まだぐずぐずと、しょげているさのに、ケーキを差し出し「ほら」と、フォークを握らせる。
「うっうっ、ありがとぉ。美味しいです⋯。バームクーヘンやぁ⋯」
余程、反省?しているのだろうか、もそもそと俯きながら食べ進めるさのを見てると、何だか可哀想になってきた。
「いちごや、せーやくんはい」
いちごだけをよけて、せーやの前に並べてくれる。
⋯こいつ優しいんだよなぁ。
もぐもぐと、手で摘んでいちごを食べながら、「やっぱり可愛いな」と思う。
年下だというのもあるが、恋人になってからは特に弱い部分も見せてくれている気がする。
⋯見せているのか、出てしまっているのか、わからないが。
「なぁ、さの。あれ、おれに着て欲しかったん?」
話を蒸し返され、びくっとして「は、はぃ」と、小さく返事をする。
「いや、そんなビビらんでも。別にそれに関してはおれ、なんも言うてへんがな」
そういえばそうだ。
驚いて、さのには着れんぞ(サイズ的に)、と言われただけで、嫌だとか、キモイだとかは言われてない。
と、いうか基本的に恋人としてのせーやは、さのに拒否や否定をする事が殆ど無い。
「⋯できれば、あれ着てもろて⋯、えっちなせーやくん見たかった⋯」
一応、ボソッと言ってみる。
誕生日だ。せっかくだし我儘くらい言っておいても損は無いだろう。
「別に着てもええよ?」
「えっッっ!!!!!」
ええの?!?!そんな夢が叶う事あるん?!
「ふは、なんちゅう顔してんねん」
くしゃ、と笑いながら口に付いたクリームを拭ってくれた。
さのがシャワーへ行っている間、例のコスプレセットを広げてみる。
予想よりも、ペラペラの布⋯。
さのにはああ言ったものの、これ、流石に小柄とはいえ女性より厚みのある体の自分でも、ちょっと小さい気がする。
「うーーん、とりあえず着てみるか」
ポイポイと、衣服を脱ぎ捨て、衣装を身につけてみる。
一応、鏡の前で全体をチェックしてみるが⋯
「せーやくん、上がりました!せーやくん?」
少しうきうきした声で、シャワールームから、パジャマ姿でそそくさとやってきたさのは、せーやを探す。
「ここやけど」
そこには、カーテンにぐるぐる巻きになって顔だけを出したせーやが居た。
「なんでそんな、ぐるぐるなってるんですか」
「いやぁ⋯着ては見たものの、⋯キッツイでぇ?これ?」
ちょっと地獄みを感じた、と、自分には似合わないと訴える。
「大丈夫です。絶っ対似合ってるんで」
「えー⋯」
「見せて下さい」
「ほんまにキツいからな?したく無くなるからな?」
念には念を押して、渋々といった様子でカーテンを解いてゆく。
観念して現れたせーやは、例のヒョウ柄衣装を身にまとってはいたのだが、少し不格好だった。
女性とは違い、少しの胸筋のみのぺたんこな胸に三角の布は余り、ふんだんにフリルのついた浅いパンティからは、陰毛がはみ出ている。
勿論、中身はきつそうだ。
当たり前だが、脇毛も生えているし、うっすらすね毛も生えている。
手には良心の呵責により、装着を躊躇ったリボンカチューシャが握られていた。
「ゔッッッ!!!!!!!」
さのはダメージをくらったように、両手で顔面を押さえながら、俯いた。
「いや、ごめんて。だから言うたやん?」
あきれたように、立ち尽くすせーやの足元に、ポタッとなにかが落ちた。
なんだこれ。さのから?
「さの??どう⋯」
さのの顔を覗き込むと、低い声がした。
「頭のそれも⋯付けて下さい」
「え?あ、あぁ⋯」
頭に疑問符を浮かばせながら、とりあえず言われた通りリボンカチューシャも付けてみる。
せーやが、位置はこんなもんか?と、さのから視線を逸らしていると、急にガッと腰を引き寄せられた。
「うわ!何っ⋯えっ、お前 」
至近距離になったさのの鼻からは、血がでていた。
「わかりますか?」
グッと腰を押し付けられ、熱く固いものがせーやの腹を押した。
「我慢できないです」
「ぇえ?ほんま⋯っんん、ンッ」
目を合わせた瞬間、深く唇を貪られた。
「んっ、ん、ふぅっ、ンぁ」
激しく食らいつかれ、せーやの身体はどんどん赤く興奮してくる。
唇を合わせたままさのは、せーやの腰を強く引き、自身の熱をぐいぐい押し付けてくる。
その熱さと固さに、せーやも興奮が高まった。
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