「……やれるもんならやってみろよ、サイコ野郎。」
その言葉に、ライアの唇は薄く歪む。
「じゃあ、まずはこの首から――」
シュッ。
空気を裂く音と同時に、ライアのナイフが霧島の首に食い込む――はずだった。
しかし。
「――っ!?」
視界が、ぶれた。
ライアのナイフは、確かに霧島の首を刺していた。けれど、その首は揺らぎ、次の瞬間、霧島の姿はふっとかき消える。
「なっ……?」
背後で獣の咆哮が響いた。
「――『疾風狼』!」
ライアは反射的に飛び退く。だが、間に合わない。
ゴォッ!
猛烈な突風とともに、灰色の狼が霧島の姿をとって襲いかかる。狼の眼は鋭く光り、牙はライアの喉元を正確に狙っていた。
「……クソッ!」
ライアはナイフを振るうが、狼と化した霧島はそれを軽くかわし、ライアの腕を噛みつこうとする。
ギリギリのところでライアは回避したが、腕には浅く赤い傷が走る。
「お前……何だ、それは。」
「知らなかったのか? オレ、動物を“ストック”してんだよ。」
霧島はニヤリと笑いながら、狼の耳をピクリと動かした。
「狼は疾風の化身。速さと嗅覚は折り紙つきだぜ?」
「……面白い。」
ライアは傷ついた腕を見つめながら、静かに笑った。
「お前みたいな玩具、最高だ。」
霧島の目が鋭くなる。
「オモチャじゃねぇよ、テメェをぶっ倒す“ハンター”だ。」
「狼なのに?」
風が吹く。
二人の姿は再び交錯する――。
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