に四浦も校長も目を丸くしている。
そして、此処で溜めていたことを言った。
『俺、学校辞めます』
校長室だから敬語で言った。
『教師と生徒じゃなくなればと単純な話ではありませんが
少なからず学校に迷惑をかけることはなくなります』
その後の事はそれこそ、プライベートであり俺たちの問題である。
「三神君、何も其処までしなくても……」
『決めました』
四浦は俺が一度言い出したら止められないと
わかっているから何も言わない。
親父には転校したい学校があると言えばいい。
あの人は俺が大きな事件を起こさなければ大抵の事は
嫌な顔をしながらでも聞き入れる。
それに、あの家から此処は少々遠いしな。
『退学届けをください』
印鑑ならズボンのポケットに入っている。
校長は一度ため息を吐いた後で引き出しから退学届けを出して来た。
親父には母さんから伝えてもらお。
「今日付けで三神柾を退学とする」
これで正式に俺は須寿垣の生徒じゃなくなった。
『ありがとうございました』
四浦……いや、満彦を校長室に残して
教室に戻り帰り支度を始めた。
誰も気にしていない。
だが、今日で俺は此処からいなくなる。
『みんな、今までありがとうな。
俺、今日付けで退学になったから
明日からは会えないがお前らは頑張れよ~』
それだけに言って教室を後にした。
校門を出て、最後に校舎を眺めた。
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