コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
霧雨家のお嬢様、霧雨魔理沙。
金色の長いふわふわな髪で、スポーツ万能、勉学にも長けている、更には作法も身についている。
そんな完璧な少女でありながらも、どこか幼さを感じる顔立ちで、まさに『才色兼備』という言葉にぴったりな人。
父子家庭でありながらも、家族関係は良好で、愛想がよく、誰にでも笑顔を絶やさない。
家も、都内最高とも言える会社を経営しており、魔理沙はそこの娘。つまり正真正銘お嬢様である。
そんなお嬢様、霧雨魔理沙が、ある日突然姿を消した。
世間はそれを『霧雨家のお嬢様誘拐事件』として取り扱うことに。
あぁ、私はとんでもないことをしてしまった。
なんなら今すぐ引き返したいくらいには罪意識が高い。
けれど、この子が決意を固めた目で、私に2回目のお願いをしてくれた。
だから引き下がれなかった。
あのときなんで引き下がらなかったのだろう、と今さら後悔しても意味が無いことはわかっている。
なぜならもうネットニュースのトピック1位にまで膨れ上がってしまったのだから。
バスで揺らされて、隣で寝てしまったこの子について。
世間が大騒ぎだ。
そんなことを考えているうちに、私も眠りについてしまった。
気がつけば外は薄暗い。
周りの乗客も、気づけば大半は減っていた。
スマホを見てみると、もう19時だ。
次の駅で降りようと、私は魔理沙を起こす。
魔理沙は、少し顔をしかめて、目を開いた。
黒いジャケットに黒い帽子。
髪は結んであまり見えないように。
パッと見、魔理沙とは分からないと思う。
実際乗客も誰一人として、私たちに気をとめなかったから。
「魔理沙、次の駅で降りるわよ。降りる準備、しておいてね。」
と言って、私も準備を始める。
魔理沙は、通学カバンがパンパンになるほど荷物を持ってきていた。
荷物はあまり持ってこなくていいよ、と言ったのだけれど。
という私も、大きなカバンにたくさんの荷物が持っているから、少し重い。
準備をしているうちに、バスは着いたらしい。
少し急いで降りると、私はカバンからコンビニで買ったおにぎりを2つだし、1つ魔理沙にあげた。
魔理沙は、疲れたように少し前かがみになっていたので、近くにあったベンチに座った。
ベンチに座ると、私も魔理沙も大きなため息をし、それからおにぎりを食べた。
私はおにぎりを食べてる最中、魔理沙に
「家から電話やメールはきてる?」
と聞いたが、魔理沙は首を横に振り、つづけて
「スマホの電源を落としているから分からない。」
と告げた。
「あぁ、そうか。私が居場所がバレたりしたら困るからって言って、そうさせたのよね。」
と言うと、魔理沙は少し不安そうな顔をした。