「……足、つらない?」
蜂谷はにやりと右京を見上げた。
「そんなに力入れたら……」
蜂谷がソレを上下に擦るたびに、ビクンビクンと内腿が動く。
それに連動して膝が開き、羞恥心からか慌てて閉じようとする足が蜂谷の肩にぶつかる。
背はそこまで低くないはずなのに、華奢な体つきからか小柄に見える右京は、細い手足に反して、下半身はちゃんと“男”だった。
しかし色が白い分、どこかあどけないソレは、何か悪いことしているような禁忌的な感情にさせ、蜂谷を昂らせた。
「……ふ……んッ……う……」
片手で蜂谷の肩に掴まったまま、もう片方の手で自分の口を塞いでいる右京の、細い指の間から荒い息が漏れる。
「んはっ……んんッ……!」
その息にときたまいつもより高めの声が混じる。
左手で根元を抑え込んでから、先を掌で包むように擦ると、肩を掴む手に力が入った。
「イキそう…?」
見上げる。
先ほどから愛撫に反応して顔を左右に振るせいで、少し長めの横髪が目にかかっている。
しかしその奥の潤んだ目はこちらを確かに睨んでいる。
「このまま出しちゃったら、ズボン汚れるから、下ろしていい?」
言いながらベルトごとズボンに手をかけると、しばし迷った後、、大人しく腰を浮かせた。
「―――はい、ありがと………」
思わず手が制止する。
「―――なんだこれ……」
そこには青く腫れあがった右膝があった。
「お前、これ―――誰に……?」
「………」
言うと右京は黙って蜂谷の顔を両手で包んだ。
顔が近づいてきて、ほんの少し触れる程度のキスをされる。
「いいから……」
右京は顔を離すと、軽く足を開いた。
「続き、しろよ……」
鋭い目つきに見下ろされ、蜂谷は本能的に行為を再開した。
また右京の息遣いが少しずつ荒くなっていく。
それでも蜂谷の視線はその白く細い膝に浮き上がった、打撲痕に釘付けになっていた。
……何だ。この怪我。
こんなに腫れあがって、折れてないのか?
そもそもこんなんで普通に歩けんのか?
てかこの人に、こんなことできる人間、いる?
「っ?」
グッと肩を掴まれたと思ったら、右京が抱きついてきた。
蜂谷の頬に、右京のひんやりと冷たい耳が触れる。
「もうイく……?」
いつの間にか手の中で弾けるほど硬くなっているものを撫でる。
右京は蜂谷の首あたりに口を押し付けたままコクコクと小刻みに頷いた。
―――ああ、そうか。
きつく抱きしめられながら、蜂谷は強制的に向けられた顔の先にある人体模型図を見つめた。
―――精液が飛び出るとこも、自分が達するときの顔も見られたくないわけね。
だから抱きしめてそのどちらも見えないようにしてる、と。
―――そんなかわいいことされると……。
蜂谷は優しくその腕をほどくと、両手で爆発寸前のソレを包んだ。
―――いじめたくなるだろうが!
「椅子、汚すと悪いし。匂いが残ってもまずいから」
右京は真っ赤に染まった顔でこちらを見つめる。
「口で、していい?」
「な……な……!」
思った通りの反応。
そしてきっとこの後に続くのは、
『いいわけないだろ!(グーパン)』だ。
ならば返事を待たずにやってしまえばいい。
蜂谷は迷わずにソレを口に含んだ。
「あ……おい……ッ!」
声よりも息が多い、色っぽい吐息が漏れる。
閉じようとする膝をぐいと抑えつけ、強制的に開かせると、蜂谷はその根元を優しく握った。
「ちょ……ァアッ……!!」
男を咥えた経験はないが、不思議と嫌悪感はない。
ただ、女よりも硬い体毛が、鼻先に触れる違和感と、先端の艶感と対照的な裏のザラつきが妙に生々しくてーーー。
たまらなくエロい―――。
「ん……ッ!!」
ビクビクと反応するソレを左手で支えながら、右手はインナーの中に滑り込ませる。
胸の先端にいきつくと、そこを強めにつねる。
「……ああッ」
硬くなり弄りやすくなったところで、カリカリと指先で引っ掻くように刺激すると、口の中のソレの先端から、僅かに塩辛い液体が溢れ出してきた。
「いいよ。イッて。ちゃんと受け止めるから」
一旦口を外し、左手で刺激しながら言うと、
「………受け止めるって?」
蜂谷は笑った。
「飲んでやるってこと」
「―――っ」
右京が唖然として口を開く。
―――はは、信じられないって顔してるな……。
蜂谷は笑った。
―――そりゃそうだ。
俺だって信じられないんだから。
強く吸いながら、頭を上下させる。
右手で突起を強めに引っ掻き続ける。
「……蜂谷……!」
右京の両手が蜂谷の肩と頭を掴む。
膝があがり、踵が浮く。
「……ホントに……イクって……!!
僅かに腰が浮き、蜂谷の口に股間が押し付けられる。
「………ッッ!!」
喉奥に熱い液体が流れ込んできた。
一度。
二度。
……三度。
腰の痙攣が終わると、蜂谷はそれを飲み下した。
……右京は全身の力を抜くと、そのまま診察台に倒れこんだ。
両腕で顔を隠しながら、荒い呼吸を繰り返している。
僅かにあばらが浮いた白い腹が上下し、蜂谷の唾液で光ったそれが硬度を失っていく。
再び脚が目に入った。
青く腫れあがった膝。
ぶつけたなんてもんじゃない。
喧嘩で怪我を負ったとしても、こんな関節にピンポイントで怪我なんて―――。
「―――な……がつ…き……」
その唇からこぼれた名前に蜂谷は右京を見つめた。
「―――永月」
覆った腕の陰から、かろうじて見えるこめかみに涙が伝う。
―――ナニソレ。
罪悪感?
自分があいつ以外の男の愛撫で達したから?
そんなに。
そんなに、あいつのことが好きなのか……。
蜂谷はぐっと唇を噛みながら、乱れた右京の衣服を乱暴に直した。
「勝手にしろ……」
「…………」
右京は顔を覆ったまま黙っている。
蜂谷は踵を返すと、保健室の鍵を開けた。
扉を開けて廊下を歩きだす。
目の奥がまた焼けるように熱い。
下半身に溜まった熱で身体が怠い。
ただ心だけは凍りついて動かない。
……そんなに好きなら、本望だろ。
例えグチャグチャに、裏切られたとしても……。
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